2018年の名盤(表・裏)※ジュン選出
どこかしこも年間ベストを発表する時期になってきたので、自分も選んでみようと思う。年間ベストというよりは、今年の良かったアルバムを表バージョン、裏バージョンで3枚ずつ選んでみた。
まずは表バージョンの3枚。(ランキング形式ではなく、順番は適当である)
1. The 1975 「A Brief Inquiry Into Online Relationships」
2. Pale Waves 「My Mind Makes Noises」
3. Snail Mail 「Lush」
表バージョンということでベタベタなチョイスをしてみた。それでもやはりこの3枚は誰も外せないんじゃないだろうか。
1. The 1975 「A Brief Inquiry Into Online Relationships」
配信された直後に聞いた。聴きやすさと少しの憂いが絶妙な塩梅である。多くの人が「OKコンピューター」を感じたようだが、自分もそうだ。それは収録曲の「The Man Who Married A Robot」が「Fitter Happier」を思わせるからではない。なんとなく全体的な構成が近いものがあると思ったということ。そして「次はOKコンピューターとかクイーンイズデッドのようでないといけない」というマシューのビッグマウスからそういう耳で聞いてしまっていたことが大きい。実際にここまですごいアルバムを作ってくるとは予想していなかった。
このアルバムについては、我々、出前寿司Recordsとも多少の縁がある音楽サイト(勝手に自分はよきライバルだと思っている)、アポロでも配信リリース早々に素晴らしいレビューが書かれているので、そちらも読んでみてほしい。以下にリンクを貼る。
The 1975 の『A Brief Inquiry into Online Relationships』を徹底調査 - Apollo96
2. Pale Waves 「My Mind Makes Noises」
これについては新譜レビューも書いたし、全歌詞も翻訳してみたしで、自分の中では今年一番思い入れがある作品。詳しくはリンクを下に貼るのでそこから。
来年の単独来日のチケットはとりあえず押さえてあるので、なんとか行けることを切に願う。
(アルバム内容のレビュー)
My Mind Makes Noises レビュー(Pale Waves デビューアルバム) - 出前寿司Records
(全和訳)
Pale Waves 「My Mind Makes Noises」全和訳(前編) - 出前寿司Records
Pale Waves「My Mind Makes Noises」全和訳(後編) - 出前寿司Records
3. Snail Mail 「Lush」
渋谷まで行ってライブを見た(このサイトのリーダー、おすしたべいこと氏と一緒に見た)。最近いい音を鳴らすオルタナ女子がどんどん出てきているが、デビュー作のこのアルバムだけで確固たる地位を得たと思う。
オルタナ女子といえば、ジュリアンベイカーは来年に単独来日するし、ルーシーダカスも今年アルバムを出して、フィービーブリジャーズはアメリカンフットボールのツアーを一緒に回った。そしてそのジュリアンベイカー・フィービーブリジャーズ・ルーシーダカスから構成されるスーパーユニット、ボーイジーニアスが今年初EPを発表した。この勢いは来年も続いてほしい。
というわけで、表バージョンの3枚はここまで。続いて裏バージョンを発表しよう。名盤というより、こんなのも良かった、というのがすこしでも紹介できればというチョイスになっている。
裏バージョンはこれだ。(数字はランキングではなく適当)
1. Hater 「Siesta」
2. Exploded View 「Obey」
3. Peel Dream Magazine 「Modern Meta Physic」
そこそこ話題になったアルバムで構成されているので今更感はあると思うが、こちらも紹介していきたい。
1.Hater 「Siesta」
スウェーデンのインディバンド、ヘイターの2ndアルバム。ギターの音と女性ボーカルの相性がこれも良い。ドリーミー系ともローファイともキラキラしてるとも言い難い、しかし絶妙なギターの音。歌うというよりは独りぼっちで外で自由に弾き語っているような、のびやかだけど陰も感じるような控えめな歌い方。トランペットもピアノもささやかに花を添えているような。北欧の自然が豊かな風景が見えてくるような作品。UKやUSのバンドとかばかり聞いていたが、北欧は今作が僕の初作品だった。押しつけがましい音が一つもなく、ゆったりと一体になって聞くことができる。リラックスしたいときにうってつけのアルバムになってると思う。
2.Exploded View 「Obey」
ポーティスヘッド、ビークのジェフのプロデュースによるアーティスト。ポーティスヘッドが好きなアーティストの一つなので手に取ってみたが、これが素晴らしい。ポーティスヘッドのテイストのまま、もう少しバンドサウンドが増えたような感じというのか、なんというか。ポストパンク?インダストリアル?よくわからない。ただ、どうしようもなく音は暗い。美しい。絶望してるわけじゃないし、悲しいことがあったわけでもない、でも暗闇に身を置いていたい、そういう気分の時ってないだろうか。自分にはある。これはそんな自分にピッタリなアルバム。ノイジーな音も入っていたりして聴くほど深みに入っていけるようになってる。
3.Peel Dream Magazine 「Modern Meta Physic」
NYのアーティスト。ファズの効いたギターに色々音が乗っかる感じでポップ。ここまでに紹介した5枚に比べると一番ごった煮になってる。しかし、どの曲もメロが甘い。あと、なんだか少し前の世代のポップスを聞いているようななつかしさもある。このアルバムを置いている店ではステレオラブを引き合いにだされている。確かにそういう感じもする。薄っぺらい紹介になってしまっているけど、裏名盤に自分が選んだ3枚のうちでは、このアルバムが一番たくさんの人に聞かれてほしい。
アルバムの1曲目はPVが存在するので、とりあえず聞いてみてほしい。
Peel Dream Magazine - Qi Velocity
とりあえず自分が紹介したいアルバムの表・裏はこれでおしまい。表は言わずもがなだろうけど、裏のほうはなるべく「聞いてなかった」って人に刺さってくれればと思う。
あと、2018年はエモとかそっち系の作品が充実してたから、ジャンルを絞ってよかったアルバムをまとめてみたいと思う。
(文:ジュン)