COVID-19とレコ屋店員の嘆き
今日も僕は自宅待機、です。
僕は普段、都内のレコードショップの店員として働いています。2019年の1月、思い切って音楽業界に飛び込みました。日々膨大な量のCDに触れながら店頭に立ち、時には新譜のポップなども作り、最近では買取査定をこなすことも多くなりました。性に合っているし、自分の知識を活かせるフィールドです。
しかし、そんなレコ屋が今、思わぬ形で脅威に晒されています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行りだした頃は、「まあちょっとタチの悪いインフルエンザみたいなもんだろ」とさほど気にしていなかったのですが、ここ数ヶ月で状況が大きく変わったのは皆さんもご存じの通り。僕が勤めている店も土日の臨時休業を余儀なくされました。
まさか、こんなことになってしまうとは。もはや「人生は何が起こるか分からないから楽しい!」とか悠長なことを言っている場合ではない。
今回はこの危機的状況を言葉にしておこうと思い、こうして筆をとっています。ここ数日色々見聞きしたことを元に、レコ屋の店員の端くれとして、僕が感じている不安要素をいくつか挙げてみました。
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・接客業としての辛さ
これは同業の方々であれば同じ境遇だと思いますが、業態的にリモートワークが不可能なのが接客業です。自宅にパソコンとビデオチャットツールさえあれば仕事が出来る人たちが、正直羨ましいです。
自分で選んだ道なのだから仕方ないと割り切っていますが、少しでも感染リスクを避けるためには外出しないのが一番。でも働かないと生活が成り立たない。
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・売り上げの減少とジレンマ
外出の自粛要請に伴い、当然ながら店の売り上げも落ちています。
じゃあ、通販で稼げば良いのでは?というところなのですが、実際ネットでの注文は伸びており、それは非常にありがたいことです。店が存続出来ている大きな理由でもあると思います。
しかし通販の受注が増えるということは、それだけ配達員の方々の負担が大きくなるということであり、当然彼らの感染リスクも高くなる。頭が上がりません。
なので、僕個人としては手放しに「通販で買ってね!」と声を大にして言うことは非常に憚られるわけです。だからと言って「店頭に来てね!」とも言えない。でも、買ってくれないと店の存続に関わるし、従業員への賃金も支払われなくなる。「不要不急の買い物によって自分たちの生活が保たれている」という事実。こういったジレンマは、おそらく音楽(もっと言えば音楽のみならず文化的活動全般)に関わる多くの人々が感じていることだと思います。
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・非正規雇用としての収入
僕は社員を目指してはいますが現状アルバイト店員であり、いわゆる「非正規雇用」の立場です。比較的自由に休みを取れる職場であり、フットワークの軽さが僕には合っているのですが、やはりネックになるのが賃金です。
正直、時給は決して高いとは言えません。本当に音楽が好きで、その熱意がなければおそらく続かないし、僕は趣味を仕事にすることでしか生きられない人間なので、こうして今も働いています。
そんな僕の日常がウイルスによって崩壊の危機に直面することになるなんて、全く想像出来ませんでした。
全店的な売り上げ減少に伴い、従業員の残業は基本的に「禁止」。当面の間は時短営業となり、土日は臨時休業。本来出勤だった日は賃金の6割が支給されるのがまだ救いですが、今月の給料日が怖いです。
ありがたいことにライターの仕事はあるのですが、今の自分の力量では家計が潤うレベルまではいかないです。むしろ、少しでも対価がもらえること自体がまずありがたい。
そこで、副業を探すべく週1〜2日程度で出来る在宅のアルバイトを色々探してみたのですが、まあ…そう簡単に自分に合ったものが見つかるなんてこともなく。もっと資格とかスキルとか、身に付けておくべきだった。在宅以外でも探しましたが、そもそもこんなご時世。みんな考えることは一緒で、条件が良いものはとっくに埋まっていました。幸い、契約に至った案件もあるのですが、どれだけの仕事が舞い込むかは不透明で、漠然とした不安は残ったままです。
すぐに30万円くれ。
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・文化的損失
レコ屋は音楽の「発信地」としてまだまだ機能できると信じています。人の手によって形作られていく音楽シーンの、その大きな担い手の一つだと信じています。僕はそういう場所に身を置くことが出来ている現状に、ある種の「誇り」を持っています。
レコ屋が無くなれば、程度の差はあれど、それは文化的損失になる。「そんなことは起こらない」とは、もう言えません。レコ屋の閉店はすでに事実としてあります。僕自身に降りかかる可能性だってあります。でも、前述の通り手放しに「買ってくれ」とは言えない。
ただ、こんな状況でも新譜は出るし、中古商品も入荷します。そのことを忘れないでほしい、と願うことしか出来ません。
※追記:2020年4月7日
明日から店が当面の間休業となりました。ただ、通販や査定は継続されるため、物流は止まりません。僕もその対応のため内勤となりました。
「通販の受注が増えれば配達員の感染リスクも高くなる」といった旨のことを書きましたが、生活のために仕事を休めないのは配達員の方々も同じかもしれません。それに、もっと広い視野で考えると、何の対策もされずに全ての物流がストップしてしまえば僕らの引きこもり生活さえも送れなくなるのでは…?
