出前寿司Records

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鳥と熊と野兎と魚と、

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今はもう懐かしい響き 閃光ライオットの初代王者で2016年に幕を下ろしたバンド「Galileo Galilei」のギターボーカルで作詞作曲をしていた尾崎雄貴のソロプロジェクトwarbear(ウォーベアー)から昨年12月に発売されたファーストアルバムwarbearを提げたツアー初日のライブレポ (のつもり)です。
予習のためにセトリだけ確認したい方は記事の最後に載せていますので良かったら。

見所とかMCとか個人的見解も書いてあるごりごりのネタバレなので閲覧は自己責任で!

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真冬、北海道、札幌。−2℃。 少し湿った雪が降ってる


17:30 グッズ購入を済ませた頃にはもう真っ暗
駐車場にたむろする人達。気合いを入れてロッカーにコートと荷物を預けてスウェット一枚の人間が沢山いる。こんなに寒いのにすごいね

 

18:15 やっと整列が開始
寒い寒い凍える早く中に入れてくれ

 

18:30を過ぎてやっと列が進みはじめた

会場は2階。
入口への階段を上っている時、
斜め前に並んでいた冬用のセーラー服にカーディガンを羽織って黒い厚手のタイツとムートンブーツを履いた三つ編みの女子高生が少し不安そうな、でも楽しみを隠しきれないような表情をしていたのがなんだかエモくて、良かった。

 

18:37 やっと中に入ることが出来た
外の冷気と人間の熱気が混ざる会場内。
整番はあまり良くなかったので既に100人くらい入場していて、今回は後ろの壁に寄りかかって見ることにした
(2年前この会場できのこ帝国とGGの対バンを見たときは最前だったので少し悔しかった)

 

ドリンクを飲みながら改めてぼんやりオレンジ色に明るいステージの方を見ると、アンプの上に枯葉のようなドライフラワーが1つ飾ってあった。
ライブ会場内の季節は秋だった。

 

19:07 予定より少し遅れて会場の明かりが落ち、音が聞こえて、観客達の背筋が伸びる。
そして、2年2ヶ月振りの柔らかく哀しい声が聴こえた

 

Sea and The Darkness Ⅱ (from Galileo Galilei)

 

「闇世の中では 全てが黒色」

 

そんなフレーズからライブがはじまった。
これはGalileo Galileiラストアルバム最後の曲の歌詞。だけれど不思議と
これがwarbearなんだ 尾崎雄貴だ。
と思った。

 

overtureとでも言うのだろうか
まるまる1曲はやらずに演奏が終わり、「warbearです」と短く自己紹介をして早速スタートしたのは

 

車に乗って

 

優しくシンプルなギターに柔らかく透き通った歌声が続き、目の前に広がる霧を晴らすかのようなドラムが聴こえる心地よい曲

蛇足かも知れないけれどGalileo Galilei終了にあたってこんな文章が公式から発表されている

 

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これを踏まえた上でwarbearファーストアルバムかつ、その1番最初の曲のタイトルが「車に乗って」だと知った時点で涙ぐんでしまったGGファンは自分だけじゃないはず

 

「もうおもちゃの車じゃないんだ 安心してコンクリートの上を走れる 良かったらついておいで」と言ってるようだった。今日はwarbearの初ライブでツアー初日。
いま、自分は彼がコンクリートの道路を走り出す瞬間に立ち会ってるんだ。

 

墓場の蝶

 

1曲目とは打って変わって力強い鍵盤と歌声から始まる。

蝶はサナギのまま枯れる、しのう しのう静かに、暗くて青白い歌詞なのに楽し気な、希望を感じられる曲調。ずるい。そして最後の1行だけ囁くような声で歌うの。ずるい。

この曲はアルバムでいうと車に乗ってに続く2曲目なので、しばらくアルバム曲順に進むのかと思った

 

鳥と鳥 (from Galileo Galilei)

 

イントロが流れ、あれ…?と放心しているうちに軽快なドラムが聴こえてくる。地蔵みたいに微動だにしなかった客たちの喜びが会場に充満して、みんなの表情がパッと明るくなった。もちろん表情なんか見えないけれど。手拍子を始める人もいた。同時に眼球が潤んでステージがぼやけた。まさかここでGGの曲をやってくれるなんて。


羨望を唄いながらどこか懐かしさを感じる歌詞とサビの空を飛ぶような開放感が魅力。

GGのライトライブは薄暗い自室のベッドの上で泣きながらAbemaの生中継を見ていた。
まさか地元で、生で聴けるなんて夢にも思わなかった。
毎晩夢の中で君になっていた

 

ゴースト (from Galileo Galilei)

