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サマソニ大阪2日間のライブレポート

 

サマーソニック 2018 大阪

 

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 今回で19回目。自分としては2回目。その時は2016年の大阪初日のみの参加だった。(レディオヘッドとナッシングバットシーバスを目当てに観に行った)

 そんなサマーソニックに、今回は初めて2日間、両日参加してきた。前回の反省を踏まえ、移動時間や食事を十分に考慮して事前の十分な計画と予習を行ってきた。振り返ってみると、自分の計画を100%完璧に実行することができ、非常に充実した2日間を過ごすことができた。

 自分が観てきたアーティストはこれだ。

Day1: Knox Fortune, Rex Orange County, Tom Misch, ONE OK ROCK, Chance The Rapper, Paramore

Day2: The Sherlocks, Pale Waves, Marmozets, Kelela, Marshmello(40分ほど),

Friendly Fires, Tame Impala

 

 前編と後編に分けた記事にしようかとも思ったが、感動をよく覚えているうちに全部書こうと思う。というわけで、駆け足で詰め込んでしかも長くなってしまうがそれぞれの感想を書いていく。

 

 

Day1

 

Knox Fortune

 「ロックンロールは好きですか~?」というドラムの日本語での挨拶にてスタート。Apple Musicで何度も聞いてきた段階で十分ロックを感じるバンドではあったが、演奏もテンション高めで。曲によってはベーシストがギターを弾いたり、パーカッションとかキーボードとかギターを同時に演奏していて、テクニックも素晴らしかった。アルバム「Paradise」の曲をだいたいやってくれて、いきなり満足できた。(僕は好きな曲のサビではシンガロングしてたけど、あまり周りはそうなってなかったのが残念)

 

Rex Orange County

 Day1 の目当てその1。インディゴラエンドが丁度終わったタイミングで入っていったら、なんとド真ん中の最前列に行くことができて、最高だった。Knox Fortune と比べると曲芸みたいなライブではなく、基本は3ピース構成("Untitled"(彼の曲)とかでは一人だけ残って弾き語りもあった)で、聞き入るような演奏だった。"Television/ so Far so Good" は早めにやってくれたが、キラーチューンぶりが既にあった。素晴らしいライブではあったが、彼の私服とライブ中の垂れ幕がとにかくダサかった。そこが若きUKのスターらしさかもしれない。

 

Tom Misch

 Day1の目当てその2。引き続きド真ん中最前列で観てきた。投票があったらベストアクトでもおかしくなかった。ギター、キレッキレ。"It Runs Through Me"、"South of the River" 、"You're on my mind" がとにかく良かった。"Movie"では彼の家族(姉なのか妹なのかは聞き取り損ねた)に冒頭の語りをさせて一気に引き込んで、別の世界に連れて行ってくれるようだった。最後に観客を背に写真を撮った。あとで見ると後ろまでパンパンに人がいた。これほどのアーティストの初来日を最前列で観れたんだと思うと感激だった。(Twitterに写真が載ってるが、がっつり僕も最前列のど真ん中で写ってた。嬉しかった。)

 

ONE OK ROCK

 フェスでやるのは珍しいからとりあえず観てみた。けど、はっきり言って全然良さがわからなかった。申し訳ないけど。観客は後ろまですごい集まってたけど。で、終わったらみんな帰っちゃって空っぽ。「なんでTom Mischから続けてJorja Smithを最前列で観なかったのか。ものすごい良かったらしいのに」とすごく自分を責めた(この記事を書いている今もとても後悔している)。

 

Chance The Rapper

 問題のやつ。ガラガラだったらしい。結構前で観てたから全然そうなってると知らなかったけど(前のほうはすごい盛り上がり様だったし)。僕はとりあえずアルバム「Coloring Book」をしっかり予習してきたので、全力でシンガロングしてクタクタになるまでノッてきた。やっぱ最高だったのは"Same Drag"。「見て。夕日。」って。夕暮れと彼の歌声の美しさが合わさる奇跡を目撃できた。予習をしたとはいえ、本来ヒップホップを全く知らない自分がここまで感動できるとは思ってなかった。Day1のベストアクトだった。そりゃグラミー獲るよね。マジでこれで「もう日本はイヤ」とならないことを切に祈る。