なので、金銭的余裕がある方はオンラインショップを覗いてみてください。眺めるだけでもきっと楽しいと思います。
なお、本記事ではあえて店名や企業名は伏せてあります。ここに書かれていることは僕の個人的な所感であり、会社の考えを代弁するものではないからです。また、これは決して僕だけの問題ではなく、広く皆様に考えていただきたい事象である、といった狙いもあります。
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賃金の話をしましたが、その日暮らしも危うい方々に比べると、自分は恵まれている方だとは思います。なんとか食い繋ぐしかない。
今自分に出来ることは何か。
まずは、つべこべ言わずに自宅待機。仕事や必要な買い物以外は、基本的に家で過ごす。
予防の徹底。マスク着用は当たり前。手洗いうがいをしっかりと。最近は、帰宅したらすぐにiPhoneを除菌ウェットティッシュで拭くようにしてます。
そして、こういう時だからこそ映画を観たり本を読んだり、今まで聴いてこなかった音楽に触れたり、インプットを大事にする。頭を整理する。文章を書く。
僕はまだまだ「ライター」を名乗れるほどの人間ではないと思います。その辺のブロガーに毛が少し生えたくらいです。今は粛々と、しかし確実にスキルアップを図る時期なのだと割り切って、少しでも楽しいことを見つけて日々を過ごしていこうと思います。
(文:おすしたべいこ)
BAROQUEサブスク解禁と新曲「STAY」のお話
はじめに
どうも、アキオです。昨今なかなかいろいろな業界が大変ですよね。
自粛自粛続きで困っちゃいます。
そんな中、僕の好きなバンド「BAROQUE」に本日(2020年4月3日)いろいろ動きがありましてね。いてもたってもいられなくて書くことにしました。
BAROQUEサブスク解禁
少し前、3月23日にこんな記事を書いたんですよ。
delivery-sushi-records.hatenablog.com
この中でサブスクリプション解禁しないかなぁとか書いてたらですね…
そのすぐあと3月27日に大文字表記以降のアルバムと圭さんのソロアルバムがサブスク解禁されました!
解禁されたアルバムがこちら
大文字表記以降の圭さんのソロアルバムがこちら。
いやー…おめでとうございます!これも僕の書いた記事のおかげ…ってのは冗談でお疲れ様ですって気持ちですよ。関係各所とか色々調整とか大変だったでしょうし…。
ありがたい限りです…。
さて、BAROQUEは2人になって以降音源やアルバムコンセプトもさることながら、ジャケットやフライヤーなどフィジカルの部分にも物凄くこだわっています。
例えば「PUER ET PUELLA」で見せた鍵型USBのハイレゾ音源とか。
そういうタイプのバンドなので「サブスクリプションは何となく厳しいのかもなあ」とは思っていました。
個人的に思うにサブスクリプションとフィジカルの音源って別に対立する存在ではないと思うのですよね。
サブスクで機会と門戸を開けば、音源という実体につながり、いずれはライブという体験へとどんどんリンクしていく...なんてことも起きる世の中になりましたし。
そういうわけで自分の中では二項対立のような同一直線上にあるものではなく、寧ろパラレルであり、時には相互に繋がり補完しあうものだと考えてます。
おまけに布教しやすくなって、「BAROQUEすごいんだぜ」というのをとても伝えやすくなりましたよ。
やっぱり、
「ヴィジュアル系の中でも珍しくシューゲイザーや電子音楽的な要素も多分に盛り込まれてる音楽でね…」「ギターの圭さんのソロアルバムはギタリスト然としながらもアンビエント的でね...」
とか言葉で説明するよりは曲聴かせたほうが早いんですよね。
そういう、「体験のスピード感」「高揚感の急速冷凍のち出荷」みたいな事をBAROQUEでもできるようになったのが兎に角嬉しいです。
個人的に最近の彼らの中でおすすめの曲をいくつか貼っておくのでぜひぜひ。
説明するよりやっぱり聞いてもらったほうが早いので!
