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真っ赤なジャガーと静かな熱狂 - Snail Mail @ 渋谷WWW X 10/6

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2018年10月6日。

Snail Mailことリンジージョーダンがついに東京にやって来た。

4日の大阪公演に続いて2度目となるワンマン。

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△ リンジージョーダン

 

今年の6月にデビュー・アルバムLushをリリースしたばかりの彼女。にも関わらず、チケットはソールドアウト。会場はほぼ満員の状態であまり隙間がない。期待値の高さが伺える。

 

開演の19時をだいぶ過ぎた頃、会場が暗転し歓声が上がる。バンドメンバーと共にリンジーが登場した。

 

"Instrumental Intro"からの"Heat Wave"でいきなりぶち上がる。とにかく歌声が素晴らしい。微かな儚さを忍ばせながらも、どこまでも届いて行きそうな伸びやかなボーカル。あっという間に彼女の世界に引き込まれた。そして若干19歳で堂々とした佇まい。すぐに彼女が天才だと悟った。

△ Heat Wave (MV)

 

そして、リンジーの歌声には不思議な作用があって、じっと聴いていると、自分でも忘れていた幼少期の原風景のようなものを記憶の奥底から呼び覚まされるような感覚に陥る。もちろん彼女はそれを意識してやっている訳はないし、持てるポテンシャルの高さをまざまざと見せつけられた気がした。

 

セットリストは『Lush』からほぼ全曲と2016年リリースの『Habit』から数曲。ここから始まっていくという強い意志を感じた。

 

ステージング自体はとてもシンプル。必要最低限の機材で必要最低限の照明。ドラムセットもエフェクターも飾り気はないし、VJも一切ない。演奏も特別に派手なことはやらない。ある意味ものすごく潔い。

 

サウンドはどこまでもローファイでありつつも、常に静かに熱狂を孕んでいるようで、それが時折爆発する時のリンジーの表情や歌声やギタープレイが愛おしくて仕方がなかった。音源だけではこの感覚は伝わらない。仄暗い中に光が差して浮かび上がる彼女の姿に神々しささえ覚えた。

 

途中、リンジーが「Lost my guitar pick…」と言って会場を和ませる場面も。年相応だと感じる部分は拙いMCだけで、演奏中はあまりにも貫禄があって隙がない。

 

名曲"Pristine"ではこの日いちばん力強いリンジーを観ることができた。寝かしつけていた熱狂を一気に噴出させるような力のこもったギターとボーカルが本当に素晴らしかった。

 

終盤、バンドメンバーがステージを去り、リンジーがたったひとりで真っ赤なジャガーを弾きながら"Anytime"を力強く歌う姿を観ていたら、よく分からないけど、なぜかすべてのことは大丈夫なんだなと思った。彼女の歌にはそれだけの力があるし、その度合いは誰も計れない。

 

Thank you for coming,

初めての東京でのライブに立ち会えて幸せでした。また日本で素敵なライブをしてください。

 

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(文:おすしたべいこ)