出前寿司Records

よりどりみどりの音楽カルチャーサイト

おすしたべいこのMBV散歩 vol.5 (8/15 豊洲PIT編)

f:id:delivery-sushi-records:20180816010609j:image

 

 

2018年8月15日

 

 

18:30

 

ついにこの日が来てしまった

My Bloody Valentineの来日公演である

 

フォロワーのさこれたと白糖・ツインズと共に豊洲PIT前の喫煙スペースにいた

 

入場が始まり、ぞろぞろと人々が歩き出す

3人でしばらくその様子を眺めた

みんな覇気がないが内心ワクワクしているはずのオタクたち

マイブラのTシャツを着ている人もいれば、ジザメリやカンなんかもいる

ここぞとばかりに自己主張が激しい、コミケさながらである

そして全員がマイブラ好きときた

全く意味が分からない

 

しばらくしてみらこ(揺らぎ)が合流

入場していく人々を見て一言「これだけ人がいるならシューゲイザーの未来は明るい」

 

 

19:00 

 

入場の列が切れた頃を見計らって自分たちも突入した

とにかく人が多く、はぐれないように電車ごっこをしながら歩く

 

SwervedriverのTシャツを着た人を見かけた

勝手に変態認定

 

例によって耳栓が配布されていた

係の人「大きな音が出ま〜す」

小学校の先生かよ

 

白糖はここで友達と合流

無事を祈りつつ見送った

 

この時、モデルの菅野結以さんを目撃する

 

 

19:30

 

ドリンクを引き換えた

開演時間だが当然のように始まらない

もうすぐライブが始まると思うと変な汗が止まらなかった

 

この時、きのこ帝国の佐藤千亜妃さんを目撃する

 

すでに会場は大勢の人々で埋まっており、自分たちはほとんど最後列の上手側に収まった

 

しばらくしてSEが止み暗転

大歓声の中、あの4人が登場した

ここでみらこの涙腺が崩壊

自分の目にも自然と涙が浮かんだ

 

My Bloody Valentineがいる、本当にいる

 

いよいよ始まった

 

 

-----

 

 

どの程度の轟音なのか想像もつかなかったが、いざ始まると位置的にも耳栓がなくても耐えられる

この時自分はもう今日は絶対に耳栓をつけないと誓った

ただ、本当に音が大きい

めちゃくちゃうるさい、めちゃくちゃ

 

新曲以外はどの曲も知っていた

何回も何回も聴き狂ってきた曲たちだから当たり前だ

 

4人の姿が見えた

 

ケヴィン・シールズはバカみたいに高く積まれたアンプの壁の前に立っていた

丁寧にギターを操りながら意味の分からない爆音を奏でている

どう考えても人間じゃない

 

コルム・オコーサクは時に突っ走るような激しいドラムプレイを繰り出し、かと思えば打ち込みのような正確なフレーズを淡々と延々と叩いたりもする

とにかくドラムの音がアホみたいに大きい

空間を叩き割るようだ

どう考えても人間じゃない

 

デビー・グッギはひたすらネックを弾いているように見えた

音がデカすぎて正直ベースの音が聴こえてるのか聴こえていないのか判別がつかない

かろうじて人間だった

 

ビリンダ・ブッチャーは女神だった

 

曲を聴いているというよりは音がひたすら自分に迫って来るような感覚

耳栓なんて全く必要なかった

全てを聴いておきたかった

 

ステージ後方のスクリーンにはあまりにもサイケデリックな映像が流れ続けている

爆音も相まって、まるでケヴィン・シールズの頭の中を無理矢理見せられているような感覚に陥った

普通に気が狂う

 

中盤あたりから人の出入りが多くなった

おそらく具合が悪くなったものと推測する

無理もない、爆撃機のようなライブである

 

飲み干したビールのコップがビリビリ震えていた

 

Isn't Anythingの曲もLovelessの曲もmbvの曲も本当にかっこいい

そして本当にかっこいい

さらに本当にかっこいい

本当にかっこよかった

新曲はもうあまり覚えていないが本当にかっこよかったことは覚えている

記憶が轟音でかき消されたらしい

 

個人的なベストアクトはSoonだった

あの曲は自分にとっての最高のダンスミュージックであり続けるという確信を得た

踊りながら死にたい

 

You Made Me Realiseのノイズパートの中で、永遠にこの轟音の中にいたいという気持ちと、この轟音が永遠に止まないことで一生帰れないのではないかという不安が限りなく拮抗していた

 

ライブは気づけば終了

過酷な耐久レースを終えたような気分だった

耳と脚が限界、疲れた

 

 

-----

 

 

22:00

 

さこれたとみらこと3人でよたよた歩く

「やべえ」「うるせえ」などと、ギャルのような感想にならない感想を言い合いながらサイゼリアに流れ着いた

 

各々ツイートしたりTLを見て盛り上がる

セットリストの写真

ステージに並べられた大量のギターの写真

フォロワーの感想のツイート

それぞれのマイブラがそこにはあった

 

どんな言葉を使ってもあのライブを表現するには足りない気がした

 

何も聴きたくない

余韻だけであまりにも十分だった

 

 

23:45

 

「次はソニマニで」という最高な別れ方で一人になり、電車に揺られていた

 

轟音を浴びていたのが遠い昔のようにさえ思えたが、My Bloody Valentineをこの目で見たことは紛れもない事実だった

 

伝説だ

あれは伝説なんだ

伝説を自分は見ていたんだ

 

数年前にマイブラを聴いて以来ずっと夢見ていた瞬間に、マイブラのライブを観るという瞬間に、確かに自分は今日存在していた

 

夢が叶ったんだ

 

ありがとう、My Bloody Valentine

 

 

 

(文:おすしたべいこ)