- PLANETARY SECLET
- PUER ET PUELLA
- SIN DIVISION
あと圭さんのソロアルバム「4 deus.」から、特にギターが炸裂するこれとか。
どれもめちゃめちゃいいので、聴こうね。
BAROQUE、新曲「STAY」リリース
2020年4月3日、突如こんなニュース…?が舞い込んできました。
まだ完全体ではないらしいが新曲。しかもすべてが双方の自宅のみで完結した作品。
この作曲形式自体がまさにCOVID-19が社会に与えていることは何かを如実に表しているようです。
記事でも言及がされているが、曲調のEDMが齎す多幸感と裏腹に歌詞は非常にシリアス。
大切な者を喪ってしまった悔恨が全面に押し出されており、「STAY HOME」を間接的にも呼び掛けているのでしょう。
怜と圭が画面越しに繋がり共に歌う。そしてメッセージアプリを用い双方がやり取りをしながら流れていく歌詞は、リアルな楽曲製作過程という点で生々しいですね。
さらに世界中のCOVID‐19に対する反応がバックに流れていく映像という点でも非常に生々しさを感じさせます。
昨今いろいろなアーティストがこの事態に対して様々な発言をしていますが(それも一つの表現です)、
彼らは言葉ではなく楽曲を用いて表現して見せました。
BAROQUEはどこまでもアーティスト然としているのだなと胸が熱くなったし、素直にかっこいいなと思いました。
これから完成形になるとギターとかもっといろいろ入ってくるのでしょうが、どんなアレンジになるかが楽しみです。
最後に
もともと、BAROQUEのサブスクのことだけを書く予定だったんですよ。
どう書こうかと思っていたら、最中に新曲が発表されて。
楽曲発表の際に彼らが「STAYを広めてほしい」という趣旨の事を記していました。
どうにもこうにもライブなんて開ける状況にない昨今、
「大変な状況の中で自分はどんな形でこのバンドに貢献することができるんだろうか…彼らの思いをしっかり汲み取り、できる形で少しでも何かするべきなんじゃないのか。」と思い、
いてもたっても居られずこちらも書くことにしました。
どうしても暗いニュースが続き外出自粛も含め、ストレスフリーとは言い難い状況が続きますが、音楽の力ってやっぱり凄いんだなと改めて実感しました。
そして何よりも、楽曲や記事を通して彼らのメッセージが広まったら嬉しいです。ファン冥利に尽きます。
(文:アキオシロートマグル)
一度で二度美味しいユニットのベストアルバム MYTH & ROID「MUSEUM - THE BEST OF MYTH & ROID -」
MYTH & ROID / MUSEUM - THE BEST OF MYTH & ROID -
MYTH & ROIDは2015年にオーイマサヨシとのユニット「OxT」や様々なアーティストへの楽曲提供等も担当しているTom-H@ckと、同じく「OxT」でも仕事をしてきた作詞のhotaruとボーカルのMayuでデビューしたユニットだ。2017年にMayuはソロ活動のために"卒業"し、代わってKIHOWが加入し現在に至る。
アニメの主題歌等のタイアップを中心に作品を重ね、今年の3月に約5年の活動の中での歴代のシングル表題曲と挿入歌を全て収録した本作品「MUSEUM - THE BEST OF MYTH & ROID - 」をリリースした。
本ベストアルバム16曲のうち前半の8曲がMayuのボーカルによる楽曲で、後半の8曲がKIHOWによるボーカルの楽曲という、ユニットの歩んできた流れに沿ったアルバムの構成となっており、その音楽性は様々なジャンルを下地にしながらデジタル・サウンドを多様したロック・サウンドを軸としたものが一貫してあるが、プロデューサーのTom-H@ckを中心としたコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニットという柔軟な形態が二人の異なった女性ボーカルを各々違った時期に有し、ベストアルバムでありながら独特なこの二層構造の形を生んだように思える。
アルバムは初代ボーカリストのMayu在籍時代のデビュー曲「L.L.L.」のラウドな一曲から始まる。どこか演歌のこぶしにも通ずるような力強さと同時に"艶歌"的なしなやかさも兼ね備えた歌唱がMayuの特徴だ。「STYX HELIX」や「Crazy Scary Holy Fantasy」等の楽曲にそんな魅力を見出だすことができるが、勿論その他の楽曲でもその個性は遺憾無く発揮されている。しかし、ボーカルとサウンドの強烈なまでの加工に溺れることなくその破壊力と鋼のしなやかさを堪能できる一曲を選ぶのならばやはり「JINGO JUNGLE」ではなかろうか。
