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/ / 新譜発売記念企画 / / 揺らぎ『Still Dreaming, Still Deafening』全曲セルフレビュー

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2018年8月8日、滋賀県出身のバンド・揺らぎが新作『Still Dreaming, Still Deafening』をリリースしました。初の全国流通盤です。おめでとうございます!!!

ということで、この度ご本人へのインタビューが実現しました。すごいね!!!

揺らぎと出前寿司Recordsの関わりは1年前の対談記事(旧サイト)から始まりました。

あれから1年、我々はサイトを一新し着実に記事を出し続け、揺らぎも活動を本格化しついに新作を出すに至りました。感慨深いです。

さて、SONIC MANIA直前の夕間暮れ、渋谷の某ファミレスに我々は集い、色々とざっくばらんに話してもらいました。当サイト独占の内容もかなりあります。本当にご協力ありがとうございます。最後まで是非!

 

話し手:みらこ(Miraco / Vo. G.)、かんちゃん(Kantaro Kometani / G.)

聞き手・進行:さこれた

聞き手・文:おすしたべいこ

 


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/ / 作品全体について / /

 

みらこ:一つの作品としてちゃんと聴けるアルバムにしようみたいなことは最初から言ってたな。

かんちゃん:曲、曲、曲じゃなくて、全部で一つみたいな…。Pink Floyd『The Dark Side of The Moon』、あれって全部繋がってるじゃないですか。ああいうコンセプトアルバムを目指した。

みらこ:日本人はみんな曲、曲、曲やもんな。そこは全体で一番意識したとこやな。

さこれた:それやろうと思った理由とかありますか?

かんちゃん:やりたいことがコンセプトアルバムじゃなくて、目的は(他のバンドと)差別化したかった。

みらこ:まず全員でスタジオ入る前に先に出来てたのが「Utopia」「Bedside」で、完全にそこからほぼスタート。そこからどういうアルバムを作ろうって話になって、残りの曲を作っていった。没になった曲いっぱいあるけどな、「ギャングスター」(仮タイトル)とか。笑

さこれた・たべいこ:笑

みらこ:大体ひどいもんな、仮タイトル。

かんちゃん:「なんかできた」とか、「長いやつ」とか。

みらこ:「日没自殺」とか。

さこれた:どれですかそれ。笑

みらこ:(揺らぎの)前身バンドから知ってる人は知ってるんですけど、「サンセットスーサイド」って曲があって、「Unreachable」はその曲のコードを改良して作ったんです。ぜんぜん曲調違うけど。それでタイトルが決まるまでは「日没自殺」って呼んでました。

かんちゃん:「人間椅子」感が強い。笑

みらこ:あとなんやろ…「ノリノリ」とか、昔のやつだと「ドリンクバー」とか「飲食禁止」とか。

たべいこ:ファミレスの影響受けすぎじゃない…?

 


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/ / 1. B/C ~ 2. Horizon / /

 

みらこ:まず「Horizon」ができて「B/C」ができた。そこからまた「Horizon」を補正して全体ができたって感じ。ベースの音は最初と最後は同じです。初めは日が昇ってない水面にゆらゆら浮かんでて、ドラムの音でパッカーン!みたいな。始まり感を出した。

さこれた:「Horizon」は最初から仮タイトルなしでそのまま…?

かんちゃん:「シガーロス」。

一同:笑

みらこ:なんか曲できた時に「これシガーロスやん…」みたいな。

かんちゃん:「コード変えたらシガーロスやん」って。

みらこ:「我らは北欧の地に…」みたいな。笑

かんちゃん:ちなみに「Horizon」の歪んでる所は、ジョン・フルシアンテ(ex. Red Hot Chili Peppers)と同じアンプとエフェクターを使ってます。

みらこ:提供はYAJICO GIRLの榎本さんです。ありがとうございます!笑

 


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/ / 3. Utopia / /

 

みらこ:これは結構前からできてて、展開も私が8割考えたし、最初からかなりイメージが決まってて。これは絶対復帰のアルバムで「再出発」みたいな感じで出したいって言うのでタイトルも「Utopia」ってずっと決めてて。これも仮タイトルなしかな。で、これはかんちゃんおらんくて、(当時の)サポートギターだったFaded old cityの加瀬くんがギターを決めてくれて。かんちゃんが(カナダの留学から)帰ってきてからちょっと手直ししたな。

