第1回、名古屋のシューゲイザーイベント、DREAMWAVES(初日)
(はじめに)
(ひさしぶりに出前寿司Recordsで記事を書くことができることに、感謝します。)
今年、2020年の早々に、あるイベントが名古屋で開催されると発表された。
MUSO JAPAN presents
第1回 DREAMWAVES @鶴舞DAYTRIP
今をときめくシューゲイザー・ドリームポップバンドを、名古屋の同ジャンルのバンドたちで迎え撃つ、名古屋はもちろん、東海のシューゲイザー好きにはたまらないイベント。
3/7、この第1回DREAMWAVESの初日が開催された。ここに、ライブの感想として記事を書こうと思う。
(****前置き****)
知っての通り、コロナウイルスの影響で、多くのライブが中止となっている。残念ながら、このイベントもその影響を受けてしまった。名古屋を代表するシューゲイザーバンド、Softsurfが出演キャンセルとなってしまったのだ。
自分としては、久しぶりに見れると思って一番の目当てのバンドだったので非常に残念であった。安全第一であるので、softsurfの勇気ある決断には敬意を表する。もちろん、このイベントを開催すると踏み切ったMUSO JAPANにも同じである。
ぜひ、第2回DREAMWAVESへのSoftsurfのリベンジ出演を熱望する。
Softsurf のアルバムのApple Music のリンクを以下に貼っておく。DREAMWAVESのために遠くから来た人もいた。名古屋を代表するシューゲイザーを聞いてほしい。このイベントがもっと続いていくために。
softsurfの「Into the Dream - EP」をApple Musicで
(****以上、前置き****)
当日の出演順は以下の通り。
① Pale Beach
② EASTOKLAB
③ Cattle
④ For Tracy Hyde
開場から、各バンドの転換、待ち時間の間はDJの小野氏、嘉藤氏によってシューゲイザー・ドリームポップを中心に素晴らしい曲が流れ続けた。
スロウダイヴやチャプターハウスはもちろん、サンファやパッションピットなども流れていて、最高のイベントに最高の空気を作っていた。
終始、For Tracy Hyde の夏bot氏がうれしそうにDJの音楽で体を揺らしていたのが印象的だった。素晴らしいDJで空気を支えてくれたことにまず感謝したい。
ここからは各バンドについての感想。
① Pale Beach
名古屋のバンド。自分が観るのはDREAMWAVESが初めてだった。3/14に開催のDREAMWAVES 2日目に出演するMorningwhimのフロントマン、Hide氏によるプロジェクト。昨年1stシングルカセットをリリース。これからどんどん人気になっていきそうで楽しみだ。カセットは大須のRecord Shop Andy や File-Under の店頭や通販で入手できる。Soundcloudでも聞くことができる。
Pale Beach | Free Listening on SoundCloud
そんな彼らのライブであるが、DREAMWAVESというイベントの名をよく体現したライブだと思った。轟音というよりは、まさに夢のように揺れる雰囲気で、流れるようにポップな音を紡ぐ。この日の出演バンドの中では一番、音に癒しの作用があったと思う。
Hovvdyだったりとか、所謂ベッドルーム・ポップと呼ばれたりする音楽が広く受け入れられる昨今で、名古屋から素晴らしいバンドが出てきていることが生で感じられてうれしかった。
フロントマンのHide氏のバンド、Morningwhimは3/14のDREAMWAVES 2日目に出演するし、さらにデビュー7インチシングルをFastcut Recordsよりリリースすることも決まっている。両バンドとも、今後が楽しみである。
②EASTOKLAB
自分にとっては、もう既におなじみのバンドだ。名古屋を中心に日本全国で超精力的にライブをするドリームポップ・バンド。今回のライブで、観るのは多分4、5回目。
EASTOKLABの「EASTOKLAB - EP」をApple Musicで
非常に安定して高いクオリティのライブをしてくれるバンドとして信用している。そして、今回もそれに応えてくれた。序盤はポップな感じがして、今日は音量控えめなのか、と思った。だけど、「Always」からは圧巻と言わんばかりにギターが目立って、轟音感がでた。新曲も混ぜながらのライブで楽しかった。最後の「Dive」が、今まで聞いた彼らのライブでは一番良かった気がした。音量もでかかった。
とにかく、上手だったというのが感想。毎回言ってる気がするけど。音量で圧倒するライブというよりは、空間を生かして、そこでよく響くように音楽をしてるような。
③Cattle
自分にとって、今回の目当てのバンド。昨年1stフルアルバム『Sweet Dream, Tender Light and Your Memory』をリリースして以降では今回が初の名古屋。およそ1年前にSPOOLのレコ発で名古屋のParty'sに来た時以来、久しぶりに見ることができた。
cattleの「Sweet Dream,Tender Light and Your Memory」をApple Musicで
