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代官山とアオハルユース (8/20 羊文学 "わたしたち"へ)

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2018年8月20日代官山UNIT。羊文学にとって通算2回目となるワンマンライブ「"わたしたち"へ」が行われた。

先日リリースされたフルアルバム『若者たちへ』のレコ発でもある今回のワンマンは、これまでの羊文学を総括しつつ、新たな飛躍を見せてくれた素晴らしい一夜だった。

 

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✱  ✱  ✱

 

ライブは予定の19:00を少し過ぎてスタート。

おなじみのSEであるThe xxの「VCR」と共に塩塚モエカ(Vo. G.)、ゆりか(Ba.)、フクダヒロア(Dr.)の3人が登場し、会場が歓声に包まれる。

 

まずはアルバムの冒頭も飾る「エンディング」。塩塚の伸びやかなボーカルとオルタナティブなギターが心地良い。フクダのドラムは相変わらず鋭くかつ暴力的だ。ゆりかのベースはいつもの縁の下の力持ちで2人を支える。

そして、アウトロからそのまま「RED」へ。その堂々とした佇まいは貫禄たっぷりだった。

 

次はEP『オレンジチョコレートハウスまでの道のり』から「ブレーメン」と「ハイウェイ」。音楽を鳴らしながら駆け抜けていく羊文学のこれからを改めて決定づけるような流れに思わず息を呑んだ。

 

塩塚の弾き語りから始まった「夏のよう」で夏の終わりを感じたあとは、EP『トンネルを抜けたら』から「雨」を披露。イントロからアウトロまでかっこよくない瞬間が微塵も存在しない。

さらに今回のアルバムから「天国」「絵日記」「ドラマ」と続いた。「ドラマ」では背景がMVのタイムラプスの映像に変わり、一気にバンドの世界観に引き込む。

 

続いて『トンネルを抜けたら』から「うねり」と「踊らない」を披露。「うねり」はあまりライブでは披露されないレア曲。鬼気迫るような塩塚のボーカルに否応なしに引き込まれていく。

 

「涙の行方」は『オレンジ〜』から今回の『若者たちへ』にも収録された曲。「色々あるけど最後は良かったなと思える曲(塩塚)」という言葉通り、バンドにとって重要な位置にある曲であることが分かる。終盤の手拍子と共に訪れる多幸感は本当に素晴らしい。

 

続けて『オレンジ〜』から「マフラー」が披露され、ラスト2曲は今回のアルバムから「若者たち」と「天気予報」。

「若者たち」のイントロからなだれ込む様はいつ観ても鳥肌が立つ。8分超えの大曲で羊文学のポテンシャルをまざまざと見せつけられる。

ラストの「天気予報」で会場を懐かしくも優しいようなほのかな幸せで包んで本編は終了。大きな拍手と共に3人はステージを後にした。

 

なお、途中のMCでは「今回のワンマンのテーマは "手紙" です(塩塚)」と説明。「私が手紙を書く人(塩塚)」「私は郵便屋さん(ゆりか)」「フクダは手紙(塩塚)」と3人の役割を明かし、会場をわかせた。

 

✱  ✱  ✱

 

アンコールでは、和やかなグッズ紹介を経て、まず今回のアルバムから「コーリング」を披露。演奏後「この曲楽しいね(塩塚)」と、本編よりかなりリラックスした様子。

 

続けて「カバーをやってみようかな(塩塚)」と言って披露されたのは、なんとスーパーカーの「AOHARU YOUTH」だった。原曲は打ち込みのエレクトロニカだが、羊文学の手にかかれば肉体性を帯びたオルタナ曲に様変わり。バンドの新たな一面を垣間見れた貴重な瞬間だった。

 

ラストは大名曲「Step」。『トンネル〜』から『若者たちへ』にも収録された、羊文学を代表する曲だ。イントロですべてを持っていってしまう力がこの曲にはある。

こうして羊文学の2回目のワンマンライブは、大盛況の内に幕を閉じた。

 

✱  ✱  ✱

 

羊文学のライブはいつも着地点が高い。上昇していく気持ちがそのまま高水準を保ち続け、こちらに帰ってこない。歌の強さとスリーピースという強靭なトライアングルが生み出す魔法のようなライブを羊文学はいつも繰り出してくる。今回は特に、その最高レベルを飄々と叩き出してしまったような気がした。

 

今年の4月1日に初のワンマンライブを下北沢で行なった時よりひと回りもふた回りも大きくなった羊文学がそこにはいた。

 

羊文学のアオハルは、まだまだこれからだ。

 

✱  ✱  ✱

 

2018年8月20日

羊文学『若者たちへ』リリース記念ワンマンライブ「"わたしたち"へ」

1. エンディング

2. RED

3. ブレーメン

4. ハイウェイ

5. 夏のよう

6. 雨

7. 天国

8. 絵日記

9. ドラマ

10. うねり

11. 踊らない

12. 涙の行方

13. マフラー

14. 若者たちへ

15. 天気予報

en1. コーリン

en2. AOHARU YOUTH (スーパーカー)

en3. Step

 

 

↑さこれたによる『若者たちへ』のレビュー記事も合わせてどうぞ。

 

 

(文:おすしたべいこ)