かんちゃん:最初に僕がかせくんにコードを送って、フレーズとかを考えてもらった。

みらこ:だからあれはかんちゃんテイストというよりは…っていう感じやな。かせくんが思う揺らぎを作ってもらった感じ。最後まで結構まとまらずに悩んだよな。展開が多すぎて…。

かんちゃん:浮いてる曲じゃないですか。揺らぎじゃないって訳ではないですけど、作品のなかでは浮いてるかな~と。

さこれた:なんか(話してる)かんちゃん見てると笑っちゃうな…。

一同:爆笑

かんちゃん:あの作品の中では浮いてるから、みんな難航したのかなっていうのはある。

さこれた:浮いてるっていうか、そんなネガティブじゃないけどね。まあでも色は違うかな。

みらこ:あれがシューゲイザーを聴かない人の入り口になってくれればと。リード曲は今回ないんですけど、でもまあ、あれが入り口の曲。

たべいこ:いい意味でみんな聴ける曲だよな。

かんちゃん:こんなにあれだけ(再生回数が)いくとは思わなかった。

みらこ:思わなかったな。Spotifyでは一番多い。まあ、ある意味目論みは成功やな。入り口として。

かんちゃん:正直あんまりライブではやりたくないけどな。

みらこ:うん…。

さこれた:なんで?

みらこ:「Utopia」やる?みたいなテンションになる。聴いてる分にはいいんやけどなんかハッピーすぎる。

かんちゃん:どういうテンションで弾いていいか分からない。

さこれた:みんなそういうの苦手そうですもんね。笑

一同:笑

みらこ:そうなんですよ…。笑 ひねくれてるもんな、みんな。

 


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/ / 4. Bedside (album ver.) / /

 

みらこ:レンジ広くすることをめっちゃ意識しました。もっと広いところでやってるみたいな。

さこれた:前のどんなんだっけ。

みらこ:まず私の声がめっちゃ幼い。自分でもびっくりした。こんなに変わるんや~って。

さこれた:(前のを改めて聴きながら)そう言われると全然違うな。

みらこ:前のバージョンはエンジニアがまず違うんで。『nightlife e.p.』と今回は一緒で、Homecomingsもやってる方。

さこれた:なんだろ…今の方がエッチなんだよな。

かんちゃん・たべいこ:笑

みらこ:確かに色気はあるって言われたけど意識はしてなくて、自然と表現したいことの中に色気が加わった感じ。結果として出た。

さこれた:今のほうが"ベッドサイド"って感じがする。

みらこ:それは夜的な意味で…?

さこれた:なんかね…今のは自然の中にあるベッドのサイドって感じなの。前のは空間の中のベッドのサイドって感じ。まあイコール「レンジが広い」なんだけど。笑

一同:笑

さこれた:言い方悪くすると前のは狭い。部屋って感じがする。今の方が作品全体を考えると合ってるね。

たべいこ:アルバム全体にマッチするようにスケールが大きくなってる。

かんちゃん:あと、最初のハウリングはいろいろ試したな。

 


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/ / 5. Unreacheble / /

 

さこれた:さあ「日没自殺」ですよ。

かんちゃん:「Bedside」の終わりから続いてる感じだな。

みらこ:これはめちゃくちゃ明確なコンセプトと人物像があって。まず昔の曲のコードを使って曲を作るっていう作業をやってて。あれ結構できたのギリギリなんですよ。「Horizon」もそうだけど。できるまでずっと思ってたのが、上手いこと言えるか分からないけど…みんなにとって「絶対揺るぎない存在」の誰かがおって、みんなその人になりたがってるみたいな思いを曲にしようと思って。で、曲に出てくるその子はもう誰もが憧れる、他人に何を言われても気にしない存在。今の日本人には絶対必要そうな感じ。みんなそういうの気にするから…。で、じゃあその子は誰かなって想像をした時に、MVに出てくれたヒナコちゃんってお友達で、初めからその子がイメージにあったんです。もうパッて出てきて。絶対MVも出てもらおうと思ったし、最終的に「Horizon」と「Unreachable」のどっちをMVとして出そうか迷ったけど、やっぱり「Unreachable」かなって。

さこれた:…ちょっともう一回話して。笑

一同:笑

みらこ:説明するの難しいんですよね…。

たべいこ:誰もが自分の中に持っている揺るぎない憧れの存在みたいな…?

