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ネガとポジの狭間で - クマリデパート「シャダーイクン」

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クマリデパートの新曲「シャダーイクン」がやばい。そう、クマリデパートの新曲「シャダーイクン」がマジでやばいんです。(とても大事なことなので2回言いました)

 

クマリデパートは2016年に結成されたアイドルユニット。ekomsに所属しており、Maison book girlにとっては後輩にあたる。メンバーチェンジを経て現在の早桜ニコ(さおにこ)、優雨ナコ(ゆうなこ)、小田アヤネ(おだあやね)、楓フウカ(かえでふうか)の4人に落ち着き、2018年には作詞・大森靖子 / 作曲・サクライケンタのシングル「あれ?ロマンチック」をリリースした。

 

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(左から 優雨ナコ、小田アヤネ、楓フウカ、早桜ニコ。マジのクソカワPARTYです。マジの。)

 

そんな勢いに乗る彼女たちは2019年1月22日にシングル「シャダーイクン」をリリース! この曲がマジでやばい。何がやばいかと言うと、作詞・作曲・編曲が、サクライケンタと玉屋2060%の完全な共作なのである。そう、作詞・作曲・編曲が、サクライケンタと玉屋2060%の完全な共作なのである。(とても大事なことなので2回言いました)

 

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(「シャダーイクン」のジャケット写真。ポップかつサイケデリック。アイドルに対してサイケデリックという言葉を使うなよ。)

 

玉屋2060%と言えば、でんぱ組.incの「でんでんぱっしょん」や「サクラあっぱれーしょん」などを手がけ、彼女たちの人気の火付け役となったことをご存じの方も多いかと。でんぱ組のアイデンティティでもある "早口でまくし立てる多幸感あふれる電波ソング" を決定づけた意味においても彼の功績はめちゃくちゃ大きい訳で…。そんな玉屋氏がクマリデパートの曲に関わる、それもサクライ氏との共作と聞けばもう否応なくテンションがぶち上がる訳で…。タイトルの「シャダーイクン」という不思議な言葉も「シャイン」と「ダーク」を合わせた造語とのことで、リリース前から本当に楽しみにしていた。

 

そしていざ蓋を開けてみると…。

 

もうあまりにもサクライケンタ×玉屋2060%すぎて笑っちゃう。ここまで分かりやすい共作が存在するのか? ある意味怪作です。

 

(「シャダーイクン」MV )

 

まずイントロは完全にでんぱ組でいきなりガッツポーズ。かと思えば2番の後の間奏なんかはMaison book girlで、全体的なサウンドとしては両者の要素が驚くほどに違和感なく同居している。もちろん変拍子もぶち込まれる。あまりにも離れ業すぎやしないか…?

 

そして歌詞。「ここはサクライケンタだろうな」「このフレーズは玉屋2060%だろう」というのが分かりやすすぎる。サクライ氏に関しては「神社」という言葉が好きすぎてブクガの楽曲だけでは飽き足らず、下記の通りついに今回クマリデパートの曲にも登場させてしまった。職権乱用だ!(?)

透明な夜、青い鍵を集めて

神社の影に透けた扉を開いた

"玉屋節" とも呼べる歌詞もたくさんあり、特に

僕らはもうマイメン

なんて言っちゃう。サクライ氏は「マイメン」なんて言葉絶対嫌いだろ。(超ド偏見)

 

終盤は玉屋楽曲としてはお馴染みの大サビで盛り上がる構成となっており、ここで多幸感の臨界点を突破してしまう。そう、ここで多幸感の臨界点を突破してしまうのだ。(とても大事なことなので2回言いました)(そろそろうるさい)

ただ、その部分の歌詞が本当にやばい。

枯れてく季節 羽ばたけばもっと高く

笑っていたの 音が鳴るほうまで さあ

枯れてく季節 未来は明るいよ

笑っていたの まじわり始めてるさ!

…躁鬱じゃん。

しかし最後は

天まで 登れ煌々とシャイン↑

とまあ、アゲ〜↑な感じで締めくくる。カオスすぎる。ほとんど荒業。

 

でも本当に不思議で、曲全体としてはひねくれながらもアイドルポップとしてしっかりまとまっている。全然意味が分からない…。ネガティブとポジティブをジェットコースター並に行き来する躁鬱っぷりを見せながら、最後はハッピーエンド(?)でぶち上げるというとんでもない曲。

 

激戦と多様化を極めるアイドル界にあまりにも巨大な一石を投じるアンセムが誕生してしまった。マジでいいです。

 

※ちなみに。カップリングの「セカイケイ」はサクライ氏が作詞とは思えないほどストレートなロックチューン。というかクマリデパートは基本的に編曲は外注であり(時には作曲も)、あくまで王道アイドルを地で行く存在なのである…。

 

 

(文:おすしたべいこ)