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ピーキー・オヤナギが語るジャニーズ名曲選③少年隊/仮面舞踏会

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今回紹介するのは少年隊の稀代の名曲にしてデビュー曲、仮面舞踏会です。

1985年12月12日リリース。

第28回日本レコード大賞・最優秀新人賞
'86FNS歌謡祭・最優秀新人賞
第17回日本歌謡大賞・優秀放送音楽新人賞

など、

デビュー曲ながらオリコンチャートでいきなり第1位を獲得し、1986年のオリコン年間シングル売り上げでは第3位。現時点で少年隊自身最大のセールス・ヒット曲となりました。当時は各賞を狙いこの時期でのデビューが多かったようです。

 

作詞:ちあき哲也/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀

作詞を担当したちあき哲也さんは矢沢永吉の楽曲作詞も多く手がけており(止まらないHa~Haなど)、矢沢ファンである錦織がちあきの起用を希望したものであるということです。ちなみに曲中のスタンドマイクのパフォーマンスも矢沢永吉の影響が色濃いようです。

余談ではありますが、昔ジャニーズの合宿所と同じ建物内に矢沢永吉の事務所があり、かつて近藤真彦が矢沢のファンで楽曲提供のオファーを出し、その際に矢沢は『あなたのことよくテレビで拝見して、すごい素晴らしいし、本当にかっこいいと思う。あなたのこと好きです。あなたに最高の曲を作りたい。ただごめんね、最高の曲ができたら僕が歌いたいよね。』と断ったことも錦織さんは知っていたので、錦織さんは本人の楽曲提供ではなく矢沢永吉に提供している作詞家のちあき哲也に頼んだのだろうとも思います。そんな関係上、ジャニーズタレント(元を含む)に矢沢ファンが多く、錦織一清だけでなく、田原俊彦近藤真彦諸星和己松岡昌宏今井翼山下智久生田斗真らがファンとして知られています。

 

また当初は、イントロ部分の歌詞(Tonight ya ya ya・・・tear)が書かれていなかったのですが、錦織一清のアイデアにより歌詞が付け加えられたらしいです。錦織さんのセンスがすごい。何者なんだ貴方は!

ちなみに錦織さんはジャニーさんから「とりあえずこれ、楽曲としては成立している。とりあえずいい曲にはなっている。ここから何かが必要だ」「なにか仕掛けがほしい」と言われたそうで、そこから考えたそうです。

 

さて、とりあえずこちらをご覧ください。

個人的にこの「夜のヒットスタジオ」の映像は神がかっております。

見ていただければ分かるかと思いますがダンスのキレが半端じゃない。

特に最初の錦織さんの片手バク転からの歌唱は度肝を抜かれました。各自バク転バク宙が出来る少年隊の強みです。息つく暇すら瞬きすら許さないであろうダンスの連続です。

東山さんのターンも美しく、ジャニーズのダンスの基本であるバレエ、ジャズダンス、ヒップポップダンスを極めた少年隊の凄さがこれでもかと詰め込まれたものであります。(ちなみに少年隊はマイケル・ジャクソンの振付師だったマイケル・ピータースの指導を受けたり、海外でもトレーニングを積んでいる。)

一曲三分ちょっとの間に展開されるミュージカルです。その後開始される少年隊主演ミュージカル「PLAYZONE」は必然だったと言えるでしょう。

 

Aメロ

SHYな言い訳 仮面でかくして
踊ろ踊ろかりそめの一夜を
きっとお前もなやめる聖母
棄てな棄てな まじなプライドを今は

と、ここから

迷いこんだ幻想(イリュージョン)時を止めた楽園
むきに眉をひそめてもこころうらはら
こんなにも感じているじゃないか

このBメロへの流れは「迷い込んだ幻想(イリュージョン)〜時を止めた楽園」の重なりが大好きです。甘いメロディ。筒美京平先生半端ない。

 

あと歌謡曲でもありつつベースがディスコミュージックなので、ノリの良いダンスミュージックでもある。これがツボです。トムジョーンズの「ラヴ・ミー・トゥナイト」を大胆に導入しています。

編曲は船山基紀さんなのでアレンジもお手の物でしょう。ちなみに2人は田原俊彦の抱きしめてTonightでも「ラヴ・ミー・トゥナイト」をパクってます(笑) 

  

WAKE UP! DESIRE (好きさおまえが)
LIGHT UP! YOUR FIRE (好きさ死ぬほど)
目眩くってくれ PLEASEPLEASEPLEASE
WAKE UP! DESIRE (I WANT YOUNONONO)
LIGHT UP! MY FIRE (I LOVE YOUNONONO)
ゆれて魔性のリズム

 

仮面舞踏会を比喩表現にした男女の一夜限りの夜遊び。どことなく少女漫画的でありつつアダルトな怪しさも携えていて、大人に憧れる少女達を刺激する幻想的な浮世離れした歌詞は、何処か別の場所に連れ去ってくれそうな三人の王子様達にはぴったりです。あと個人的には「いっそ X・T・C 俺と X・T・C 強く強く」の部分が好きです。X・T・Cと書いてエクスタシーと読ませるわけですから。この時代の歌謡曲らしさもある。それまでのたのきんやシブがき隊とは違う大人びたアイドルによる新機軸であったと思います。

 

ちなみに生前のジャニー喜多川氏は「自ら作ったグループの中で最高傑作は?」という国分太一TOKIO)さんの質問に「少年隊だよ」と食い気味で答えられたとのことで既にジャニーズの完成系は80年代に誕生していたということになる。デビュー曲でこの完成度を達成したジャニーズは後にも先にもいないだろう。

 

 

 (文:ピーキー・オヤナギ)