 

 

おすしたべいこのMBV散歩 vol.6 (8/17 SONIC MANIA編)

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2018年8月17日

 

 

25:30

 

怖い

My Bloody Valentineのライブが怖い

 

15日に単独公演を観て爆音にぶん殴られて以来マイブラしか聴けなくなってしまった自分が、またマイブラを観ようとしている

しかも人をかき分けて割とステージ近くまで来てしまった

お金を払ってわざわざ疲れに来ている

 

怖い

 

自分の右にはフォロワーのさこれたといぬのけつ、左には会社の同期がいる

少し離れた所に揺らぎの3人もいる

バグってるみたいな空間だ

 

サウンドチェックでバスドラムが何回か鳴らされた

すでに災害レベルである

 

 

25:45

 

右ポケットに持参した耳栓をしのばせた

単独よりも大きい音なんだろうか

怖い

 

なぜライブを観るのにこんなに怖がる必要があるのか

 

少しすると会場が暗転

4人が登場した

各々定位置につく

めちゃくちゃ怖い

 

ドラムのカウントが始まる

首をすぼめて耳をふさいだ

 

 

-----

 

 

1発目のI Only Saidから大音量で思わず笑う

でも耳栓は今回も要らないレベルだった

単独を観て少し耐性がついたのかもしれない

轟音が心地良い

 

New Youで歌うビリンダの姿が美しすぎる

ドレスとギターがキラキラ光っていた

 

セットリストは単独公演のものから数曲削っただけで順番は同じ

一曲だけやった新曲("New Song 1")は改めて暴力みたいな曲だと思った

 

全曲いい

本当にいい

単独の時の苦しさが今回はない

とにかくノれるし踊れる

自分の前にいる人はあたかも激しいギターを弾いているかのような動きをずっとしていた

 

ドラムの音が相変わらずデカい

バスドラムで内臓をえぐられるようだ

情け容赦がなさすぎる

 

豪雨の中で殺されるような、あるいは爆撃機が落ちてくるような、全くもって穏やかじゃないライブなのに、不思議と自分を優しく包み込むような感覚に陥る

同居するはずのないものが絶妙なバランスで自分に襲いかかる

 

ケヴィンもビリンダも本当に下を見ながらギターを弾いている

本人たちはシューゲイザーという呼称が好きではないかもしれないが、これをシューゲイザーと呼ばずして何と呼ぶのだろう

デビーとコルムの激しいリズム隊の上を2人のギターがたゆたう

 

To Here Knows Whenの子守唄感は異常

曲の途中で目をつぶり音に身を任せてみる

多分子宮の中にいる赤ちゃんはずっとこんな音に包まれているんだろうなと思ったりした

ライブ会場で胎内回帰できてしまう

どんなバンドだよ

 

やはりSoonは最高だった

イントロでドーパミンが溢れ出す

良すぎて言葉が出ない

自分にとっての世界最高峰のダンスミュージックがそこには存在した

葬式で流して欲しい

 

Feed Me With Your Kissが始まることで次がラストであることを悟る

激しい爆撃のような曲なのにケヴィンもビリンダも涼し気な顔

デビーはいつも通りアグレッシブ

コルムはもう早く帰りたいと思ってそうだ

 

最後はYou Made Me Realise

イントロがバカみたいにかっこいい

ノイズパートは単独の時とだいたい同じ長さだったが相変わらず長すぎて不安すら覚える

とにかくうるさい

静かにするということを知らないのだろうか

 

ライブは大歓声の中終了

アルコールはとっくに分解されていた

どっと疲れが押し寄せる

俯きながら拍手を送った

 

 

-----

 

 

27:15

 

夏が終わったと思った

終わってしまった

 

ソニマニ自体はまだ続いているがもう何も聴く気が起きない

マイブラ以外何も聴けない状態が無期限に延長されてしまったような気がした

おそらく少なくともこの土日はバカの一つ覚えみたいにSoonを聴き狂うだろう

 

iPhoneのカメラロールに収まった写真や動画を見返す

こうして自分のものにしたってあのライブはその場にいないと全く意味がない

よく分からない虚無感に包まれた

 

My Bloody Valentineのライブを2回も観てしまう夏だった

結局あれは現実だったのだろうか

週一で観ても多分現実感はない

 

マイブラは宗教だし、ケヴィンは教祖だ

こんなことは本来気安く言うべきではないがこれは本当だから仕方ない

もうとっくに自分が手遅れな状態であることを悟るばかりだ

 

間違いなく自分の人生を変えたバンドだと思った

マイブラに出会ってなければTwitterもやってないし東京にもいなかったと思う

 

次はいつ日本に来てくれるのだろうか

その日を願って、今日も轟音に身を任せようと思う

 

My Bloody Valentineこそはすべてです

 

ありがとう、またいつか

 

 

 

(文:おすしたべいこ)

 

 

 

おすしたべいこのMBV散歩 vol.5 (8/15 豊洲PIT編)

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2018年8月15日

 

 

18:30

 

ついにこの日が来てしまった

My Bloody Valentineの来日公演である

 

フォロワーのさこれたと白糖・ツインズと共に豊洲PIT前の喫煙スペースにいた

 