そしてKIHOW加入後の楽曲が収められた後半にアルバムは突入する。広大で深く尚且つ"歌い込む"と言った感覚の喩えが似合うその歌唱は、時に繊細さに構築された軽やかさも含みつつも楽曲に負けない強さも持ち合わせている。「Rememberance」はそんなKIHOWの個性を実に高純度に反映させた仕上がりの一曲だ。シャッフルビートを軽やかに伝うように歌う「VORACITY」のようなロックナンバーをも"歌い込める"のも彼女の魅力の一つだが、個人的にはトラックの壮大さに添うように歌われる「Cracked Black」のような楽曲に彼女の最大の魅力と効力を感じる。
先にも書いた通りMYTH & ROIDはプロデューサーのTom-H@ckを中心としたコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニットである。その独特の形態がフットワークの軽さに繋がり、サウンドもジャズやクラシックの教養が確かに感じられる表層上のラウドでデジタル・サウンドに加工されたロックやポップスは本質ではない。より深く聴き込んだ分だけ立体的に堪能できる作りの楽曲は素晴らしい品々ばかりと言える。
一つのユニットのベストアルバムでありながら異なった個性を持った二人の女性ボーカルを楽しむ事ができる異色な一枚となっている本作品をもって、是非ともMYTH & ROIDの魅力を皆さんにも知って欲しい。
最後に、そんな二人の女性ボーカルの個性と旨味を堪能できる二曲を紹介↓
"Cracked Black"
デジタライズされたボーカルとサウンドを支えるのも根本には人間がある。そして、そこに載せられた普遍不動の価値と意味を示すhotaruの歌詞があることを最後の最後に記したい。
MYTH & ROIDは深い部分で実に魅力のあるユニットだ。
(文:Dammit)
エモリバイバル入門の手引き
先日、出前寿司RecordsからCap’n Jazzについての記事が公開されて、非常に嬉しかった。
というのは、自分が元々エモが大好きだというのもあるし、自分も昔、Cap'n Jazzからの派生バンド、Joan of Arcについての記事を出前寿司Recordsで書いたことがあったからだ。
delivery-sushi-records.hatenablog.com
delivery-sushi-records.hatenablog.com
他にも、良質なインディオルタナを鳴らしてる女性アーティストについて書いたこともあった。
delivery-sushi-records.hatenablog.com
そんなわけで、どうしても新しく、エモに関する記事を書いてみたくなったので、今回もお願いして寄稿をさせてもらいます。
(注意1)
今回の記事は「基礎中の基礎中の基礎」について書きたいと思うので、かなり内容は薄いです。
(注意2)
この記事は、まず結論から書きます。時間がない人は結論だけ読んでください。
目次
①結論
はっきり言います。
こんな記事は今すぐ閉じて、名古屋のstiffslackに行ってください。
stiffslack、通販もありますので。とはいえ現在は移転+ライブハウス化の作業中で稼働してないですが。(お店の再開は3/27から)
これを書いてる自分は愛知県民ですが、今から書くものは、stiffslackに足を運んで知ったものが大多数です。
「世界で一番、toeの音源が売れる店」として、toe自らが認める、エモ/ポストロックのメッカ、それが名古屋のstiffslack。そこには古今東西、新旧問わず、エモのすべてがあります。
この記事を読むより、実際にお店に行って、何がいいのか聞いて、確かめるのが一番早いです。
東京だったら、新代田のLike A Fool Records、大阪だったら南堀江のFlake Records、とかがお店のタイプ的には近いと思います。(こちらのお店も通販あり)
他には渋谷のNERDS、八王子のToosmell Records、奈良のThroat Records(LOSTAGEの五味さんのお店)、高松のImplse Records、等々があるかと思いますが、それぞれ持ち味が違うと思いますので、実際に足を運んでください。
②二大バンド
二大バンドなんてエモリバイバルにはいません。勝手に僕が決めました。
とはいえ、実力、人気、入りやすさといった点から、二つのバンドがド定番なんじゃないかということで、選びました。
・Into It, Over it
なによりもまずはこのバンドなんじゃないだろうか。歌心もあり、ギターもうまく、日本が大好きで、ソロでも来日するようなバンド。
エモというよりはインディロック/オルタナの系譜にあると思うけど、このバンドがもつ哀愁は近年のエモリバイバルバンドの一つの手本というか指標だと思う。
まずは『Proper』から。
・ttng(This Town Needs Guns)
エモリバイバルの一つの流派というか、マスロックのように美しい単音を紡ぎながら、というタイプの音楽がエモリバイバルのスタンダードだと思う。
で、ttngはその流派を作り出したバンドの一つ。現行で活躍してるイギリスのバンド。もともとはThis Town Needs Guns のバンド名で活動してたけど、いろいろあって今のバンド名ttngに。
