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ピーキー・オヤナギが語るジャニーズ名曲選②SixTONES/Imitation Rain

 

SixTONES/Imitation Rain

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あなたはもうお聴きになっただろうか?

 

 

ご覧の通りメンバー皆ずぶ濡れである。

SixTONESは2015年に結成。メンバーはジェシー京本大我松村北斗高地優吾森本慎太郎、田中樹の6名。故ジャニー喜多川氏による命名。当初は“シックストーンズ”と発音したがその後“ストーンズ”に変更。「原石」「6つの音色」といった意味合いがある。テレビだけでなくYouTubeに積極的に露出するグループ。そんな彼らのデビュー曲がこのImitation Rainだ。

 

PVはブルーバックにCGを重ねた幻想的なシーンと、実際の水、雨、炎を使ったセットと激しいダンスが組み合わさったリアルでエモーショナルなシーンで構成されている。クールな静けさと圧倒的な熱量の激しさが同居しているのだ。静と動。

 

音の方も雨音のようなピアノの旋律が奏でられたかと思えば、静けさを切り裂くギターの音色とずっしりとしたバスドラで幕を開けるイントロからもはやシェイクスピアテンペストの始まりのような劇的なものだ。

この曲誰が作ったのかと言えばあのX JAPANYOSHIKIである。

 

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知らなかった人も納得である。

(そういえばENDLESS RAINって曲あったよね)

 

 

ヴィジュアル系的でもありジャニーズ的でもある「ガラス」「薔薇」などの歌詞のワードはヴィジュアル系とジャニーズ音楽の融合のようにも思える。

さらにはX JAPANの代表曲「紅」まで歌詞に入っているのだ。

これまでのジャニーズのデビュー曲は基本的に勢いや歌詞のトンチキさ、青さを滲ませたものであったが、SixTONESは年齢的なものも含めてまだあどけない少年ではなく成熟した大人としての売り出し方ではないだろうか。

 

YOSHIKIの作風とSixTONES自体の持つ洗練されたポテンシャルが合わさり、ジャニーズのデビュー曲らしからぬ壮大さを讃えたバラード楽曲になった。

作り手の作家性を出しつつも、彼らが最高に輝けるように作り上げる。流石と言ったところである。

試行錯誤を重ね、本来の完成の予定から半年程遅らせてたとの話もある。(「SixTONESメンバー全員に音域を調べて、元々転調はなかったが、ここまで高音がでるならと転調もいれた」「世界を目指すなら、歌詞もあえて全部英語にしようとも思ったが、それは先方から半分は日本語でお願いしますと言われた」など)

X JAPANのアルバムも出来栄えに納得が行かず最終的にお蔵入りにしてしまうYOSHIKIらしいエピソードだ。

 

 

↑レコーディング風景はこちら

 

YOSHIKIは現副社長、滝沢氏の熱心な思いと海外での活動を視野に入れたSixTONESの目標や思い描く夢に共感し、オファーを受けたそうだ。デビュー曲はエッジの効いた激しさの中に優しさや美しさも持ち合わせる、「意図的に“YOSHIKI メロディ”を取り入れた」大作に仕上げられている。

 

YOSHIKIコメント>
「滝沢さんからお話をいただいたのは、ジャニーさんがご存命の頃でした。
あまりにも自分のスケジュールが過密だったため、安易に引き受けると後々ご迷惑をかけると思い、
お断りするつもりでお会いしましたが、滝沢さんの熱心な思いに心を打たれ、また『SixTONES』が
海外でのJ-POPのイメージを一新させる可能性を秘めたグループだと確信したので、楽曲提供および
プロデュースを引き受けさせて頂きました。楽曲については滝沢さんとも話し合い、意図的に‟YOSHIKIメロディ”を取り入れました。先見の明を持つ滝沢さんのもと、メンバー個々の魅力に加え、高度な歌唱力とパフォーマンス力を持つ『SixTONES』という素晴らしいグループが今後どのように進化していくのか、とても楽しみです。
デビュー、おめでとうございます。」

 

とのことで、コメントからもその高い期待値を伺わせる。SixTONESは今後は世界に向けても今後活躍の機会を伸ばしていくことだろうと思う。

 

思えばX JAPANもそうだが亡くなられたジャニー喜多川氏も初代ジャニーズの頃から米国進出と商業的な成功は悲願であった。そんな思いも馳せてしまう。

 

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彼らの始まりを告げる文字通りの序曲として放たれたImitation Rain、日本のアイドルとして、アジアのアイドルとして彼ら自身も言うよう「デビューは通過点」でしかないのだ。

とりあえずCDもだいぶ売れたし今後はサブスク化なども期待したい。

 

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(文:ピーキー・オヤナギ)