入場が始まり、ぞろぞろと人々が歩き出す

3人でしばらくその様子を眺めた

みんな覇気がないが内心ワクワクしているはずのオタクたち

マイブラのTシャツを着ている人もいれば、ジザメリやカンなんかもいる

ここぞとばかりに自己主張が激しい、コミケさながらである

そして全員がマイブラ好きときた

全く意味が分からない

 

しばらくしてみらこ(揺らぎ)が合流

入場していく人々を見て一言「これだけ人がいるならシューゲイザーの未来は明るい」

 

 

19:00 

 

入場の列が切れた頃を見計らって自分たちも突入した

とにかく人が多く、はぐれないように電車ごっこをしながら歩く

 

SwervedriverのTシャツを着た人を見かけた

勝手に変態認定

 

例によって耳栓が配布されていた

係の人「大きな音が出ま〜す」

小学校の先生かよ

 

白糖はここで友達と合流

無事を祈りつつ見送った

 

この時、モデルの菅野結以さんを目撃する

 

 

19:30

 

ドリンクを引き換えた

開演時間だが当然のように始まらない

もうすぐライブが始まると思うと変な汗が止まらなかった

 

この時、きのこ帝国の佐藤千亜妃さんを目撃する

 

すでに会場は大勢の人々で埋まっており、自分たちはほとんど最後列の上手側に収まった

 

しばらくしてSEが止み暗転

大歓声の中、あの4人が登場した

ここでみらこの涙腺が崩壊

自分の目にも自然と涙が浮かんだ

 

My Bloody Valentineがいる、本当にいる

 

いよいよ始まった

 

 

-----

 

 

どの程度の轟音なのか想像もつかなかったが、いざ始まると位置的にも耳栓がなくても耐えられる

この時自分はもう今日は絶対に耳栓をつけないと誓った

ただ、本当に音が大きい

めちゃくちゃうるさい、めちゃくちゃ

 

新曲以外はどの曲も知っていた

何回も何回も聴き狂ってきた曲たちだから当たり前だ

 

4人の姿が見えた

 

ケヴィン・シールズはバカみたいに高く積まれたアンプの壁の前に立っていた

丁寧にギターを操りながら意味の分からない爆音を奏でている

どう考えても人間じゃない

 

コルム・オコーサクは時に突っ走るような激しいドラムプレイを繰り出し、かと思えば打ち込みのような正確なフレーズを淡々と延々と叩いたりもする

とにかくドラムの音がアホみたいに大きい

空間を叩き割るようだ

どう考えても人間じゃない

 

デビー・グッギはひたすらネックを弾いているように見えた

音がデカすぎて正直ベースの音が聴こえてるのか聴こえていないのか判別がつかない

かろうじて人間だった

 

ビリンダ・ブッチャーは女神だった

 

曲を聴いているというよりは音がひたすら自分に迫って来るような感覚

耳栓なんて全く必要なかった

全てを聴いておきたかった

 

ステージ後方のスクリーンにはあまりにもサイケデリックな映像が流れ続けている

爆音も相まって、まるでケヴィン・シールズの頭の中を無理矢理見せられているような感覚に陥った

普通に気が狂う

 

中盤あたりから人の出入りが多くなった

おそらく具合が悪くなったものと推測する

無理もない、爆撃機のようなライブである

 

飲み干したビールのコップがビリビリ震えていた

 

Isn't Anythingの曲もLovelessの曲もmbvの曲も本当にかっこいい

そして本当にかっこいい

さらに本当にかっこいい

本当にかっこよかった

新曲はもうあまり覚えていないが本当にかっこよかったことは覚えている

記憶が轟音でかき消されたらしい

 

個人的なベストアクトはSoonだった

あの曲は自分にとっての最高のダンスミュージックであり続けるという確信を得た

踊りながら死にたい

 

You Made Me Realiseのノイズパートの中で、永遠にこの轟音の中にいたいという気持ちと、この轟音が永遠に止まないことで一生帰れないのではないかという不安が限りなく拮抗していた

 

ライブは気づけば終了

過酷な耐久レースを終えたような気分だった

耳と脚が限界、疲れた

 

 

-----

 

 

22:00

 

さこれたとみらこと3人でよたよた歩く

「やべえ」「うるせえ」などと、ギャルのような感想にならない感想を言い合いながらサイゼリアに流れ着いた

 

各々ツイートしたりTLを見て盛り上がる

セットリストの写真

ステージに並べられた大量のギターの写真

フォロワーの感想のツイート

それぞれのマイブラがそこにはあった

 

どんな言葉を使ってもあのライブを表現するには足りない気がした

 

何も聴きたくない

余韻だけであまりにも十分だった

 

 

23:45

 

「次はソニマニで」という最高な別れ方で一人になり、電車に揺られていた

 

轟音を浴びていたのが遠い昔のようにさえ思えたが、My Bloody Valentineをこの目で見たことは紛れもない事実だった

 

伝説だ

あれは伝説なんだ

伝説を自分は見ていたんだ

 

数年前にマイブラを聴いて以来ずっと夢見ていた瞬間に、マイブラのライブを観るという瞬間に、確かに自分は今日存在していた

 

夢が叶ったんだ

 

