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そのバンド名に偽り無し!その音に偽り無し!〜 東京初期衝動 / SWEET 17 MONSTERS ~

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東京初期衝動 / SWEET 17 MONSTERS


まず、なんて鮮烈なバンド名だろう…そしてその名に偽り無く純粋に熱くがむしゃらで真っ直ぐを目指すがあまりに歪に尖って、それでも前へ前へと転がる様は聴き手の心を熱く強く掴んで離さない…


シティ・ポップのようなスマートなサウンドが持て囃される昨今の潮流とは対極の位置に東京初期衝動というバンドは存在する。ガレージ・パンク・サウンドを主体としたかつての青春パンク・ブームを彷彿とさせるようなそのサウンドは、流行などを完全に無視したものだ。だからこそ、ブルーハーツ銀杏BOYZのフォロワーとしての真摯なロックンロールを望まれ、それに応じている東京初期衝動は最高に熱いパンク・ロックンロール・バンドなのだ。


バンドは2018年に椎名ちゃん(Vo・Gt)、希(まれ)(Gt)、かほ(Ba)、なお(Dr)の4人で結成される。翌年には自主レーベルであるチェリーヴァージン・レコードから1st EDシングル「ヴァージン・スーサイズ」を発表している。そして早くも同年、ここで紹介する1stアルバム「SWEET 17 MONSTERS」を発表した。


徹頭徹尾純度120%の東京初期衝動というバンドが、ロックンロールがこのアルバムには詰まっている。1st ED「ヴァージン・スーサイズ」にも収録された「再生ボタン」からアルバムは始まり、同時にそのボルテージはいきなり最高潮に達する。この熱さと温かさが混在すること無く、各々が情緒を描く多彩な要素としてあるのもこのバンドの魅力であり、バンドの繊細な面がうかがえるところでもある。そんな事を書いた後に繊細さの欠片も許さないような"某・高収入の求人"の曲を引用したパンクナンバー「高円寺ブス集合」の破壊力は凄まじく完全破壊の爽快感で突き抜けている。かと思えば「流星」のどこか胸を打つ愛らしさの瞬きがあったり。ギャルのポジティブなエネルギーをそのままラモーンズでパーティーさせた「黒ギャルのケツは煮玉子に似ている」。そしてなんとも切なくてやるせないラブソング「チューペット」。HOLiDAYSのカバー「YOUR WORLD」。バンドの情緒描写が実に鮮やかに炸裂している「BABY DON'T CRY」。ロックンロール・アルバムにおける最高に完璧なエンディングを飾るべくして鳴り響き渡る為に生まれたような最高の一曲「ロックン・ロール」…


バンドのフロントの椎名ちゃんの破天荒なアクションに目を奪われがちだが、"ガールズロックバンド"という呼び方は彼女らには不要だ。実にシンプルにパンク・ロックンロール・バンドとして呼ぶに相応しい姿を鳴らしている4人組だ。そして東京初期衝動はいつまでのその名に偽り無く輝き続けて欲しいバンドだ…


"再生ボタン"(MV)


"BABY DON'T CRY"(MV)


"ロックン・ロール"(MV)


(文 : Dammit)