扉の先にある世界~Plastic Tree「doorAdore」(2018)
はじめに
どうも、アキオです。今年も半分を過ぎ、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
僕は何もドラマチックなことは無いです、
ちなみに上半期ベストもまだ決まってないです。
そういえば執筆当時、ちょうど宇多田ヒカルさんの新譜「初恋」が発売されたので買いました。
いやー良いっすね…語彙力がないです…。
まあそれはそうとして、
今回は僕の好きなバンドの新作アルバムのレビューをしたいと思います。喰らえ!
Plastic Tree「doorAdore」(2018)
曲目
- 遠国
- 恋は灰色
- エクジスタンシアリズム
- 雨中遊泳
- サイレントノイズ
- サーチ アンド デストロイ
- 残映
- いろつき
- 念力
- scenario
- ノクターン
- 静かの海
1、4、5、9、12は作詞有村竜太朗、作曲長谷川正
2は作詞作曲長谷川正
3は作詞有村竜太朗、作曲ナカヤマアキラ
6は作詞ナカヤマアキラ、作曲佐藤ケンケン
7は作詞作曲佐藤ケンケン
8は作詞佐藤ケンケン、作曲有村竜太朗
10は作詞作曲ナカヤマアキラ
11は作詞長谷川正、作曲有村竜太朗
となっている。
今作は彼らの通算14枚目のオリジナルアルバムとなっており、
バンドデビューから20年を超えた彼らの新たな作品でもある。
今作のアーティスト写真はこちら。
メンバーは左から
ベース:長谷川正、
ボーカル&ギター:有村竜太朗、
ドラム:佐藤ケンケン、
ギター:ナカヤマアキラ
なんか、ふしぎアー写だ。
Plastic Treeというバンドは、アルバム事に作風を変えてくるバンドであるが、
根底にあるのは日本の歌謡曲、ニューウェーブ、ヘヴィメタル、オルタナティブ・ロック、ゴシック・ロック、シューゲイザー。
その様々なエッセンスを感じさせるバンドサウンドを奏でる彼らだが、
今作は全体的にナカヤマアキラのギターが目立つ作風となった。
まず、アルバムのオープニングを飾る「遠国」。
Plastic Tree/「遠国」MUSIC VIDEO (from Album「doorAdore」)
妖しげなイントロから
「こゝろ 奪って 奪われて
繋がってる身体は誰?
すべて これ 錯覚なら
醒めるだけ されるだけ」
という悲しげなサビ、そして流麗かつヘヴィメタル的な早弾きのギターソロ。
この歌詞世界とバンドサウンドの融合は大きな特徴であり、その後も
「花びら舞って残されちゃってロンリー
面影ひとつすらなく
呆れてしまって巻き戻したいストーリー
さわりも視ないのに」
(恋は灰色)
「 最果てにある森の境界線のような 深い裂け目に咲いてる花にはどんな病にだって
ああもういいや
その手の話ならもうじゅうぶん聞いたよ
もういいや」
(サーチ アンド デストロイ)
「 渇いたいろ 映る君が囁いて
忘れかけた景色 ひとりきり
欠けたままの想いを僕は抱えて
剥がれおちる夢は途切れ モノクロの日」
(残映)
と、このようなテイストの歌詞が
時にはギターポップ、時にはゴリゴリのヘヴィメタル、またある時はポストロックやデジタルロックにのせられて奏でられる。
ここで実は注目してほしいことは全員作詞者が違うことだ。
各個人が作曲のできるバンドというのは、
まあそれなりにいるが(ラルクとかLUNA SEA、GLAYも実はそう)、
各パートが均等に作詞も作曲も担当して、
歌詞に統一感があるバンドというのはあまり類を見ない気がする。
しかも、現ドラムは2009年に正式加入したメンバーであり、この体制は活動当初にはなかった、ということを考えると驚きである。
今作も個人的にはPlastic Treeらしい作風になったと思うのだが 、
前作の名盤「剥製」と比べると翳りを帯びているように思う。
比較のために並べてみた。こちらが前作。
剥製の曲たち
続いて、こちらが今作の話。
doorAdoreの曲たち
Plastic Tree/Album「doorAdore」【全曲試聴Trailer】
Plastic Tree”全14アルバム”解説⑭ 「doorAdore」
それは恐らく、打ち込みパートが減少し、キラキラした音像が後退したことにも寄与しているとは思う。
そして、アルバムジャケットがモノクロで構成されてることも関係してるであろう。
ただ、それだけではない新たな要素も強く感じる。
バンドの歴史上、1曲ではまだしも、ここまで全面にギターを押し出したアルバムはなかったと思う。
ナカヤマアキラが音源で早弾きを弾きに弾きまくるのは音源では新鮮だ。
そして佐藤ケンケンのドラミングの軽やかさが目立つ。
「サーチアンドデストロイ」のようなポストロック的楽曲に活きてくる、流れる鳴りすぎないドラムが気持ちいい。
しかし、有村竜太朗、長谷川正、この両人の鉄壁のコンビネーションが安心感も強く与える。
この明確な変化と変わらなさ具合のバランスがPlastic Treeの強さの秘訣だと思うし、
長年にわたり支持を集めている理由でもあると思う。
このバンドはまだまだ底が見えない。
来月には新曲「インサイドアウト」が発売されるのだが、またこのアルバムとは違うギターポップ的な雰囲気があって非常に楽しみだ。
Plastic Tree/インサイドアウト【MUSIC VIDEO】
核を変えずにでも柔軟に変化し続ける、
枯れることのない木、彼らの旅路が僕には楽しみである。
後書き
改めて聞き直しながら書いていたのだが、
今作は前作以上に纏まっているのと、
ナカヤマアキラのギターが堪能出来るアルバムで1番好みである。
そしてやっぱりPlastic Treeにしかない、
独特の音像と世界観、哲学が随所に見られる作品となった。
ずっと続いて様々な世界を見せて、そして魅せてくれることを僕は楽しみにしようと思う。
おまけ
彼らは近年、ファン投票元に過去アルバムの再現ライブを行ってるのだが、
今作も例に漏れずその映像がついている(完全限定生産盤のみ)。
Plastic Tree/メジャーデビュー二十周年“樹念”特別公演 於 パシフィコ横浜【LIVE DVD Trailer】
ちなみに今年も過去アルバム再現ライブやるよ(7月7日)、あと9月から仙台を皮切りにツアーもやるよ。
詳しくは公式サイトから!
ただの宣伝になってしまった、反省してるが後悔はしていない。
参考文献
(文:アキオシロートマグル)