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メジャーデビュー決定!羊文学を聞いてみよう

盆の休みも終わった途端に大きなニュースが飛び込んできた。

 

羊文学、メジャーデビュー決定。

 

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羊文学の新アーティスト写真

中央:塩塚モエカ(gt./vo.)

左:フクダヒロア(dr.) 右:河西ゆりか(ba./cho.)

 

新作アルバムは、ソニーのF.C.L.Sからのリリースが今年の12月に予定されている。

 

さらに、8/19には新曲「砂漠のきみへ/Girls」を配信でリリース。

 


さらに言えば、もし中止になっていなかったなら、フジロック2020にも出演していた。

 

さらにさらに言えば、塩塚モエカは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが10/7にリリースする新曲「触れたい 確かめたい」にボーカルとして参加が決定している。

 

まさに今、ノリにノっているバンドが羊文学だ。

  

羊文学については、この出前寿司Recordsで度々記事が公開されていて、それぞれのライターの、とても読み応えのある内容が楽しめる。

 



 

さて、そんな羊文学だが、「実はまだ聞いたことがない」という人は割といるのではないか。

 

インディロックやオルタナティブ・ロックのファンの間では、もはや定番ともいえるバンドにまで成長していると思ってるが、日本のロックファン全体でみると、まだまだ浸透の余地はあるはず。

 

そこで、かなり簡単に、羊文学を紹介する記事を書いてみようと思う。

 

ぜひ、12月のメジャーデビュー・アルバムが、この記事を読んで楽しみだと思えてくれたら嬉しい。

 

 

 

◆羊文学について

 

羊文学は、女性2人、男性1人の3ピース・ロックバンド。

 

ギター・ボーカル:塩塚モエカ

ベース・コーラス:河西ゆりか

ドラム:フクダヒロア

 

以上の3人。

 

ギター・ボーカルの塩塚モエカは、ライブで聴くとかなり歌が力強い。といっても、「叫ぶ」ようではなくて「響く」ように歌ってる印象。シリアスな歌詞の曲から、可愛らしく甘い歌詞の曲まで歌えてしまう幅の広さがある。

 

ベース・コーラスの河西ゆりかは、このバンドのコーラス、ハモリの部分で重要な役割を果たしている。羊文学というと楽器の響きとメロディに惹かれる人が多いだろうけど、よく聞くとハモリやコーラスがこのバンドのミソなんじゃないか。尖ったようなバンドアンサンブルも、コーラスがあるおかげでスルッと聞けてしまう。

 

ドラムのフクダヒロアは堅実に、軽やかで細かく音を出すのが得意じゃないかと思ってるが、出るときはしっかり出てくれる印象。ライブで轟音を響かせる時には特に感じられる。コーラスもできるので、彼の歌も重要だ。

余談だが、ものすごく髪が長くて、女性だと思われることがあるらしい。

 

 

 

◆羊文学にハマれそうな人

 

基本的に洋楽邦楽問わず、オルタナティブロック全般好きな人は間違いないと思うが、以下のような音楽が好きだと、特に羊文学は好きになれると思う。あくまで日本のバンドから選んだ。

・Homecomings
・リーガルリリ
Base Ball Bear
ASIAN KUNG-FU GENERATION
cinema staff

 

以下のバンドは解散や活動休止してしまっているが、ここが好きな人も羊文学にハマる可能性が高いと思う。

スーパーカー
・きのこ帝国
チャットモンチー

 

 

 

◆作品紹介

 

羊文学は現在までに4枚のEPと1枚のフルアルバムをリリースしている。それぞれサブスクリプションでも聞くことができる。

 

フルアルバム

・『若者たちへ』2018年リリース

 

EP

・『トンネルを抜けたら』2017年リリース

・『オレンジチョコレートハウスまでの道のり』2018年リリース

・『きらめき』2019年リリース

・『ざわめき』2020年リリース

 

 

 

◆聞いてほしい曲

 

基本的に、作品紹介で挙げたアルバムとEPを聞いてもらいたい。サブスクリプションもあって、手に届きやすいので。

 

とはいえ、いきなり全てを網羅するのは大変かもしれないので、とっかかりとなるよう、いくつかの曲を挙げることにする。

 