アルバム『Animals』はエモリバイバルを語るうえではマスト。名盤というより、「ザ・スタンダード」。
③今が旬なエモリバイバルバンド
2020年現在で旬なエモリバイバルを3つ紹介。新しいもの、トレンドをとにかく取り入れたい人はここから入門でも全然問題ないかと。
・Pinegrove
今年の一月に新作『Marigold』をリリース。紛れもなく彼らの最高傑作と言える。というか、今年のエモの最高傑作という観点でいうと、早くも最有力かと。
フォーキーな感じがして、歌モノとして楽しみたい人にはうってつけ。特にデスキャブなんかが好きな人に。
・Ratboys
こちらもつい先日に新作『Printer's Devil』をリリース。これも彼らの最高傑作でしょう。心地よく歪んだギターが響く、メロメロになるようなギターポップ。ティーンエイジファンクラブなんかが好きな人向け。ちなみに、来日ツアーで名古屋に来てくれた時に見たことあるけど、結構演奏してる姿は激しい。特にギターのほうは、ザックワイルドみたいに長髪を振り乱す。かっこいい。再来日を熱望してる。
・Dogleg
これは、かなりエモリバイバルをよく聞く人の中で今話題のバンド。新譜『Melee』をつい先日リリース。硬派な感じがする。エモリバイバルの中で、最近はなかなか硬派なエモをならすバンドがいないんだけれど、これはそういうバンド。ポップさなんかいらない、マスロックみたいなわちゃわちゃしたいのはイヤ、そんな人に。
④次に聞くといいエモリバイバルバンド
とりあえず入門向けなものはわかったけど、どう広げていけばいいかというところで、先にあげた5つのバンドについて、次の行き先を書いていきます。
・Into it, Over it から広げていきたい人
ウィーザーみたいな泣き感があるバンドということで、まずAnnabelを勧めます。アルバムは3枚しかないので、どれから入っても大丈夫。
ちょっとだけ毛色は違うだろうけど、Pet Symmetryなんかもいいかも。今年の来日が決まってて、もうすぐなんだけど、コロナウイルスが猛威を振るう現在がどうなるか本当に不安。「これこれ!」って言いたくなるような、エモらしいエモ。90年代とかのバンドが好きな往年のエモファンでも楽しめるサウンド。
・ttngから広げていきたい人
イギリスにttngがいるなら、アメリカで対をなす存在として、Tiny Moving Partsがいます。2月に全エモファン待望の初来日ツアーがあり、各地で大盛況。自分も名古屋編に行って、優勝してきました。100点満点で言うと、8兆点つけれるくらいの出来。とりあえず、アルバムは昨年リリースの『Breathe』もいいけど、『Swell』からがおすすめ。
あと、ttngと同じ系譜にあるバンドとして日本人として外せないのは、中国のバンド、Chinese Football。アジアで最高のエモリバイバルバンドでいいんじゃないだろうか。音楽はもちろん素晴らしいが、とにかくすさまじい数のライブをこなすし、去年は日本ツアーをして、新譜『Continue?』も出した。もちろん名古屋に来た時に見に行った。あのアメリカンフットボールともライブをしてる。日本人というか、アジア人として彼らを応援せざるを得ない。
昨年奇跡の再結成と来日ツアーをした、Snowingも必聴。先日Cap'n Jazzについての記事が出前寿司Recordsで書かれたけれど、まさにCap'n Jazzを感じるような、ショートチューンを立て続けに放ちながら蒼く駆け抜ける、マスでエモいロック。アルバムはわずか一枚しか出さなかったけど、エモリバイバルのシーンにとてつもない影響を与えたレジェンド。そのアルバム、『I Could Do Whatever I Wanted If I Wanted』自体は入手が難しいかもしれないけど、アルバムを含めた全音源集『Everything』なら、がんばったら見つけられるし、最初に挙げたそれぞれのお店のどこかで買えると思う。
・今が旬なエモバンドから広げていきたい人
Pinegroveから広げるなら、Foxingの『Nearer My God』を絶対聞いてほしい。外国のとあるサイトが選んだ、2010年代のエモアルバムランキングにて堂々の第二位。にもかかわらず、知名度が低すぎる。Death Cab For Cutieの元メンバー、クリスがこのアルバムに携わってて、デスキャブの繊細さにミューズの静と動のコントラストとクイーンの煌びやかなメロが乗っかったような大・大・大傑作。この十年で最も過小評価されてるオルタナのアルバム。エモとか関係なく、もっとたくさんの人に見つかってもいいはず。
Ratboysから広げるなら、Tigers Jawとか、Slingshot Dakotaがいいと思う。特にSlingshot Dakota は夏に来日が決まったので、まさに今聞くにはちょうどいいと思う。Tigers Jawもカッコいいバンドで、来日で大阪のコンパスに来てくれた時は見に行った。みんな飛び跳ねてた。