みらこ:で、みんなその子になりたがってるっていう。…歌詞!歌詞見たら分かる!

さこれた:橋本環奈?

一同:笑

みらこ:そんな天使じゃ駄目なんですよ、芯がガチっと通ってる子じゃないと。もうその子が歩いてるだけで空間が歪むくらいの。なんかこう、歩いた所に波紋ができるくらいの感じ。笑

さこれた:宗教の話ですか?

みらこ:わからへ~~~ん! なんて言えばいいんやろ…。

たべいこ:綾波レイ

みらこ:でもそんな感じかもしれない。笑

さこれた:(ここで歌詞カードを取り出す)この歌詞カードがバラバラなのもいいよね。

みらこ:それもめっちゃこだわった。かんちゃんがんばってくれたもんな。

さこれた:これかんちゃんが考えたの?

みらこ:(デザインの)やりとりとかやってくれた。(歌詞カードを指して)その、揺るぎない憧れの子を見てブルーな気持ちになってる第三者の視点なんですよこれは。

さこれた:第三者…!

みらこ:憧れの子が存在して行動しているところを見てるみたいな。で、その子が歩いてるみたいなイメージ。だからまず冒頭の"うねる~しずむ "は、歩いたらどうなるかってイメージなんです。ここが一番難しいなかんちゃん。

かんちゃん:僕も分からない…。

一同:笑

みらこ:分からなくていいんですよもう。まあ、これが歩いてる様子、というか。で、この最後のカッコが曲の解説というか、歌詞ではないけどちゃんと入れとって。で、"baby blue"って「優しい憂鬱」みたいな、なんとなく憂鬱みたいなぼんやりしたイメージで。いろんな訳があるんですけど、そこはもう好きな訳を当てはめてもらいたい。で、"あの子はすべてのあこがれさ "って。

さこれた:ゆえの「Unreachable(たどりつけない)」ってことね。

みらこ:で、この神は"佇んでいる 誰の気も知らないで "。他人のことは気にしない存在やから。

たべいこ:かっけえ曲だな!

みらこ:ほんまか!笑 ほんまにそう思ってんのか!笑

さこれた:このMVめちゃくちゃ好きなんだよな。

たべいこ:めちゃくちゃいい。

みらこ:あれは良かった。

さこれた:スーパーカーのジャケかと思ったもん。あの鏡のやつ。

一同:笑

みらこ:で、あれ海辺じゃないですか、MVもそうだし。"shallow"って浅瀬で。浅瀬に神みたいな存在が立ってるんですよ。

さこれた:「Only Shallow」(My Bloody Valentine)か。

たべいこ:スタタタって。

一同:笑

みらこ:わ~~~~~。笑

たべいこ:スタタタって歩いてる。笑

みらこ:で、この辺は歌詞っていうよりは詩。単語を並べて詩的な表現でいこうと思って。で、あの神様は私のそばに実は立っておられるのですねって。"you'll stand by my side"はそんな感じ。実はみんなあこがれてるけど、自分もなろうと思えばその存在になれることに気づいてほしいっていうメッセージでもある。…むずっ!

さこれた:でも言いたいことは分かってきた。

たべいこ:そうだね。

みらこ:で、この訳が最後の"(みんな~憂鬱)"。うわ~伝わるかな。

さこれた:…疲れてたりしたの?この時期。笑

一同:爆笑

さこれた:なんか宗教とか始めようとしてたの?笑

みらこ:仲がいい友達に「みらいちゃん自由だし人のこと全然気にしてなくていいね」って言われて。でも一番そういう人になりたいのは実は自分やからっていう背景があって、この曲が出てきた。

さこれた:これは確かに言語化できないな…。

みらこ:全然自分は憧れの存在だと思ってないし、それに一番なりたいのは自分だって気づいたから。

さこれた:でもそれはすごく分かる。

みらこ:みんなそう思ってると思ったからそれも問いたいし、多分みんなそうなれる可能性を秘めてると思うから。

さこれた:まあ隣の芝は青い、ですよね。

みらこ:どう? かんちゃん分かった?