アルバムからの曲を中心にやるのかと思ってたけど、EP『Slow Sailor』の曲とか、以前からの曲もかなり混ぜてきて、盛沢山だった。とはいえ、もっとアルバムの曲も聞きたかった。「Shooting Star」を聞くことができたのは本当にうれしかった。
今回のライブ出演者の中では、一番真っ向からシューゲイザーをしてた。轟音は正義だ。もっともっと曲をやってほしかった。Pale BeachとEASTOKLABのミドルテンポで揺らぐようなライブを観たあとだったから、あっという間に走り抜けた印象がある。
④For Tracy Hyde
今回のトリ、フォトハイ。自分が観るのは2回目。初めて見たのは、今年の1月に下北沢のモナレコードに見に行った時。モナレコードは名古屋で例えると、ステージの感じがTight Ropeで、キャパがRADで、内装がParty'sとかハポンに近い、そんなハコ。
そこでみたフォトハイは「意外と繊細なバンドなのかな」という感想だった。爆音でやる演奏ではなかったし。(ただ、あのライブはキラキラした音がかなり目立っていたし、Vo.エウレカのささやくような声が楽しめたので、彼らの一つの側面がしっかり出てたように感じた。)
個人的な話だが、EASTOKLABを観た最初の2回は、Party's(SPOOLレコ発)とハポン(ワンマン)だった。その後にPollyレコ発でアポロベースで観た時に印象がガラリと変わった。しっかりと大きい音が反響するライブハウスで観ると、しっかりシューゲイザーだと感じた。
そんな風な体験があったから、鶴舞DAYTRIPではどんな音が聞けるだろうという、ある種の不安と楽しみを抱えていた。
結果として、やはり印象が180度変わった。Vo.エウレカの歌が「こんなに声量あったのか」と思うほどしっかり聞こえたし、掻きむしられる3本のギターの音がDAYTRIPを支配していた。
セットリストも素晴らしかった。代わる代わるバンド内でセトリを考える人を変えているらしく、今回のライブのセトリはVo.エウレカ担当とのこと。
『冬から春になっていく』
そんなテーマで作られていたようで、間違いなくそれを完璧に表した、これ以上ないセットリストだった。「繋ぐ日の青」が見ることができたのがこのイベントの個人的ハイライト。
For Tracy Hydeの「New Young City」をApple Musicで
メインの最後に「櫻の園」。アンコールに「Halation」があって、完全に花見モードで終わった。DREAMWAVESという祭りに最高のエンディングだった。
文句なしでDREAMWAVES初日のベストアクトだった。これが名古屋で観れたことにひたすらに感謝する。
ライブの終わりに、エウレカ本人からセットリストをもらって、サインをもらえた。素晴らしい宝物になった。
(セットリスト)
First Regrets
Frozen Beach
ハル、ヨル、メグル
Ghost Town Polaroids
Underwater Girl
あたたかくて甘い海
麦の海に沈む果実
君にして春を想う
繋ぐ日の青
櫻の園
Halation(アンコール)
ライブの感想は、これでおしまい。コロナウイルス、Softsurfキャンセルという痛手を負いながらも、かなり人が集まってたし、これは万全な状態で第二回を迎えたら更にすごいことになりそうだ。(第一回はまだ来週のDAY2を残しているけど)。
名古屋といえば、パンク、ハードコア、エモのシーンが非常に強く、シューゲイザーのバンド、シューゲイザーのイベントが比較的に少ない。
そんな中でもこのDREAMWAVESはこれからの名古屋でのシューゲイザーシーンを盛り上げてくれるイベントにこれからなっていってほしいと願うばかりである。
本当にいい日だった。
(追記)
この記事を完成させた夜に、悲しい知らせがあった。Day2 の Lightfoils、Fauvelyの来日ツアーの全公演を中止するとのことである。
直前の決断であり、ギリギリのギリギリまで、この招致の主催の17歳とベルリンの壁の吉田氏、フォトハイの夏Bot氏は悩んだはずである。苦しくも決断をしたすべての人に敬意を表する。
これは今生の別れではない。DREAMWAVESの第2回、ひいてはLightfoilsとFauvelyの初来日が更に豪華になるための布石であると信じている。
Lightfoilsは、Airiel のリズム隊によって結成されたバンドで、17歳とベルリンの壁の吉田氏がずっと追いかけてきたシューゲイザーバンドである。もし知らない人がいたら、聞いてほしい。熱く再来日の機会を熱望して、暖かく迎えるためにも。
Fauvelyも、Lightfoilsと共にシカゴシューゲイザーを引っ張るバンドだ。彼らの音楽も、合わせて聞いてほしい。
Lightfoils 1stアルバム
Lightfoilsの「Hierarchy」をApple Musicで
Lightfoils 2ndアルバム
Lightfoilsの「Chambers」をApple Musicで
Fauvely 1st EP
Fauvelyの「Watch Me Overcomplicate This - EP」をApple Musicで
Fauvely 2nd EP
Fauvelyの「This is What the Living Do - EP」をApple Musicで
(文:ジュン)