ありがとう、My Bloody Valentine

 

 

 

(文:おすしたべいこ)

 

 

【ディスクレビュー】1stアルバム 羊文学-若者たちへ

 

羊文学-若者たちへ

 

2018.07.25 

    羊文学  1stアルバム「若者たちへ」がリリースされました。

    これまでの楽曲から初収録のものまで詰まった半ベストアルバムのような作品。

 

    全11曲をかんたんにレビューしていきたいと思います。と言っても、そんないいこと書けないので長らく見てきた1人の人間の感想です。

 (タイトルにApple Musicのリンク埋め込んであるので気になったらポチッとしてください)

羊文学・アルバム・若者たちへ

 

01.エンディング

 だいたい1stアルバムの1曲目に「エンディング」というタイトルの曲を持ってくるマインドが好き。

 1曲目にふさわしすぎるシューゲイザー的な作品。美しすぎる。アルペジオも、ギラついた轟音も、何より歌詞が美しすぎる。歌詞彫りたい。人生には終わらせたいことが山程ある。

 人生のエンドロール、その頃はテレビなんてオワコンかもしれないけど、どうか全てが終わった時にテレビの砂嵐をこの轟音に変えてくれ。

(初収録)

 

 

02.天国

 明るいメロとノリやすいリズムに引っ張られてうきうき聴いてしまうけど、冷静に歌詞を読んでほしい。

    "クーラーガンガンで布団にくるまってアイス食べる感じ?"

    "最愛の猫とお酒のんで昼寝でもする感じ?"

 まあ天国=楽みたいなイメージはみんなそうですよね。行ったことないし。崇拝対象ですよね。

 "それじゃ大差ないね!"

いやこんな救われる1文ないだろ。

 (P.S.昔、塩塚さんが(Vo.Gt.)カルピスのCMにしてほしいみたいなこと言ってましたので、どなたかお願いします。)

 (BiRTH.ep 収録)

 

 

03.絵日記

 羊文学のなかでも珍しい、わりとアップテンポな曲。『雨』もそうだね。

 消えて欲しいことに限って消えないし、尊いものほど消えてしまうみたいなことよくありますよね。この怒りとか虚しさみたいなものが漂う初期作品の歌詞とシンプルなロックバンド的な構成を今あらためて聴けるのはとても嬉しい。

 (BiRTH.ep 収録)

 

 

04. 夏のよう

 タイトルが秀逸すぎる。最近のむしむしした身体にまとわりつくような暑さに似ている音楽。最高じゃないですか。

 個人的に羊文学は蜃気楼的な情景をみせてくれるバンドで、陰となるのは『Blue.2』陽?となるのが『夏のよう』です。

 全秒いいな。

(初収録)

 

 

05.ドラマ

www.youtube.com

 今作の表題曲。「探していたのはアメリカ」とあるように、自由や夢をつかめると信じて探していた青春時代が終わってしまう。ベースが絶望を感じさせていてとても好き。 あと途中のシャウト。絶対気持ちいじゃん。

 本当に若者たちへという作品にぴったりな曲。「作品」ってこういうものだなと思いました。

(初収録)

  

 

06.RED

 イントロがたまらない。羊文学はこういう攻め殺してくるようなイントロを平気で作る。やめて。

 "愛はいつだって複雑だ"

という歌い出しが本当に全てで、嫌なことも怖いし、いいことだってそれはそれで怖いっすよね~。この共感のバランスが本当に絶妙。すごく生命的な曲です。心拍を感じるぞ。

(初収録)

 

 

07.Step

www.youtube.com

 イントロ殺しが続くじゃん。重々しいのが続いたあとのStepはずるいな~。

 この絶妙な軽さと歌い方と生活感。羊文学っぽくないのに羊文学っぽいよね。てかプールサイドって言葉好きだね。

  『ドラマ』→『Step』だなあと思いました。まあここで「次のステップにいこうね」みたいな事を言われると捻くれた人間はムカつくんですけどね。そうじゃない優しさが詰まった曲ですね。

 そんな簡単に大人になんかなれね~~~よ。仕方ないこと、仕方なくないよ本当は~~~。

(トンネルを抜けたら 収録)

 

 

08.コーリング

 ここまでくるとイントロが全て最高に聴こえてきてしまった。

正直すごく好きなんだけどイマイチどこが好きなのかわかならない曲。

    一つ言えることはこの勢いで

    "君の明日は死なない"

とか言ってくれる救いが存在することだ。絶対にライブの最後に観たいでしょ。

(初収録)

 

 

09.涙の行方

 本当に気持ち悪い曲。(褒めてます)

 "そういえば""いつまでの"

の下降するところとか本当に気持ち悪い。構成が最高に好きだ。ラスサビのクラップも本当に自然と拍手したくなる。

 『絵日記』の「わたし今もベットの上で泣いたりしなくてもすんだこと沢山あったよなあ」に頷いた人間をしっかり救う曲。全部意味があるらしいよ。よかった。

(オレンジチョコレートハウスまでの道のり 収録)

 

 

10.若者たち

 "僕らはいつでも難しいことばかり考えてはダメになる たまにはお酒やふざけた歌で笑うくらいは余裕があったらなあ"