たべいこ:(やっぱりお母さんか?)

かんちゃん:もう、分かんない…。

一同:笑

みらこ:…じゃあ、次は音楽的な話も。私はビッグマフしか踏んでない。

さこれた・たべいこ:へー…!

みらこ:多分この曲が一番轟音と透明感を同居させるっていうのを意識したかな。もっとギターえげつない音出したほうがいいって言い出したのゆうせいさん(Yusei Yoshida / Dr.)やな。もっとドカンといこうって。笑

一同:笑

みらこ:参考にしたのはNirvana「Breed」のイントロ(『Nevermind』収録)。全体としてはMystery Jets『Curve of the Earth』

みらこ:かんちゃんもなんか言ってや。

たべいこ:(お母さ略)

みらこ:いっぱいあるんちゃう?言うこと。

さこれた:オタクしていいんだよ。だっておれらこれから(ソニマニで)オタクして終わるじゃん。笑

一同:笑

かんちゃん:二人とも「Breed」みたいな音を出すよりは、僕は単音のクリーンな感じで弾いた。

みらこ:だいぶ長いことフレーズ考えてたよな。で、これアウトロのかんちゃんのギターがマジでかっこいい。もう脳汁出る!笑 ぐらい好き!

さこれた:イきそうになる…。

一同:笑

かんちゃん:本望だ…。

さこれた:でもほんとかっこいいんだよな。

かんちゃん:この頃っぽいフレーズは弾きたくないな~と思って。そういう音は避けて…。

さこれた:ニヤッニヤしながら言って…このバンドのギターちょっとめんどくさい人だな。笑

かんちゃん:爆笑

みらこ:でもかんちゃんはもう作ってるときは職人タイプで、ライブでは一気にヒーローになる感じ。

さこれた:かっけえ~! おれもなろっかな~!

たべいこ:なにその「なろっかな~」って。笑

さこれた:おれもそれになりてえ~、「Unreachable」だな。笑

たべいこ:うまいこと言うなよ…。

みらこ:これタイトル決めたのゆうちゃん(Yusuke Suzuki / Ba.)やな。タイトルは基本的にかんちゃんとゆうちゃんの合作で、「Unreachable」と「Path of the Moonlit Night」はゆうちゃん命名

かんちゃん:「Unreachable」はフルシアンテと曲名がまったく一緒なんです。

みらこ:ちょうど曲のコンセプトをメンバーにしゃべって、「タイトルどうする?」ってなって、じゃあそれに合うんじゃない?って。あの人ネーミングセンスあるよなマジで。

かんちゃん:散歩行って帰ってきたら…。笑

みらこ:そう、ミックスの最後段階でおぎのさんが「じゃあそろそろタイトルを…」って言ったら、「じゃあ散歩行ってくるわ~」って言って帰ってきたらもうできてた。笑

さこれた:フルシアンテ好きな人キモくていいな。

一同:笑

かんちゃん:あと、この曲はベースでコード弾きしてます。

たべいこ:この曲だけめっちゃしゃべってるな…。やっぱりこの曲が一番思い入れ強い?

かんちゃん:僕的にはこの曲が一番ちゃんと制作した感がある。どれかが手を抜いているとかじゃなくて、ちゃんと作ろうって。

みらこ:だいたいノリで出来るから…。

さこれた:なんか、物理を感じるよね。

たべいこ:物理?笑 もうちょっと具体的に言って!

さこれた:なんかね、なんだろ…物理を感じる。おれは。

たべいこ:ぼや~っとじゃなくて形があるみたいな…?

さこれた:そう、なんか、食物連鎖。おれ全然自分で何言ってるか分からない。

一同:笑

みらこ:食物連鎖…?ってなったよ。笑

さこれた:なんか感じるんだよな、物理と生命を…。

 


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/ / 6. Path of the Moonlit Night / /

 

さこ:じゃあ最後の曲行きますか。

みらこ:「Unreachable」から場所移動してる感じ。街中から自然に帰るイメージ。

かんちゃん:収まるところに収まる感じ。

さこれた:子宮ってこと?

