出前寿司Records

よりどりみどりの音楽カルチャーサイト

toe新譜レビュー(That's Another Story)

  新譜レビューの割にはずいぶん遅くなってしまったけどやります。(リリースは1/24。2週間近く経ってしまっている)

 

f:id:delivery-sushi-records:20180131200954j:plain

 

 はじめに断っておきます。

 自分、熱心なtoeのファンじゃないです。

 「なんだよそれ」ってツッコミありがとうございます。とりあえず軽いリスナーでも今回の新譜は楽しめるということは伝わってほしいです。※言い訳

 

 ポストロックは好きなんだけど、toeとかのインストロック系、マスロック系がそれほど好きじゃなかった。ある日なんとなく自分が持ってる唯一のtoeのアルバム「the book」をドライブのBGMに選んだ。もう何度も聞いたけどこの時は数か月ぶりくらいだった。その時、なんだか今までと聞こえ方が違った。「あれ、こんなよかったっけ。そういえばもうすぐ新譜でるよな。買うか」。回想終わり。

 

 で、新譜を買って気に入って何度も聞いて、この記事を書くに至るということです。

 

 とりあえずこのアルバムについて。ざっくり言うと、これはリミックス、音源集。toeの曲をだれかがリミックスしたり、toeがカバーした曲があったり、CM提供した曲があったり。そんなアルバム。

 

 以下、トラックリストと曲ごとに簡単に一言。赤字は自分のお気に入り。

 

 #1 He Passed Deeply feat.コトリンゴ ※オリジナル:Little Creatures

 男女のささやくようなようなハモリからドラムが急にでてきて、そこからどんどんバンドサウンドになっていく展開にテンションが上がる。

 

 #2 8.6 feat.土岐麻子 ※オリジナル:Husking Bee

 とにかくオシャレ。ドラムも手数は多いけど軽やかで本当にカフェとかで聴きたくなる、2分半くらいの短い曲だけど素晴らしい曲。土岐麻子の歌、いいわあ。

 

 #3 Clap (toe mix) ※オリジナル:Back Drop Bomb

    冒頭2曲が優しい空気を作ったなかで急に冷めたこの曲が間延びをさせない。男性ボーカルがほんとかっこいい。夕暮れの薄暗い通りをこの曲聞きながらポケットに手をいれて歩きたい。

 

 #4 It's A Shame ※オリジナル:The Spinners

 メリハリが気持ちいい曲。鍵盤のふわっとしたエレクトロニカみたいな音色にそっとギターとドラムが乗って、サビはしっかりバンドサウンド

 

 #5 Talk Show

 また土岐麻子が登場してるオシャレな曲。toeの演奏はボーカルのサポートみたいだけど、すごくノれるし、甘いボーカルとの相性がいい。

 

 #6 The Faber ※オリジナル:Pele

 このアルバムには珍しい完全インスト曲。インストポストロックでは有名なペレのカバー。ドラム大暴れ。サビでのアコギが爽快。

 

 #7 ラストナイト

 これもドラムが引っ張っていく曲。木琴みたいな音とかアコギの音とかいろいろ入ってる楽しい曲。途中の人のつぶやきが最高にクール。

 

 #8 Run For Word

 NIKEのCMに使われた曲。ぶっちゃけこのCM覚えてないけど。とりあえず一人で黙々走ってる感じは伝わってくる。


TOE' - RUN FOR WORD NIKE RUN-Fwd

 

 #9 Next I Dance Alone

 これもCMソング。もともとあった彼らの曲のCM用のバージョン。原曲探して聞いてみたけど断然これがいい。


砂漠 / Pocari Sweat

 

 #10 Another After Image feat.Shing02

 つま弾くアコギにラップがのったかっこいい曲。とても短い曲なことが残念。

 

 #11 ネルマレ

 女性ボーカルのある小曲。序盤にあった曲たちとは違って、切なさと迫力がある。これももう少し長いバージョンが聞いてみたかった。

 

 #12 グッドバイ(starRo Remix)

 toeの名曲と名高いグッドバイのリミックス。はっきり言って原曲を完全に食った超名曲。もはや美メロ系エレクトロニカ。#8~#11まで小曲の引き締まった曲が続いたタイミングで流れてくるからすごく引き込まれる。ちなみに原曲はこちら。これがどんな風に進化してるのか聞きたいってだけでもこのアルバムは買う価値がある。


toe - グッドバイ PV / "Goodbye" Music Video

 

 #13 月、欠け(BudaMunk Remix)

 toeの曲のリミックス。断片的なリフの間をビートとささやく女性ボーカルが埋める。ヒップホップみたい。

 

 #14 月、欠け(Sick Team Remix)

 同じ曲の別のリミックス。こっちはがっつりラップがある。#13と#14はつながった一つの曲みたいだ。#13がインストパートでゆっくりフェイドアウトして#14のボーカルありパートにつながるような。リフありきの曲だからできるきれいな流れ。

 

 #15 The World According To(Textual Remix)

 このアルバムのベストトラック。神々しい。その一言に尽きる。

 

 #16 Commit Ballad feat.CharaMitsu the Beats Remix)

 もはや「これtoeの曲だっけ」ってレベルな仕上がりになってる。もちろん良い意味だ。ナイスなポップス。このアルバムでは一番聞きやすい曲かも。

 

 #17 Song Silly(荒内佑 Remix)

 原曲と比べるとバンドサウンドが鳴りをひそめてビートが強くなってる。ヒップホップというのかダブというのか・・・(詳しくなくてごめんなさい)。なんとなく都会的な感じ。そりゃceroの人のリミックスだからそうか。ちなみに原曲はこちら。


toe "Song Silly" (Official Music Video)

 

 以上、全17曲。アルバムトータル時間は1時間弱くらい。これまでのtoeの作品と比べても結構なボリュームだと思う。

 インスト系ポストロックってワンパターンな曲が多くてダレやすい、なんて人もいるかもしれない。実際自分がそうでした。だけどこれは一味違う。リミックス等でいろんなミュージシャンが参加してるだけに、ボーカルあり、ラップありな曲がかなり多い。しかも、メロディがやさしい。回想で出てきた「the book」は1曲目を除いて全部インストの硬派な曲ばかりで、引き締まった印象がある。それと比べると信じられないくらい聞きやすい。そのなかでもクールなかっこいい曲もアルバムの間に挟まっててバランスもいい。

 

 というわけで採点は

 4.5/5.0

 ということにしたいと思います。(新サイトに移行ということで、今回は初めて点数をつけてみました)

 

 このアルバムのおかげで「リミックスした/ボーカルやってたこの人の曲、聞いてみよっかな」って人がたくさんいる、というか全員だ。toe、およびポストロック入門の新しいスタンダードになると思うし、そこから新たに聞くものが広げやすい。このアルバムが今年たくさん売れますように。

 

 

(文:ジュン)