 何百回も感じたこの感覚も大人になると簡単に余裕...というか諦めて、なんてことなくダメにならずに進めちゃうんですかね。みんなの心の中の若者にグサグサ刺さる8分間。是非向き合ってください。

(初収録)

 

 

11.天気予報

www.youtube.com

 羊文学の中では1番ポップな曲。本当に心を蝕む曲。

 "雨降りのマークを集めて"

 "笑いあったあの日のこと"

 "快晴のマークを集めて"

 "嘘つき" "未来" "ワクワク"

ところどころ抜き出しても無邪気な言葉が多く、気がついたら口ずさんでしまう。

    実際こんな無邪気な生活をしたわけでもないのに「そう言えば小さい頃そうだったかも」と思わせ...洗脳かよ。。なんて半分笑顔で聴いているところに

    "嬉しいときも、悲しいときも 全部受け入れるかい? 君たちもやがて忘れてしまうよ 覚悟はできているかい?"

なんて言ってくるバンドいる?いる。

    最初の「僕らが憧れた~」だけまだ現実的じゃない夢物語感を出しているの まじでドラムいい仕事しすぎでしょ。この曲眩しすぎる。

(初収録)

 

 

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長くなりましたが、以上です。

 改めて、羊文学のこれまでが詰まったベストアルバムと言っても過言ではなさそうです。    

  「BiRTH.ep」~「オレンジチョコレートハウスまでの道のり」 そして、現在とこれからの羊文学を感じられる作品だと思います。

 

   「若者→大人」になるのには明確な時期は決まっていません。(成人式とかはただの形式なので。)その曖昧な節目を迎えた人も、これから迎える人も、若者にも大人にもなれていない人にも届く作品だと思います。自分の中にある「若者」を亡くしてしまいたくない人・亡くしてしまった人 全員に等しくこの作品が届きますように。

 

 

    身体にはどうぞ、気をつけてくださいね。

 

 

若者たちへ

若者たちへ

 

 

 

(文:さこれた)

 

 

扉の先にある世界~Plastic Tree「doorAdore」(2018)

 

はじめに

どうも、アキオです。今年も半分を過ぎ、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

僕は何もドラマチックなことは無いです、

ちなみに上半期ベストもまだ決まってないです。

そういえば執筆当時、ちょうど宇多田ヒカルさんの新譜「初恋」が発売されたので買いました。

いやー良いっすね…語彙力がないです…。

まあそれはそうとして、

今回は僕の好きなバンドの新作アルバムのレビューをしたいと思います。喰らえ!

 

Plastic Tree「doorAdore」(2018)

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曲目

  1. 遠国  
  2. 恋は灰色 
  3. エクジスタンシアリズム
  4. 雨中遊泳
  5. サイレントノイズ
  6. サーチ アンド デストロイ 
  7. 残映
  8. いろつき
  9. 念力
  10. scenario
  11. ノクターン
  12. 静かの海 

 

1、4、5、9、12は作詞有村竜太朗、作曲長谷川正

2は作詞作曲長谷川正

3は作詞有村竜太朗、作曲ナカヤマアキラ

6は作詞ナカヤマアキラ、作曲佐藤ケンケン

7は作詞作曲佐藤ケンケン

8は作詞佐藤ケンケン、作曲有村竜太朗

10は作詞作曲ナカヤマアキラ

11は作詞長谷川正、作曲有村竜太朗

となっている。

 

今作は彼らの通算14枚目のオリジナルアルバムとなっており、

バンドデビューから20年を超えた彼らの新たな作品でもある。

今作のアーティスト写真はこちら。

 

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メンバーは左から

ベース:長谷川正、

ボーカル&ギター:有村竜太朗、

ドラム:佐藤ケンケン、

ギター:ナカヤマアキラ

なんか、ふしぎアー写だ。

 

Plastic Treeというバンドは、アルバム事に作風を変えてくるバンドであるが、

根底にあるのは日本の歌謡曲ニューウェーブヘヴィメタルオルタナティブ・ロック、ゴシック・ロック、シューゲイザー

その様々なエッセンスを感じさせるバンドサウンドを奏でる彼らだが、

今作は全体的にナカヤマアキラのギターが目立つ作風となった。

 

まず、アルバムのオープニングを飾る「遠国」


Plastic Tree/「遠国」MUSIC VIDEO (from Album「doorAdore」)

妖しげなイントロから

 こゝろ 奪って 奪われて

繋がってる身体は誰?
すべて これ 錯覚なら

醒めるだけ されるだけ」

という悲しげなサビ、そして流麗かつヘヴィメタル的な早弾きのギターソロ。

この歌詞世界とバンドサウンドの融合は大きな特徴であり、その後も

 

「花びら舞って残されちゃってロンリー
面影ひとつすらなく
呆れてしまって巻き戻したいストーリー
さわりも視ないのに」

(恋は灰色)

 

「 最果てにある森の境界線のような 深い裂け目に咲いてる花にはどんな病にだって
ああもういいや
その手の話ならもうじゅうぶん聞いたよ
もういいや」

(サーチ アンド デストロイ)

 

「 渇いたいろ 映る君が囁いて
忘れかけた景色 ひとりきり
欠けたままの想いを僕は抱えて
剥がれおちる夢は途切れ モノクロの日」

(残映)