みらこ・かんちゃん:近いかも。

たべいこ:いや、大名曲ですよ…。

みらこ・かんちゃん:笑

みらこ:おすし先生大絶賛。笑 ありがとうございます。笑 あれは一年位前からあった曲やな。もともと長さも短いしメロディも違って、サビもちょっと違った。もともと6分だったし。なんか、クソ長い曲作りたいなって。

かんちゃん:最初は16分だった。

さこれた:(聴きながら)子宮だな。

一同:笑

みらこ:タイトルは「月夜の小道」っていう意味なんですよ。

さこれた:落ち着くよね。

みらこ:これ、一回静かになるところでかんちゃんのギターが微妙にシャラシャラ鳴ってるんですよ。

かんちゃん:僕的にも一番思い位入れのある曲。聴き流してほしくない…。

みらこ:展開とかめちゃくちゃ考えたし。この展開作るので、かんちゃんもだけどゆうせいさんも大活躍してたな。

さこれた:(聴き終わって)シャラシャラしてた!

一同:笑

みらこ:その静かになる所で、急に地球からビューンって行って大気圏バーッって超えて宇宙に行って、宇宙空間って音聴こえへんから、真空状態にいきなり放り出されるみたいな。で、ドラムの「カッカッ」って音でまた現実世界に引き戻されるようなイメージ。

さこれた:このアルバムSFなんだよな。

みらこ:90年代とかのSFめっちゃ好きなんですよ。ちなみに最近観て良かった映画は『ホライズン』。B級で評価悪いけどめっちゃ良かった。ベタな昔のSFめっちゃ好き。

かんちゃん:この曲作ってた時、僕も2001年宇宙の旅をちょうど観てる時期だった。

みらこ:歌詞の話をすると、実は『nightlife e.p.』収録の「AO.」アンサーソングなんですよ。「AO.」に関しては別に歌詞の意味は深く考えてもらおうとは思ってなくて。でも「青」って顔料からできてるし神秘的なエピソードも多くて、「青」についてひたすら歌うっていう曲だった。で、一応「AO.」の中にも「あなたの答えを勝手に探してください」っていう変な回答は入ってるんですけど、一応それの回答みたいな。ちなみに仮タイトルは「モグワイ」でした。

みらこ:「青」っていう概念を表したかった。

かんちゃん:だから最初の曲の名前を"Because"(「B/C」)にした。

みらこ:なぜなら…って。

さこれた:なるほどね…。きもいな…。笑

一同:笑

さこれた:おれはこの世でループ系が一番好きだから。一回聴いた時「もう結婚しよう」って思った。笑

みらこ・かんちゃん:爆笑

さこれた:なんかね、良すぎると粗探しするよね。

みらこ:粗ありました?

さこれた:ねえんだよな。笑

たべいこ:一つもない。笑

さこれた:あったら今全然言うけど、本当にないんだよな。悔しい。「あーあ」つって。笑 おれらが欲しいものを全部詰められた感ある。

みらこ:レコーディングはかんちゃんとのボリューム奏法の共同作業が大変でした。

さこれた:クソキモじゃん…密室でどんなえっちなことしてんのかな〜と思ったら、ボリュームをグイ〜ってやってる。笑

一同:笑

かんちゃん:やっぱりちゃんと聴いてほしい。集中して、聴き流してほしくない。

みらこ:なんか、月に向かって小旅行してるけど、いきなり地球に戻されるSFだと思って、ちゃんと聴いてほしい。まあ、時間ある人だけでいいけど。笑

一同:笑

かんちゃん:歩きながらとか、行動を伴う音楽じゃなくて、12分間、一対一で聴いてほしい。

みらこ:あの静かになる部分は静かな所で集中して聴かないと聴こえないようになってるし。

さこれた:鑑賞物だよね、これは。

かんちゃん:削って削ってこの長さ。

さこれた:まあおれらとしては30分とかでも普通に良かったけど。

みらこ:かんちゃん:笑

かんちゃん:ライブではできる。

 

 

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/ / 質問コーナー / /

 

Twitterで募集した質問からいくつかピックアップして答えていただきました。送ってくださったみなさんありがとうございます!