 

Paramore

 ハイボールを片手にアリーナ上段から観戦。やってほしかった"That's What You Get"、"Ignorance"、"Misery Buisiness" を聞けた。でも、あのころ(僕が中三で彼らのアルバム「Brand New Eyes」が大ヒットしていたころ)のエモエモなころとは変わって、ダンスロックになってたのは良くも悪くも時の流れを感じた。それでもソニックステージのトリに相応しい踊れる音楽をしてくれたし、他のアーティスト見た後とかの人がどんどん集まってきて、最後は下のフロアがほぼ満員だった。"Misery Buisiness"の途中でヘイリーが観客をステージに上げて代わりに歌わせて自分はステージを降りて歩いたり、盛り上がりもすごかった(そしてその観客の歌が本家顔負けレベルでうまい)。まだまだ彼らは健在であることが分かって嬉しかった。

 

 

Day2

 

The Sherlocks

 Day2の目当てその1からスタート。僕はエンジン全開で聴いた。ずっと腕を突き上げて、ほぼサビの度に飛び跳ねてシンガロング。わかる人だけわかると思うけど、彼らが新曲をやったあと「nice one!」ってファンが叫んで、ボーカルと「Uh?(聞き取れなかったらしい)Nice one? (笑う)I will play the next song for you.」って話してた人が僕の真横だった(羨ましい)。どう考えても僕とその人だけ周りよりテンションの高さがレベルが違った。"Live For The Moment"でボーカルが「歌ってくれ」って感じで煽ってきたときも僕とその人だけめっちゃ声がデカかったし。最後はやっぱり"Chasing Shadows"。オアシスみたいに歌って、アクモンみたいにストレートにロックするゴールデンルーキーだった。

 

Pale Waves

 Day2の目当てその2。正直音源を聞く限りでは僕はThe 1975より気に入ってて、何度も聞いてすごく楽しみにしてた。「かわいい」っていうのは彼らはあまり言ってほしくないことなのかもしれないけど、ライブで見ると「かわいい」と思わざるを得なかった。ボーカルはノリノリ。ギターの音がキラキラ。いかにもマンチェスター出身って感じ。特によかったのは "Television Romance"、"My Obsession"、"The Tide"。

 なお、8/20(サマソニ大阪Day2の翌日)は渋谷でインストアライブをしたそうな。都民、ぜったいにゆるさない。

 

Marmozets

 スタンドからゆっくり観戦。東京では体調不良でキャンセルだったと聞いたが、一体それは何だったのかと思うようなライブだった。先に書いたParamoreがエモエモだったころ(そのころにサマソニにも来ている)が、それを彷彿とさせるような力強い激しいライブだった。下で観てたら観客の熱量とモッシュでやられてた。スタンドでよかった。

 以前僕の記事でParamoreとMarmozetsのどちらが素晴らしいライブをしてくれるのかという記事を書かせてもらった。

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 はっきり言って、Marmozetsの勝ちだ。やはりエモさはないとダメ。(僕のここ1年くらい好きなジャンルがエモだからということもあるだろうけど)

 

Kelela

 あまりしっかりとは予習してなかった(アルバムを2周した程度)。始まる前はガラガラ(みんな疲れてるのか座ったり寝転んだりしてた)だったが、いざ始まるとゾロゾロと前に人が集まってきて、皆でゆったりとビートに乗って彼女に酔った。終始眩い光の中で、妖艶に揺れて歌う彼女は美しかった。チャンスザラッパーの後に見た、まさに太陽が闇に消える寸前の空と同じくらいに。感動したのは彼女も同じだったようで、最後は涙ながらに歌ってた。これからの活躍にますますの期待がかかる。