 

と、このようなテイストの歌詞が

時にはギターポップ、時にはゴリゴリのヘヴィメタル、またある時はポストロックやデジタルロックにのせられて奏でられる。

ここで実は注目してほしいことは全員作詞者が違うことだ。

各個人が作曲のできるバンドというのは、

まあそれなりにいるが(ラルクとかLUNA SEAGLAYも実はそう)、

各パートが均等に作詞も作曲も担当して、

歌詞に統一感があるバンドというのはあまり類を見ない気がする。

しかも、現ドラムは2009年に正式加入したメンバーであり、この体制は活動当初にはなかった、ということを考えると驚きである。

 

今作も個人的にはPlastic Treeらしい作風になったと思うのだが 、

前作の名盤「剥製」と比べると翳りを帯びているように思う。

比較のために並べてみた。こちらが前作。

剥製の曲たち


Plastic Tree - 「剥製」【Trailer】


Plastic Tree”全14アルバム”解説⑬ 「剥製」

 

続いて、こちらが今作の話。

doorAdoreの曲たち


Plastic Tree/Album「doorAdore」【全曲試聴Trailer】


Plastic Tree”全14アルバム”解説⑭ 「doorAdore」

 

それは恐らく、打ち込みパートが減少し、キラキラした音像が後退したことにも寄与しているとは思う。

そして、アルバムジャケットがモノクロで構成されてることも関係してるであろう。

ただ、それだけではない新たな要素も強く感じる。

バンドの歴史上、1曲ではまだしも、ここまで全面にギターを押し出したアルバムはなかったと思う。

ナカヤマアキラが音源で早弾きを弾きに弾きまくるのは音源では新鮮だ。

そして佐藤ケンケンのドラミングの軽やかさが目立つ。

「サーチアンドデストロイ」のようなポストロック的楽曲に活きてくる、流れる鳴りすぎないドラムが気持ちいい。

しかし、有村竜太朗、長谷川正、この両人の鉄壁のコンビネーションが安心感も強く与える。

この明確な変化と変わらなさ具合のバランスPlastic Treeの強さの秘訣だと思うし、

長年にわたり支持を集めている理由でもあると思う。

このバンドはまだまだ底が見えない。

 

来月には新曲インサイドアウトが発売されるのだが、またこのアルバムとは違うギターポップ的な雰囲気があって非常に楽しみだ。


Plastic Tree/インサイドアウト【MUSIC VIDEO】

 

核を変えずにでも柔軟に変化し続ける、

枯れることのない木、彼らの旅路が僕には楽しみである。

 

 

後書き

改めて聞き直しながら書いていたのだが、

今作は前作以上に纏まっているのと、

ナカヤマアキラのギターが堪能出来るアルバムで1番好みである。

 

そしてやっぱりPlastic Treeにしかない、

独特の音像と世界観、哲学が随所に見られる作品となった。

ずっと続いて様々な世界を見せて、そして魅せてくれることを僕は楽しみにしようと思う。

 

 

おまけ

彼らは近年、ファン投票元に過去アルバムの再現ライブを行ってるのだが、

今作も例に漏れずその映像がついている(完全限定生産盤のみ)。


Plastic Tree/メジャーデビュー二十周年“樹念”特別公演 於 パシフィコ横浜【LIVE DVD Trailer】

 

ちなみに今年も過去アルバム再現ライブやるよ(7月7日)、あと9月から仙台を皮切りにツアーもやるよ。


Plastic Tree”全14アルバム” 演奏作品決定

 

詳しくは公式サイトから!

www.jrock.jp

ただの宣伝になってしまった、反省してるが後悔はしていない。

 

参考文献

rockpress.tokyo

skream.jp

 

ROCK AND READ 076

ROCK AND READ 076

 

 

natalie.mu

 

vif-music.com

spice.eplus.jp

realsound.jp

realsound.jp

realsound.jp

 

 

(文:アキオシロートマグル)

 

 

最近Suedeにハマってるっていう話。

ズキューン!toraです。

 

気が付いたら大学二年生になってました…

教員は老害ばっかだし、変な課題あるし、大変です。

 

そんな二年生になってからめっちゃ聴いてるバンドがいるんですね。

こちら。

 

http://www.summersonic.com/2016/lineup/images/b010.jpg

 スウェー丼Suedeです。

 

 

前々からSuedeというバンドには興味があったのに、中古CDばっか聴いている人ゆえになかなかCD見つからず、聴けなかったんです。まあ、その時は

 

「たまたま見かけたらでいいや~」

 

くらいの興味だったんですが…

 

ほんで4月、リズと青い鳥を見に行き、内容はもちろん、テーマ曲を歌っていたHomecomingsが素晴らしいかったわけです。

 

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 (↑さこれたさんのHomecomingsの記事です。)

 

その後、何となくアマゾンを見ていたら、

Homecomingsがプライム会員なら一部作品聴ける!!!

ということを発見。たまたまプライム会員だった僕は他のアーティストの作品もいろいろ探してみたわけです。

 

そんな中で見つけたのがこれ。

 

2016年作の「Night Thoughts(夜の瞑想)」

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41ZPSpT1bCL.jpg

これが感動的な出来栄えで一気にのめりこんだわけです…

 

この作品はぜひアルバム一枚丸ごと味わっていただきたい!