Doglegから広げるなら、イチオシはHolding Patterns。圧倒的に硬派。誰にも媚びない、キレキレのナイフみたいな切れ味。昨年、stiffslackから1stアルバム『Endless』をリリースしたばかりだから、これも簡単に追える。エモ好きに伝わるように言うと、JAWBOXが一番近い感じ。
⑤エモリバイバルをより深く知るためのバンド
エモリバイバルの深すぎる世界を知るための入り口となる音楽を挙げていきます。
・The world is a beautiful place & I am no longer afraid to die
これより長い文字数のバンドがいたら教えてください。最初にエモリバイバルの二大バンドとしてInto it, Over itとttngを紹介したけど、その二つのバンドと同じくらい、エモリバイバルという音楽を代表するバンド。現行で活動中。
音響系ポストロック的なアプローチもできる、大所帯バンド。現在までに3枚のアルバムを出してる。今年になって、過去の曲をコンパイルしたアルバムもリリースしてるので、割と旬な感じもある。深く知るためには絶対押さえてほしいバンド。
・Empire! Empire! (I was a lonley estate)
惜しくも既に活動をやめてしまっているが、エモリバイバルにおいて確かな爪痕を残したバンド。エモのレジェンド、ミネラルを彷彿とさせるような、美メロの応酬を楽しませてくれる素晴らしいバンド。ボーカルのキースはまた音楽活動を開始みたいで、もしかしたらキースの来日はあるかもしれない。
このバンドも2枚のアルバムと、stiffslackからリリースした未発表音源集があるだけなので、押さえやすい。けれども、このバンドは確実のエモリバイバルの中心にいたと思う。
入門ということで今でも活動してるバンドを優先的に挙げてるけど、多分一番エモリバイバル入門には向いてるバンド。
・You Blew it!
これも、活動を休止してしまっているバンド。ただ、アメリカンフットボールが3rdアルバムを出した時に、活動休止中にも拘わらず一緒にツアーをしたから、まだ観れる可能性があると信じたい。アルバムは3枚だから、これも押さえやすい。
ウィーザーみたいな泣きの効いたグッドメロディが楽しめるバンドだと個人的には思ってる。実際、ウィーザーの曲をカバーしたEPを出すぐらいだし。
真っ向から切ないロックを聞きたい人に手に取ってほしい。
・Algernon Cadwallader
活動してないバンドがまた出てきてしまって申し訳ないが、エモリバイバルを話す上でこのバンドも絶対に絶対に欠かせない。ttng、snowingと共に、今のエモリバイバルの流行りを作り出したバンド。むしろ、このバンドこそがエモリバイバルの始まりと言ってもいいかもしれない。
アルバムは2枚だけで、長らく廃盤になっていたが、去年、未発表音源集も含めてようやく再発されたので、手に入れやすくなったと思う。エモリバイバルを原点から押さえたいのであれば、ここからがいいと思う。
⑥個人的な推し
ここからは完全に自分の趣味。今まで挙げてるバンドも自分の趣味丸出しだけど。
・Magnet School
Shiner、the life and times を彷彿とさせるようなバンド。適度な轟音を混ぜつつ、ドラマチックなコントラストが楽しめる。名付けるなら「スペース・エモ」。シューゲイザー的なエモといえば、NothingやCloakroomとかを考える人がいると思うけど、そういう人にも十分受け入れられるであろう音楽。
・Haal
これもMagnet Schoolと同じタイプ。Magnet Schoolは2018年に来日があったけど、彼らも来てほしい。Magnet Scoolよりはダークで、ハードコアやグランジの影が濃い印象がある。
・Beach Slang
エモリバイバルではないと思うけど。イチオシ。最近ドハマりしてしまった。名門Polyvinylからアルバムを2枚だして、今年はBridge Nine Recordsから新作『The Deadbeat Bang of Heartbreak City』を発表。今が旬。
エモ・ガレージ・シューゲイザー・グラムロック、いろんなものが混ざった、煌びやかで最高に爽やかなロックだ。
・Pool Kids
女性ボーカルでマスロック感のあるエモ。ただ、他のその手のバンドよりも、静と動のコントラストがはっきりしてると思う。こちらもイチオシ。今回挙げた自分の推しバンドの中では一番、エモリバイバルらしいエモバンド。
⑦まとめ
いかがだったでしょうか。2010年代が終わって早くも3か月が経とうとしてる。エモリバイバルはとどまることなく10年を駆け抜けた。これからの10年を楽しむためにも、この記事が参考になることを願います。
最後に、フガジのイアンマッケイのいつか言ったというこの言葉を。
『エモーシャルじゃない音楽なんてないんだ』
エモいと感じたもの、それが貴方のエモだ。
(文:ジュン)
「日本ロック史における"史観"」について
