出前寿司Records

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Solitude HOTEL 6F hiru

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朝起きてすぐ、昨晩見た夢を思い出した。

 

僕は敵に向かって機関銃をぶっ放していたが、相手は全くダメージを受けておらずケロッとした顔をしている。どうやら特殊な防御能力を発揮していたらしく、そいつの代わりに自分の仲間が頭から血を流して倒れていた。

 

電車に乗り、街に出た。嗅ぎ慣れない香りと見慣れない景色。道路を走る高級車。やけに格式の高い落ち着いた街並みだった。

 

長い階段を登り切った先にようやく入口が見えた。大勢の人々が所狭しと立ち並んでいて心無しか空気が薄い。自分に与えられた番号を呼ばれ、ぞろぞろと中に入っていく。みんなが何を考えているのかよく分からない。

 

通路を抜けると暗く広い空間にたどり着いた。スクリーンに映し出された文字を見てようやく気づく。

 

僕は今Solitude HOTELの6階にいる。

 

しばらくすると、おやすみの合図と共に4人の女の子が登場した。確かまだ外は昼間だったはずで、このまま白昼夢でも見せられるのだろうか。

 

しかし眠りの時間は一瞬であり、すぐに新しい朝が来た。その罪をなぞるように、4人の女の子たちは歌っている。気づけば季節は一周し、僕はいつの間にかまた眠りにつき、夏の終わりを告げる夢をそっと見せられた。

 

再び目覚めると僕は狭い部屋の中にいた。このまま全部無くなると思うとなぜかとても安心した。しかしそれも束の間、何かに急かされるように部屋を飛び出し、モノクロの中を走っていた。それらが全て皮肉で終わると分かっていながらも。

 

たどり着いた先で、僕は映画を観ていた。これは今の出来事だと思っていたが、どうやら気づかないうちに過去へと移動していたらしい。もはや自分のいる場所も時間軸も分からなくなっていた。

 

ここで、この一連の出来事に「狭い物語」という題名が付けられていることに気づいた。何か言おうと言葉を選んでいるうちに夜が明け、僕は地下鉄に乗って別の場所に移動していた。頭が痺れている。しばらくして地下鉄は地上へと出た。青くブレる車窓をぼんやり眺めながら、全てを許していこうと思った。

 

地下鉄から降り、疲れ切った様子の僕を気にかけ「おかえり」と呼びかける女の子。しかしすぐに「さよなら」と別れを告げられてしまい、餞別に枯れた青い花を渡された。

 

どこからが夢でどこまでが現実なのか全く分からなくなっていたが、どうやら全部夢ということだったらしい。自分の身体はただただ空洞であった。

 

ふと目覚めると、僕は無意識のうちにSolitude HOTELの6階から階段を降りながら出口に向かっていた。4人の女の子たちはもういないが、これまでの出来事は確実にはっきりと思い出すことができた。

 

幾つもの夜を過ごしてきたはずなのに、時計は街に出てからまだ3時間程しか経過していなかった。

 

 

(文:おすしたべいこ)