 

Q. 同世代で意識してるバンドは?

みらこ:皆無。意識する必要もないくらい自分の世界ができてるから…。リスナーとしていいなって思う音楽はいっぱいあるけど。

 

Q. 滋賀と東京を行き来する中で「郊外」と「都市」の齟齬はあるか?

みらこ:ないです。作品にも反映されてない。揺らぎは「自然っぽい」みたいなことをよく言われるけど、私は"みんなが見たい幻の風景"を作り出したいからそういうことはあまり考えてない。他のメンバーはどうか分からないけど私はそう。それを作り出すのがボーカルの仕事です。

 

Q. 揺らぎの音楽はマス(大衆)にも届くか?

みらこ:これだけ音楽ジャンルが多種多様になっている中で、じゃあ大衆とは何かって思うし、自分らだけの問題じゃない。でも、日本と世界の両方に行きたいな。どう?かんちゃん。大衆行ける?

かんちゃん:無理やな。

みらこ:うん、今の日本じゃ無理。でも世界ならある意味マスに出られるとは思う。まあ何が起こるかわからないし、無理とは決め付けられないけど。でもまず大衆には聴いてほしいとは思ってない。感覚が違う。

 

Q. シューゲイザーはやりつくした?

みらこ:最初からシューゲイザーをやってるとは思ってないです。

 

Q. 音源のアナログ化は?
みらこ:ダワパパ(FLAKE RECORDS)におねだりやな。

 

Q. 今のインディーズシーンにおける自分たちの立ち位置は?

みらこ:知らない。なんも考えてへん。うちらは「Unreachable」だから。

さこれた:キーワードですね。

 

Q. 今作のフェイバリットは?

かんちゃん:「Path of the Moonlit Night」

みらこ:ボーカル目線だと「Unreachable」

 

※その他、2人が書けないことばかり言うのでごっそり省略しました。

 

 

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/ / 終わりに / /

 

さこれた:おれらさ、発売前に音源もらったじゃん。おれの感想だけど、ずっと自分で聴いてて「これ絶対Twitterで盛り上がるだろうな」って思って、その通りになったじゃん。で、ここ最近聴いてめっちゃ思うのは、『シューゲイザー・ディスク・ガイド』の帯のジャケットの中にいても違和感無いんだよね。

一同:笑

シューゲイザー・ディスク・ガイド (SPACE SHOWER BOOKs)

シューゲイザー・ディスク・ガイド (SPACE SHOWER BOOKs)

 

さこれた:ジャケットもめちゃくちゃいいのさ。触った時の質感も良かったし。

みらこ:紙ジャケには絶対にしてほしいって指定はした。

さこれた:名盤集みたいなの作ったら絶対いるんだよな。10年前にリリースしてる感。音じゃないところもすごく好きだなと思った。

たべいこ:全部に貫禄があるよね。全然インディーズバンドって感じはしないし。

かんちゃん:嬉しいですね…。

さこれた:しかも年下だよ?

みらこ:さっきも(都内CDショップへの挨拶回りで)思ってたより若かったって言われた。笑 22歳なんだ~って。

さこれた:海外で揺らぎ観たい。

みらこ:行きたいな~。

たべいこ:別格だし全然行けるんだよな…。

 

※その他、2人が書けないことばかり言うのでごっそり省略しました(2回目)。

 

 

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このあと、ソニマニに行くのを渋っていたかんちゃんをみんなで説得し、チケットを半ば強引に買わせ、ベースのゆうちゃんが合流。なぜか私は揺らぎメンバー3人を引き連れて海浜幕張へと向かうことになりました。

 

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(我ながらいい写真だ)

 

さて、いかがだったでしょうか。なかなか濃い内容なので楽しんでいただけたと思います。

 

便宜上「シューゲイザー」というジャンルの中で語るとしたら、揺らぎは日本の現行のシューゲイザーバンドの中では別格の存在だと思ってます。そして別格だと感じるのは、やはりシューゲイザーというカテゴリーの中では語りきれない魅力に溢れてるからだと信じてます。

揺らぎ、いいです。

 

今回の記事で気になった方は、是非CDを手に取ってみてください。ジャケットや歌詞カードなど細部までこだわったデザインを見てほしいです。

とりあえず聴いてみようという方は、サブスクリプションもあります。

 

ライブも勢力的に行なってます! 最新情報などはTwitterで。

 

※ちなみに3人の写真ばかりですが揺らぎは4人組バンドですよ!(この日ドラムのゆうせいさんはお仕事でした。お疲れ様です。)

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(文:おすしたべいこ)