日本のロック史におけるその"史観"となりうるアーチストに関しての意見ないし見解は、暫し人によって分かれてしまうことがある。そしてその大半がGS(グループ・サウンズ)における第一人者たるザ・スパイダースか、後にそのメンバーらが日本のポップミュージックに多大なる影響を与えたはっぴいえんど、そして自作自演によるその先鋭的な視線をアングラに見出だして語られるジャックスら辺りが代表格として祭り上げられているように見える。
そもそも「日本のロック史」という多量の歴史に対して、アーチストという一個体の単位での解釈や見解ではあまりにも象徴的かつ記号的で、アーカイブとしては歪曲なものになるのではなかろうかという疑問が生まれる。同時にそれらの象徴的かつ記号的な解釈や見解を論点のポイントとして幾つか配置することにより、この「日本のロック史における"史観"」の正体を照射し導くことができる仕組みが浮き彫りとなる表裏一体の事実があることにも気付く。これらの事実に基づいた俺の拙いながらの持論を今回はここに記したいと思う。
「日本のロック史における"史観"」の前に、日本のロックのルーツとは何なのかを書かなくてはならない。筆者の知る限り、日本最古のロックムーブメントは50年代中期~60年代にかけて起きた「和製ロカビリーブーム」に他ならない。しかし、この時代の蓄音機の普及率が壁となり全国区的なムーブメントとはならず、東京などの一部の都市生活を営む者たちのヒップな流行としてこのムーブメントはあったように思う。故に「日本のロック史における"史観"」とするにはあまりにその視野と規模が"点"で集約され過ぎており、後列のアーチストらの多面的な意味での多様性に対応できずに理論としての劣化も早く尚且つ弱い。同時並列的に起きていた「和製カントリーブーム」にも同じ事は言える。
しかし、この上記二つのムーブメントから内田裕也やミッキー・カーチスが登場し、後に「GSブーム」に対抗するためにバンドを結成しており、ザ・スパイダースの一員となるムッシュことかまやつひろしもカントリー畑の人間だった。
GS(グループ・サウンズ)の登場は画期的ではあった。バンドという形式でロックをやった日本最古のムーブメントは間違いなくこのGSである。アイドルのような人気を誇り、「バンド形式のロックというポップス」の存在を全国区に知らしめたその功績は大きい。しかし、このGSですら「日本のロック史における"史観"」とはなり得ない。それはGSの体質そのものに理由がある。もしGS"のみ"が「日本のロック史における"史観"」とするのならば、あまりにも日本のロックは軽薄でトレンド・ウォッチャーの"カモ"で子供のオモチャにしかならないものとなるからだ。GSが60年代を越えることができなかったのは、トレンドのポップカルチャーとしての消耗品でもあったからだ。
だからこそ、アングラの文学性や演劇然とした重厚さが必要不可欠なエレメントとなりうるのだ。アングラにこそ磁場があり、アングラというポジションにおける気骨と精神をロックのそれと重ね合わせたものからの発信があり、それが日本のロックに陰影を与えた。ロックの内省的な精神性というシリアスな面持ちの表現において、アングラの劇的な手法こそが今日までロックを"仕掛ける側"に位置付けた最大の理由でもある。しかし、それでもこのアングラからのロック"のみ"の「日本のロック史における"史観"」だとするならばどうだろうか。ロックにおける拡散力において、アングラというジャンルはその体質面において実に鈍い動きにならざるを得ないのだ。局地的ともいえる爆震地を"点"で発生させることはできるが、GSのような全国区レベルの人間を取り込む事ができないのだ。結局のところ「和製ロカビリーブーム」のような視野と規模の"点"の集約による脆弱な理論の高速の劣化に陥ってしまうこととなる。
では、フローラルというGSバンドからエイプリル・フールというバンドとなりそこから発展し、尚且つ作詞面においてアングラ勢のジャックスからの影響もあった、はっぴいえんどというバンドは単体で「史観」となり得るのか。今回の記事を書く上で上記の「GS史観」と「アングラ史観」を検証し思考したのは、この二つの「史観」が「はっぴいえんど史観」に対するカウンターとして検証と思考されることに対する、そのカウンターとしてのポジションに更に対したアンチテーゼとして独立した検証と思考を立脚させるために書いたものだ。「はっぴいえんど史観」というものをこの記事上で検証と思考することでこの記事はやっと"本題"へと入ったこととなる。
はっぴいえんどが日本のロック史、ポップス史に与えた影響は実に強大なものである。YMOから松田聖子までという例え方をすれば、最短でその範疇の咀嚼と理解が出来る筈だ。はっぴいえんどの登場無くして日本のロックとポップスは洒脱なセンスを手にすることは出来なかった。ロックにおけるラディカルな衝動を外に発したGSと内に発したアングラの二つに足りなかった思想的なものを、建設的なものへと移行できる知性に裏付けされた選民性こそがはっぴいえんどの洒脱なセンスの正体だ。しかし、このはっぴいえんどを持ってしても単体で「日本のロック史における"史観"」とはなり得ないのだ。はっぴいえんどのその洒脱なセンスを理解するには地方の人々とではあまりに知的文化の格差がある。彼らの代表作「風街ろまん」はあくまでも23区内の空想なのだ。ロックが都会にあることが標準としてあるはっぴいえんどでは「史観」として広がるべき普遍性に欠いているのだ。
