渋谷を轟音で塗りつぶした夜 - 17歳とベルリンの壁 × 揺らぎ
2018年9月1日、渋谷club乙-kinoto-。オツじゃなくてキノトです。この場所に、シューゲイザーの未来を担うバンドが集結しました。
The Waterfalls (Opening Act)
揺らぎ
17歳とベルリンの壁
8月8日にそれぞれ新作をリリースした17歳とベルリンの壁と揺らぎのツーマン「Seventeen Front vol.3」でした。これが最高じゃない訳がないだろ!!!ということで、鼓膜チャレンジな一夜の様子を振り返りたいと思います。
※かなり個人的な目線と主観での文章であることをどうかご容赦ください。ライブ後に帰宅してバーッと書きました。写真も全くありません。すみません。
✱ ✱ ✱
▷ The Waterfalls
まずはオープニングアクトであるThe Waterfalls。ギターとベースがレフティでなかなか珍しい。そしてセキグチコウスケさん(G. Vo.)はThe CureのTシャツを着ておられる…。その時点で信用度がグンと上がりました。
ライブは初見でしたが、"和製Ride"とでも言うような疾走感+シューゲイザーなサウンドがグッドでした。文字通り「Ride」という曲もあったり。最高か…??? 音の洪水やで。海外のインディーバンドって言われても違和感ないです。これからさらなる活動に期待できますね。 スーパーカーやThe Pains of Being Pure at Heartあたりが好きな方も是非! いいバンドです。
セットリスト
1. A long long sleep
2. Somewhere
3. Ride
4. (曲名未定)
5. Fall
6. Youthlight
「Somewhere」MV
✱ ✱ ✱
▷ 揺らぎ
知っての通り私は揺らぎの大ファンです。なのでレコ発ということもありめちゃくちゃ楽しみにしてたのですが、まあ普通にその期待を超えてきましたね…。クッソ音デカかったな。(耳栓の配布ありました。)
持ち曲全部演りました。ありがとうございます。「sleeptight」から始まるのやばいって。しかも、あのZAZEN BOYSの「KIMOCHI」のカバーも飛び出しました。ありがとうございます。本当に。やばいって。
みらこさん(Vo. G.)はバンドの他にコーラスの仕事もしていて、その透明感のある歌声に定評があるのですが、今回の「KIMOCHI」のカバーでそれがより伝わったというか。シンガーとしてのポテンシャルの高さを改めて感じました。揺らぎの曲で歌う際の轟音からほのかに浮かび上がるようなウィスパーボイスは相変わらず最高でしたね…。女神です。
途中シールドが死んでギターの音が出なくなるトラブルがありつつも、そんな些細なことは轟音で全てかき消されました。みらこの地響きのようなギター、ゆうせいさん(Dr.)のタイトで激しいドラム、ゆうちゃん(B.)のズンズンくるベース、かんちゃん(G.)のエロいギター。デザインされたサウンドとプログレッシブな曲たち。揺らぎはポスト・シガーロス、あるいはポスト・マイブラです。
※ちなみに、これはメンバーから聞いた話ですが、元々はYuckをカバーしようとしていたみたいです。どこかの機会で披露してくれたら嬉しいな…。
※揺らぎの新作に関しては、先日インタビューを行なったので近日中に別途記事を公開します。お楽しみに。
セットリスト
1. sleeptight
2. Bedside
3. Soon
4. night is young
5. Utopia
6. KIMOCHI (ZAZEN BOYS cover)
7. Unreachable
8. AO.
9. Path of the Moonlit Night
10. B/C
11. Horizon
「Unreachable」MV
✱ ✱ ✱
▷ 17歳とベルリンの壁
本日の主催にしてトリ。やはりベルリンは強かった…。
まずたくじさん(G.)のエフェクターボードのデカさよ。なんかビカビカ光ってるし、要塞みたいでした。17歳とエフェクターボードの壁やん。聞くところによると見る度にエフェクターが増えてるらしいですが、本当ですか?
それはともかく、ベルリンの良さってやっぱりポップな所なんです。サウンドは心地いい轟音(音源よりも音圧強め)で良質なシューゲイザーなんですけど、そこに同居するメロディのポップさとのバランスが本当に素晴らしいんですよね。
そして、先日MVが公開された「表明式」では、実際にコーラスとして参加していたみらこが登場! ベルリン+みらこというなんとも贅沢な光景。
さらに、揺らぎに続いてこちらもカバーを披露。なんと、くるりの「ワンダーフォーゲル」でした…。これはずるすぎる。
個人的なハイライトは本編ラストの「プリズム」でした。最高にかっこいい。
会場である渋谷club乙は秋に移転のため閉店するらしいのですが、今年で17周年で偶然にもバンド名の「17」と一致する…なんてこともありつつ。さらにつるたさん(Vo. G.)曰く、既に新曲に取り掛かっているとのこと。この先も彼らから目が離せません。
セットリスト
1. 展望
2. スパイラル
3. 話す卵
4. 表明式 (w/みらこ)
5. 反響室
6. 光景
8. 千日
9. 繁華街へ
10. 終日
11. 複製品たち
12. 地上の花
13. プリズム
en. ハッピーエンド
「表明式」MV
✱ ✱ ✱
〜終演後と打ち上げ〜
終演後、本日限定のカクテル"かしゆかの涙"を飲んでいたら、みらこが笑顔で脇汗を見せてきました。
※私が初めて揺らぎのライブを観た際、終演後にみらこが脇にできた汗染みを見せてきたのですが、その次のライブでなぜか私のチケットが「汗染み」で取り置きされていた…というエピソードがあるんです。なんの説明ですか?
そんなこんなで揺らぎメンバーと喋っていたらいつの間にか打ち上げに参加してました。今冷静に振り返るとあの場所に自分がいたの超やばいな…。みんなで乾杯しました。
ベルリンのたかのさん(B. Vo.)と少し話せたし、私のことを知っててくれました。ありがたい。あなたのこと、マイブラの単独で見てました。(つるたさんとは話せませんでしたが、私はPerfumeのTシャツを着て最前で観てましたよ!!!)
The Waterfallsの二人にも帰り際にご挨拶させていただきました。またどこかで。
総じて、いい夜でした。本当に。
✱ ✱ ✱
冒頭で私は「シューゲイザーの未来を担うバンド」と書きましたが、The Waterfallsも揺らぎも17歳とベルリンの壁も、シューゲイザーというカテゴリー/範疇だけでは語りきれないと思うんです。
The Waterfallsは既に質のいいインディーロックバンドとしてしっかりリスナーに届いてるし、これからいくらでも化ける気がします。
揺らぎは影響源が多岐に渡るバンドだったりする訳で。それが国内の現行のシューゲイザーバンドとは一線を画すオリジナリティに繋がってるし、結果世界にも届く音になってるんです。
17歳とベルリンの壁は先に触れたようにポップネスを大事にしているように感じるし、それはシューゲイザーが特別好きではない人にも波及するポテンシャルをちゃんと持ってるってことになるんです。
「シューゲイザーは死んだジャンル」と言われる時代はとっくに終わりました。シューゲイザーに様々なエッセンス/要素が付随され、新しい遺伝子たちがウヨウヨ生まれてます。マイブラも来日しましたからね。
今回の三組のライブを目撃できたことを誇りに思います。みなさん本当にありがとうございました。またそのうちお会いしましょう。
(文:おすしたべいこ)