アンダーグラウンドの深海で息づく艶やかなるバンド ~ TAWINGS / TAWINGS ~
TAWINGS / TAWINGS
先ずは『出前寿司Records』復活おめでとうございます。俺、Dammitは旧構成員の一人として時々ではありますが、寄稿による組織の発展に助力したい所存です。
さて、今回の紹介するアーチストはこちら……
2016年にCony Plankton (vo, g) が、eliy (ba) 、Kanae (perc, vo, g) を誘い結成。その後に、Yurika (dr) が加入しTAWINGS(トーイングス)はスタートする(ちなみに現在はKanaeが脱退し三人体制のバンドとなっている)。
過去に7インチやカセットテープ、コンピレーション等のリリースがあるが、アルバムとして纏まった作品で尚且つCD媒体によるものは今回が初めてとなる彼女たち。そんな今回の1stアルバム『TAWINGS』は、これまでのバンドの"最初の集大成"とでも言うような、これまでリリースされた音源を含む全8曲入りの作品となっている。
一口にオルタナティブロック・バンドと言ってもその中身は様々にあって、このTAWINGSも例外ではなく、そのサウンドはガレージロックにニューウェーブ、ポストパンクを標榜しつつも、それらのジャンル一つ一つに対するスタンスは一癖はらんだものがある。それがこのバンドの個性でもある。
アルバム冒頭の「Statice」のドリーミングなサウンドの立ち上がりの美しさからこのバンドのイメージを決めつけてしまいそうになるが、「invisible」の実に獰猛で艶かしいダークなインディーの色気のあるガレージ、ポストパンク・サウンドはどうだろう。それは全く異なった質感を持つ楽曲「水仙」のシューゲイザーの音の波目の隙間に"輝く暗さ"にも同等の魅力を垣間見ることもできるこのバンドの魅力の一つだ。チープ&トラッシュなガレージのケレン味がシビれ着く「Listerine」と、そこに軽妙なドライブ感が効いた「Dad Cry」等もクールな格好よさを撒き散らしている。
8曲入りながらに実に多様で、8曲入りだからこそこのバンドのサウンドと個性をより知りたくなる、そんな音楽好きの貧欲さを駆り立ててくれるようなゾクゾクした妖しさにパッケージされたアルバムだ。
"Invisible" (Official Video)
"水仙" (Studio Live at Red Bull Music Studios Tokyo)
(文:Dammit)