一曲一曲がつながっているんです。音的に。

この曲ごとの間にいつも感激させられてしまいます…これ一枚で”Night Thoughts”という壮大な一曲を聴いているといっても過言ではない、言ってしまえばプログレ的な一枚でもあるわけです…

 


Suede - Night Thoughts (Full Album)

 

open.spotify.com

 

Night Thoughts

Night Thoughts

 

で、ほかのアルバムもらほら。

Suede、どうやら再結成後のアルバムとベストしかストリーミング配信してないみたいですが、頑張って中古探したり、Amazonで注文したりしてアルバム集めています。

 

 

少し偏りあるけど…気に入った曲を紹介させてぇや!

 

The Beautiful Ones

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The Beautiful Ones

The Beautiful Ones

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最初に聴いたのは3rdアルバム”Coming Up”収録のこの曲でした。彼らがブリットポップに区分されるのもわかります。超ポップ。oasisblurかといえばblurよりな気がしますが、明らかに彼らよりエロい。特にBrettの声が。

 

 

Animal Nitrate

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Animal Nitrate

Animal Nitrate

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と思ってたらギターもエロかった…歌のメロディとともにギターでもまた綺麗でエッチぃメロディが奏でられている…なんだか少し新鮮な感じがしました。

 

 

So Young


Suede - "So Young" (Later... with Jools Holland '93) HD

 

So Young

So Young

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アルバム、しかもデビュー作の一曲目がこんなに哀愁漂う曲なんて…

間奏のピアノもおしゃれでカッコいいんだけど、めちゃくちゃ若さ溢れまくりな歌詞とのギャップもちょっと面白いかも。

ちなみにこのTVパフォーマンスの動画が大好きで、ギターのBernardが一人で間奏のピアノパートも含めたこの曲のギターパートを弾ききっているところがほんとにすごくて感動しました…

 

 

The Drowners

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The Drowners

The Drowners

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この曲を聴いて、彼らのルーツの中にはグラムロックもあるのかということに気づかされました。グラムロックって確かに

・少しこもったテイストで歪んだギター

・艶やかでセクシーなボーカル

っていう特徴を持ってますし、まさにこの曲そんな感じ。

 

 

Trash


SUEDE - TRASH - (LIVE IN PARIS 2013)

 

Trash

Trash

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代表曲ですね。”Coming Up”からの曲はよりきらびやかになってさらにグラムロック感マシマシですね~。まあ、Brett自身はあんまりグラムロック好きじゃないとかwww

ライブで合唱したい…

 

 

The Power

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2nd”Dog Man Star"から。”Dog Man Star"、かなり気に入ってます。

これ最初聴いたときマジでDavid Bowieの曲かと思った…

 

 

The Asphalt World


Suede - The Asphalt World (Audio Only)

 

The Asphalt World

The Asphalt World

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9分にも及ぶ大作。”Dog Man Star"のハイライトの一つですね。少しLed Zeppelinっぽさあるかも。天国への階段あたりの…

 


Led Zeppelin - Stairway To Heaven (Live HD)

 

Stairway to Heaven

Stairway to Heaven

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We Are The Pigs

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We Are the Pigs

We Are the Pigs

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MuseのMatthewがTwitteroasisblurならどっち?」というファンの質問にSuedeと答えていたのが面白くて覚えてますw

確かに、どちらかというとSuede(?)だし、この曲なんか、Matthewの歌い方に似てる(特にVerseのとこ)。

 

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The Next Life

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The Next Life

The Next Life

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これも然り。 Exogenesis: Symphony Part 3の元ネタってこれだったりするんかな…ってくらいw

 


Muse: Exogenesis Symphony Part III - HD - Redemption (video oficial)

 

Exogenesis: Symphony, Pt. 3 (Redemption)

Exogenesis: Symphony, Pt. 3 (Redemption)

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My Insatiable One


Suede - My Insatiable One (Audio Only)

 

My Insatiable One

My Insatiable One

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先ほど紹介したThe DrownersのB面。The SmithsMorrisseyが気に入ったらしく、カバーもしてる…確かに、アルペジオで聴かせるところはThe Smithsっぽいね。

 


Morrissey - My Insatiable One (Suede cover edited)

 

 

Killing Of A Flashboy


Suede - Killing Of A Flashboy (Audio Only)

 

Killing of a Flash Boy

Killing of a Flash Boy

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ライブでもよく演奏されているというこの曲はWe Are The PigsのB面。B面の曲も頻繁にやるところはoasisっぽいなあとか言ったら怒られますかね…

 

 

It Starts And Ends With You

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It Starts and Ends With You

It Starts and Ends With You

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再結成後の一作目、"Bloodsports"から。洋楽で多く採用されている「Verse→Chorus」という展開ではなく、「Verse→Bridge→Chorus→Post-Chorus」と、とても邦楽的な展開をしているところが面白いですね。曲調も吉井和哉とか書きそうね感じw

 

 

Barriers


Suede - Barriers (Rehearsal Room Video)

 