 

Marshmello

 時間があったので彼のスタートから40分くらいまでを観た。やってほしかった"Alone"を観れたことが何より。ジャーニーの「ドントストップビリービング」、ケンドリックラマーの「ハンブル」、ボンジョビの「リビングオンアプレイヤー」といった名曲を彼流のリミックスで聴かせてくれた。正直、海外でフェスやるなら絶対ヘッドライナーを務めるべきだろうと思ってしまうほど楽しく盛り上がれるライブだった。

 

Friendly Fires

 Day2の3週間くらい前に「あれ?これすごくね?」と思って急遽観ることにして、アルバム「Pala」を予習してきた。客観的に見たらベストアクトだったんじゃないかな。最初から最後までずっと踊りっぱなし。"Hurting"、"true love"はライブで観ると格別だった。これもかなり前で観た(2列目くらいかな)。最後はボーカルが観客席に入ってきてみんなで踊った。あんなに楽しいライブは今まで体感したことがなかった。

 ちなみに僕の真横にすごくかわいいブロンドの女の子がいたんだけど、ドリームワイフのボーカルだった。一緒に踊れた。すごいことを体験した。

 

Tame Impala

 Dayの目当てその3。大本命。なんで僕が大阪2日間にしたかといえば、いろいろ聞いて大トリをTame Impalaにしたかったから。最前列のど真ん中にまた入れた

 垂れ幕に緑色の明かりがぼんやりと光っていて、蛍の光のように動いてる。少しずつ動きは速くなって、残像の光がどんどん重なって万華鏡みたいになって・・・"Nangs"で入ってきてライブスタート。

 いきなり"Let it Happen"と紙吹雪。俺の周りはすごかった。すぐ横で背が低くてCurrentsのTシャツを着たかわいい女の子がセクシーに超超うれしそうに踊るし、真後ろじゃ外国人が人を持ち上げてるし(出演バンドの人だったみたい)。キラーチューンがずっと続く。"The Moment"、"Mind Mischief"、"Elephant"、"Less I know the better"。何度も紙吹雪が噴き荒れる。世界最高のダンスフロアがそこにはあったと思う。

 そして"Apocalypse Dreams"。普通にやってくれるだけでもすごかったけど、「終わった・・・。」と思った後がすごかった。爆音でブレイクしてリプライズ。涙腺が崩壊した。ほんとに。間違いなくここ10年で出てきたロックバンドの中で彼らが世界一だ。

 "Feels Like We Only Go Backwards"。声がもう出なくなってもいいくらい歌った。人を持ち上げてた真後ろにいた外国人と一緒に向かい合ってサビを歌った。

 大・大・大優勝。

 

 

 各アーティストの感想はこれでおしまい。

 最後に僕が今回のサマソニが終わった直後に思ったことを書こう。

 

 「ケミカルブラザーズの2ndアルバムのライナーノーツに『強いビートは世界を変えると頑なに信じてきた彼らにとって・・・』って書いてあったけど、それは間違いないことを今年のサマソニで思い知った。」

 

 そう。僕が観たどのアーティストにも強いビート、重いグルーブがあった。それぞれのアーティストを目の前にしていたのは、パリピ陰キャも洋楽厨も爺も婆も酔っ払いも外人も、皆だった。そして誰もが熱狂していた。それぞれのリズムの取り方と感じ方で。

 

 一番多くの人にしかも深く刺さるのは、切り裂くようなギターでも共感できる歌詞でもドラマチックな曲展開でもない。ビートだ。単純に強く一体となって迫るビートだ。そのビートの前ではどんな人も無力で、ただ踊らされてしまう。

 

 それを体感できた今、ここ数年オルタナばかり聞いてきた自分の耳はこのサマソニを機に変わっていくと思う。

 

 

(文:ジュン)