 

「裏庭に君の体を埋めた 僕の魂も埋めてしまいたい」
頭の中で歌詞が反響して堪えきれず涙を流してしまった。
わかってるけど受け入れられない、悲しみと葛藤。それがライブによってより分厚く表現されていた。

 

機材トラブルの所為かちょっと音がヘンな気がしたけど(PAがぎゃーぎゃー大きな声で慌てていたし)ドラムがしっかりしていたので気にならなかった。
君の代わりなんてない、君の代わりなんてないんだ、
彼らが代わりに死ねばよかった

 

燃える森と氷河 (from Galileo Galilei)

 

歌い出しにマイクが入らず尾崎さんのマイクを通さない生声が聞けた。演奏が止まって「ごめんね 機材トラブルです」
頭からもう一度。

 

クソ寒い冬、透き通った美味しい空気、森を抜けた先の凍った池。動物たち。
情景がありありと思い浮かぶとっても美しい曲。
音源は最高に天国に近く仕上がっていてライブでの再現度もほぼ完璧で、両サイドの観客との温度差を感じながらも号泣してしまった。

あぁそうだ あの日はこの世の終わりみたいな空で

 

GGの曲を3曲立て続けに演奏されて会場は完全に温まっていた


この後はwarbearのアルバムから 


わからないんだ
トレインは光へと向かう
Lights


と続いた。やっとwarbearのライブに来た実感が湧いたし、遠くからだけど尾崎さんが楽しそうにしているのがすごく伝わってきて自然と体が動く。ボーカルにかなりエフェクトがかかっていてアレンジもあるのかライブとして楽しめた。気持ち悪いヲタクなのでLightsの「愛しているよ 愛しい 愛しい人よ」を反芻した

 

掴めない

 

白を基調としていた照明が突然カッと真っ赤になり、来た!と思わず声を上げそうになった
この曲はアルバムを聴いてる段階から尾崎さんっぽくないというか、攻め姿勢の曲だと思って気になっていた。演出との相性抜群で色気がムンムンで、もう帰っていいやと思えるくらい満足させられた。

 

ウォールフラワー
灰の下から


興奮状態から急にスローリーな曲が来て、鎮火された感じ。ここに来てやっと気持ちがひと段落して身体の緊張が解けた。正直あまり記憶がない…
演奏に関してはライブを重ねるうちにもっと良くなってく2曲なんだろうな、、

 

1991

 

音源を優に越えてきて、このライブで1番印象に残ったし、"生"で聴くことで更に価値が何倍にもなる曲だと感じた。とにかく岩井さん(元GGメンバーで今回ギター担当)の真骨頂。もはやシューゲイザーの"ソレ"だった。
後光が差して見えたけど、照明がライブ中で一番白く明るく眩しかったので。それかも。

繊細なピアノ音と力強い鼓動が身体中に染み渡り、心も体も満たされた気がした。 

 

軽くMCをしたあと「最後の曲やります、27」

 

27

 

1991は尾崎さんの生まれ年で27は年齢を表している(はず…)。
アルバムでも1991の次に27が収録されていて曲のつなぎが最高。2つでやっと1つの曲が完成するといっても過言ではないと思う。
歌詞中に出てくる"君"はきっと昔の自分を指しているんだろうな と思ってしまったり。
この曲は完全に尾崎雄貴が主役だった。

 

音が止み、余韻を残したまま

「じゃあね」と手を振りステージからはける。鳴り止まない拍手。

 

案外早くステージが再度明るくなりアンコールを1曲だけ。

 

Sea and The Darkness Ⅱ (from Galileo Galilei)

 

最初と同じ曲。今度は全部通して聴けた。
アンコール含めてあまりにも完璧すぎるセットリストだった ありがとう。

 

Galileo Galileiは終わってしまったと思っていたけど上記の3曲がセトリに含まれていたことでGGのラストアルバムはwarbearへの前準備というか布石だったんだと確信したし、"鳥と熊と野兎と魚"というツアータイトルも納得がいった。

 

MCでは
「札幌でスタート出来てよかった 他だと何しに来たんだお前ら、みたいになるでしょ」

 

「GG以外で人前に立ってバンドとしてやるのは初めてでなんだか丸裸にされてる気分 すごく緊張しています」


「GGの曲もやったし、みんな思ってると思うけどほぼ一時期のGGじゃねーかってね(笑)でもあくまで自然な成り行きだし、和樹(尾崎さんの実弟で元GGドラマー。今回はキーボード担当)とか毎日俺の家に入り浸ってるし…(笑)