結局のところ「日本のロック史における"史観"」とすべき正論とは何なのか。上記三点の検証と思考が全てであると俺は改めて主張する。即ちまとめてしまうならば「GSの拡散力」と「アングラの磁場」そして「はっぴいえんどの洒脱さ」のどれが一つ欠けても日本のロックは今日までの発展は成し得なかった。個々に弱点と呼べる要素を孕みながら、それを補う要素も内包して三者三様にあることが、日本のロック史の海外の何に似ているようで似ていない独自のロック文化を作り上げたと言っても過言ではない筈だ。「日本のロック史における"史観"」という一つの点を照射し導くには、上記で重々に記した三点こそが必要不可欠なるエレメントなのだ。日本のロックがまだ手探りだった時代に発生した個々の存在は、姿や形を変えても尚も確実に後列に強い影響を及ぼしているのも事実だ。日本のロックには確かな歴史があり、そこには改めるべき強固な「史観」が存在する。それをここに記す。
(文:Dammit)
地獄の門への旅路〜BAROQUE「SIN DIVISION」(2020)
はじめに
皆さんどうも。アキオです。
個人的に色々紹介したいのですが、まずはより多くの人に広まって欲しいこちらから。
BAROQUE「SIN DIVISION」(2020)
I. RITUAL
II. END VISION
III. SIN QUALIA
IV. REDME
V. FALLEN VENUS
VI. SUCCUBUS
VII. SABBAT
VIII. GLOOMY LILITH
IX. FROZEN ABYSS
X. COCYTUS
XI. I LUCIFER
XII. INFERNO
Vo.怜、Gt.圭の2人組になってから3枚目のアルバムである。
今作は、というか2人組になってからの3枚はすべてコンセプトアルバムだが、圭さんによると
「PLANETARY SECRET=哲学的な生命の誕生、PUER ET PUELLA=現実的な人の一生を表現、
SIN DIVISION=罪の境界線、人の罪や変態的な欲望、地獄、悪魔とは?といった、現実の中でも人が普段は隠しているようなものがテーマ」
ということらしい(PLANETARY SECRETは前々作、PUER ET PUELLAは前作のアルバム)。
今作のアルバムは前作「PUER ET PUELLA」からおよそ半年という短いスパンでリリースされており、そのテーマも前作と今作では光と闇…分かりやすく対照的だ。
そして、このアルバムは最後の曲「INFERNO」を現在地として、それまでの曲を通して一人の人間が闇に堕ちる過程を表しているという。
闇を表現した「SIN DIVISION」にはそれまでのBAROQUEには無かったクラブミュージック、ラーガの要素が盛り込まれ、基本的に暗く妖しい音楽、言うなればどことなく4ADレーベルのような雰囲気が漂っている。
ただ、その音像は今までのアルバムと一変しているわけではなく、むしろ完全な地続きにある。
それこそが、光と闇は表裏一体であることを端的に表しているし、そのすべてがBAROQUEの要素であることも感じ取れる。
そして、ダークなコンセプチュアルの中にも疾走感あふれるロックチューンからジャジーなテイストの曲、アンビエントや民族音楽など決してコンセプトに縛られすぎない幅広さも見せる。
実はこれ、ポップなパブリックイメージがあった両人のルーツにもダークな音楽があることが伺える、初めての作品である(カタカナや小文字英語表記の頃含め、おそらくなかった)。
そう思うとこのアルバムは
「初期のヴィジュアル系に通じるプリミティブな暗さも実はBAROQUEには血として流れ、その上でBAROQUEの持ち味である表現の幅広さも組み込まれたある意味挑戦的な作品の証左」
となることは間違いないだろう。
それにしても2人になってからの3枚でBAROQUEとしての高いクオリティで美意識や方向性が示せたのは流石だし、アルバム毎にあらゆる面で、特に歌唱やギターのフレーズセンスで目覚ましい進化が見られるのも素晴らしいことである。
最後に
短めの文章になりましたが、この先のBAROQUEがどうなるのか僕は楽しみです。なかなかハイクオリティのアルバムを連発してくれているので…。
昔の彼らしか知らない人も、THE NOVEMBERSとの対バンで知った人たちも、普段ヴィジュアル系を聞かない人も…
とにかく音楽に興味のある人はみんな聞いてほしいです。そのくらいにはおすすめです。
(できればサブスクがあればいいのだけど…もしこの記事を見て興味があればフィジカルでもぜひ…!)