Barriers

Barriers

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再結成後のSuedeBernard Buttlerが在籍していたころよりも比較的ポップな曲調の多いいわゆる”Coming Up期”のメンバーで構成されていますが、”Coming Up”の頃とはまた違うサウンドが繰り広げられるような気がしますね。確かにSuedeの持ち味であるポップさは兼ね備わっていますが、”Coming Up”の頃には見られなかった大人なダークさ、陰りを纏っているように感じます。Bernardのいた頃のSuedeともまた一味違いますね…

 

 

Outsiders

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Outsiders

Outsiders

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"Night Thoughts"からの一曲。これがドハマりしました…感動的で胸の熱くなるサビ…Brett何歳よ…

 

 

No Tomorrow

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No Tomorrow

No Tomorrow

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リフがかっこいい。かっこよくってポップな曲と裏腹に切ないPVのギャップも面白い。

 

 

I Don't Know How to Reach You

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I Don't Know How To Reach You

I Don't Know How To Reach You

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美しいアルペジオから始まる、壮大で美しい曲。オーケストラ顔負けのアンサンブルをバンドでやっているからすごい…これが真のギターロックなんだろうか…

 

 

個人的にかなり来てますSuede

そういえば、2016年のサマソニRadioheadのことで頭いっぱいで気づかなかったけど、あの年のソニックステージ

James Bay→Suede→The 1975

ってめっちゃすごかったんだなと再確認…

 

 

そんなSuede、今年9月にニューアルバム「The Blue Hour」発売!

http://amassing2.sakura.ne.jp/image/jacket/large/2018/85137.jpg

 

 

 

先行で公開されたThe Invisible聴いてみた感じ、かなり陰気なアルバムになりそうな…まだ一曲だけだしわからんけど。

youtu.be

 

The Invisibles

The Invisibles

  • provided courtesy of iTunes

 

ぜひ来日していただきたい!きっと行くから!

 

というわけで、toraがSuedeにはまってるっていう記事でした。

 

 

(文:tora)

 

Fill In The Blue Blanks 孤独を埋めて…

 

うも情熱が失われている。

 

学生時代は自分の好きな音楽や漫画、アニメを24時間ずっと楽しんでいてもちっとも疲れなかったし、苦にもならなかった。

 

それが今じゃすっかりただ中途半端な義務感だけでコンテンツ消費している気がする。なんとなく読んでいる、なんとなく聴いている、なんとなく追っかけている。

ツイッターでもみんなが熱く楽しくキャッキャと語り合っていることにイマイチ共感できない。

ただただ、惰性で大好きだったものを僕はリスペクトなく楽しんでいるフリをしているだけなのかもしれない…。

 

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そんな感情に囚われている夜に一本の映画を観た。「ブルーに生まれついて」イーサン・ホークがジャズトランペッターのチェット・ベイカーを演じた作品だ。

全盛期のチェットを描いた作品では無く、ドラッグに溺れて仕事、友人、恋人を失った彼がもう一度栄光を掴もうとするストーリーだ。

 

主人公が(自業自得とはいえ)ひたすら苦しみ、苦悩し続ける展開はひたすら辛い。

 

マイルス・デイヴィスというあまりに偉大すぎる同世代の存在に常にコンプレックスを感じ、ジャズ黄金時代に多くのミュージシャンが陥ったドラッグ禍に一番のめりこんでしまう。

その才能を絶賛されながらも結局自分は西海岸の白人クールジャズのアイドルでしかないという自意識がますますドラッグと女へと溺れさせる…

才能はあるが弱い人が再生と崩壊の狭間で音楽という細い命綱を頼りに表現していくしかないその姿は、差異は多少あれども視聴者の心にチクリと共感が刺さる。

 

ネタバレは避けたいので、詳しく言及はしないが、とても切ないラストを劇中で迎える。僕が観た映画の中でも上位の胸に刺さる切なさだった。

https://youtu.be/_rLuZWz6qh8

 

情熱も栄光も全てを失ってもこれしかない。その為にはすがるしかない、努力するしかない。そんな劇中のチェットの姿が今の僕の気持ちを揺らした。

あの時感じた、これしかない!これが一番好きだ!という気持ちが今も燻っているから、音楽をアニメを消費しているんだ。辞められないんだ。あの頃ほどじゃないと自嘲してもやっぱり好きなんだともう一度問いかけてくる。

作品が訴えかった意図はそこには無いのだろうが、今の自分には音楽にすがるチェットの姿が凄く突き刺さった。

 

あの頃の情熱を取り戻すのは不可能かもしれない。それは思春期にだけ現れる魔法みたいな時期で後は、ただただ社会に疲弊させられていくだけなんだろう。それでも、捨てられない好きが僕らを捉えている限り、劇中のチェットのように再生していくだろう。

Born To Be Blue ブルーに生まれついた僕には若い情熱あるオタク達は眩しすぎる。

最近の音楽やアニメはようわからんわ…と言いながら、チェットのレコードに針を落とす人生になった今も案外嫌じゃないと気がついただけ満足さ。

 

追記:ま、そうとは言いながらもアニメは毎クールそこそこ追っかけてるんやけどねw

 

 

(文:ジョルノ・ジャズ・卓也)