せっかくだからやって貰おうかって。これから色んな人巻き込んで色んなこと挑戦していくので」


「warbearはまだこのアルバム1枚分しか曲がないけど、もう何曲かつくってるので楽しみにしていて」
とかとか。、

口下手なりにお話ししてくれました。すきだ。

 

尾崎さんは料理上手の奥さんの所為か相変わらずお顔がふっくらしていて和樹くんはいつものニットからシャツの襟を出した服装で良いとこのお坊ちゃんしか見えなかったし、岩井さんは黒のハイネック姿でギター掻き鳴らしていてただただイケメンでしかなくて眼福でした。

 

あと、尾崎さんの真面目なMC中に和樹くんがキーボードを突然ポーンと鳴らしてしまって会場が笑いに包まれたほっこりエピソードが。「こらこら…それは妨害だよ 何話してたか忘れちゃったじゃん 両手こうしてて。(頭の後ろで腕を組むポーズ)」「ごめん…」っていうやり取り、すごく可愛かったですありがとうございます。

 

そしてなにより
「warbearは声が出なくなるまで、おじいちゃんになるまで一生続けるプロジェクトです」っていってくれたのが嬉しかった
明確な生きる目的が出来た。死ぬまで生きてやる そう思わせてくれるライブだった。色々と訳があってこの公演のチケットを取るか迷っていた時に後押ししてくれた友人にもとても感謝した。本当に行けてよかった。

 

尾崎雄貴は基本的に暗い人で、楽曲やインタビューからも何となく孤独と隣り合わせで生きているような印象を受ける。歌詞を例に出すと

 

「僕は生きてる ずっと闇の中にいるけど」

  (Lights / warbear)

 

「孤独とは 酒を飲み 轍の中もがくこと」

  (27 / warbear)

 

「みんな僕が"いつも悲しそうだ"と言う

    だからいつも つきまとうそれを

    引き離すように 車輪を漕いでいる」

   (ダイヤモンド / warbear)

 

でも曲や歌詞を聴き込んでいくうちに、
孤独を感じながらも決して惰性で生きてるような人じゃない。他人とわかり合うこと、愛し合うことを諦めてるわけじゃないんだと感じる

 

Galileo Galileiのようなフレッシュさはwarbearに無いかもしれないけど過去の曲が失われるわけではないし、間違いなく今までの延長線上に彼が存在している。今度は大人として、自分の思う最高を目指して、だけど低燃費に生きていく感じ。

うまく言えないけれどこのライブに行ったことで
尾崎雄貴の創る、歌う曲全てが好きだ
そう改めて思った。

 

ヒトが何を感じて、何を考えて、何をモットーに生きてるかなんて本人にしか分からないけど、真意なんて求めずに自分のこじつけでも愛せたら、少しでも"良い"と思たらそれでいい。
入場前にエモを感じた女子高生だって本当はコスプレしてた大学生かもしれないし。

 

自分が"良い"思ったものを信じて、それを最期までずっと好きでいられる人生が良いな。

 

知識も語彙力も乏しいので魅力を伝えきれないのが悔しいのだけどwarbearはアルバムを通して聴くと1つの長編小説を読み終えたような気分になれるし、音楽ガチ勢でも納得できるクオリティの音源なので。アートワークも素敵だしアナログ盤も出てるし好みじゃなくとも時間の無駄だったとは絶対思わない!と思う…

 

最後にこれだけは見てほしいMVと初日公演のセトリ、Apple Musicのプレイリスト載せておきます。

尾崎雄貴への愛が溢れてGG懐古厨やりながらwarbearガチ勢になりそう。矛盾してるけど。毎日しにたいと言いながらも今後の活動が楽しみで生きちゃう…。そんな具合に。

長文駄文ですが読んでくださった方どうもありがとうございました〜!

 

(文:いぬのけつㅤ🛁 (@inunoke2) on Twitter  )

 

 

https://youtu.be/kJYsw6o-N1E

↑美人が映ってます

 

‎いぬのけつの「warbear tour2018 "鳥と熊と野兎と魚" 1/18札幌」をApple Musicで

↑warbearツアー初日 札幌 プレイリスト

 

‎いぬのけつの「Galileo Glilei ラストライブ 武道館」をApple Musicで

↑GGラストライブ武道館プレイリスト

 

2018/1/18 札幌 cube garden

warbear tour "鳥と熊と野兎と魚"


Sea and The Darkness Ⅱ (GG)の一部
車に乗って
墓場の蝶
鳥と鳥(GG)
ゴースト(GG)
燃える森と氷河(GG)
わからないんだ
トレインは光へと向かう
lights
掴めない
ウォールフラワー
灰の下から
1991
27
↓encore
Sea and The Darkness Ⅱ (GG)

 

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