①「1999」


2019年の暮れに限定生産でリリースされたシングル曲。じつはかなり前からある曲で、ファンとしては「ようやく出てくれた」という気持ち。全国的なヒットとなった。

 

羊文学というバンドを一番表した曲なんじゃないかと思う。直球のオルタナティブロックをしながら、世紀末のクリスマスというどこかもの悲しいテーマを歌い、コーラスがあって全員の声が聴ける。まずはこれを聞いてほしい。

 

②「ドラマ」


アルバム『若者たちへ』に収録されている。

青春時代が終われば 私たち 生きてる価値がないわ

というシリアスすぎる詩で始まる曲。だが、決して暗いだけでない。メロディはどちらかというと「切ない」。途中で少しだけテンポが落ちて、力強く演奏されるパートが特に素晴らしい。

最後の最後に

プールサイド キスをしよう

と終わる歌詞の甘さ。羊文学のシリアスな面がすごく出ている名曲だと思う。

 

③「ロマンス」


EP『きらめき』に収録。羊文学を羊文学たらしめるのは、こういう曲も作れるからだ。とにかく明るいけど、押しつけがましい明るさじゃないし、中盤でノイジ―なギターが炸裂する。

女の子はいつだって無敵だよ

と歌う。なにかから解放された、という心地よさが感じられる。シリアスと甘さが同居する音楽性が、このバンドが人を惹きつける理由。

 

④DRIP TOKYO 羊文学


これは曲じゃなくてライブ。DRIP TOKYOのYoutubeスペースで今年4月に演奏した模様の動画。特に聞いてほしいのは1曲目の「人間だった」と最後の「恋なんて」。どちらもEP『ざわめき』に収録。

今年の1月に大阪梅田シャングリラで「ざわめき」の先行販売兼レコ発のワンマンライブがあって観に行った(その時はコロナウイルスは全然日本で流行してなかった)。

そこで恐らく初めて「恋なんて」が演奏された。この動画では伝わりきらないかもしれないが、生で聞くと鬼気迫る演奏を羊文学で一番感じられた。

ちょっとした余談だったが、EP『きらめき』はかなり甘みのある曲が多かった反動からか、EP『ざわめき』はシリアスな面が強められていて、この動画からも、現在の彼らの勢いがよくわかると思う。

 

⑤(追加)

以上のものは公式動画があったので取り上げた。以下にはアルバムとEPに収録された、公式動画がないものを挙げる。CDを買ったり、サブスクリプションなどを利用して自分の耳で聞いてほしい。

・「うねり」(EP『トンネルを抜けたら』収録)

・「ハイウェイ」(EP『オレンジチョコレートハウスまでの道のり』収録)

・「ブレーメン」(EP『オレンジチョコレートハウスまでの道のり』収録)

・「エンディング」(アルバム『若者たちへ』収録)

・「天国」(アルバム『若者たちへ』収録)

・「絵日記」(アルバム『若者たちへ』収録)

・「夏のよう」(アルバム『若者たちへ』収録)

・「Red」(アルバム『若者たちへ』収録)

・「若者たち」(アルバム『若者たちへ』収録)

・「ソーダ水」(EP『きらめき』収録)

・「ミルク」(EP『きらめき』収録)

・「祈り」(EP『ざわめき』収録)

 

 

 

◆おわりに

 

いかがだっただろうか。羊文学はオルタナティブロックというものがキーワードになるだろうけど、取り上げた曲からもわかるように、甘くて可愛らしい曲もあるおかげで、女性ファンも多い。ワンマンライブを2回見ているが、どちらも老若男女とわず、かなり幅広い客層だった。ポップスとしても人気を得やすいと思う。

 

12月に満を持してメジャーデビューアルバムを出す羊文学を、過去の曲を振り返りながら、いったいどんな風に進んでいくのかを皆で見ていきたい。

 

新たに羊文学に出逢う人のためにこの記事を書いたし、改めて羊文学の歩みを振り返りたい人にも、この記事が読まれてほしいし、ぜひ聞き返してほしいと思う。

 

 

(文:ジュン)