おすしたべいこのMBV散歩 vol.6 (8/17 SONIC MANIA編)
2018年8月17日
25:30
怖い
My Bloody Valentineのライブが怖い
15日に単独公演を観て爆音にぶん殴られて以来マイブラしか聴けなくなってしまった自分が、またマイブラを観ようとしている
しかも人をかき分けて割とステージ近くまで来てしまった
お金を払ってわざわざ疲れに来ている
怖い
自分の右にはフォロワーのさこれたといぬのけつ、左には会社の同期がいる
少し離れた所に揺らぎの3人もいる
バグってるみたいな空間だ
すでに災害レベルである
25:45
右ポケットに持参した耳栓をしのばせた
単独よりも大きい音なんだろうか
怖い
なぜライブを観るのにこんなに怖がる必要があるのか
少しすると会場が暗転
4人が登場した
各々定位置につく
めちゃくちゃ怖い
ドラムのカウントが始まる
首をすぼめて耳をふさいだ
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1発目のI Only Saidから大音量で思わず笑う
でも耳栓は今回も要らないレベルだった
単独を観て少し耐性がついたのかもしれない
轟音が心地良い
New Youで歌うビリンダの姿が美しすぎる
ドレスとギターがキラキラ光っていた
セットリストは単独公演のものから数曲削っただけで順番は同じ
一曲だけやった新曲("New Song 1")は改めて暴力みたいな曲だと思った
全曲いい
本当にいい
単独の時の苦しさが今回はない
とにかくノれるし踊れる
自分の前にいる人はあたかも激しいギターを弾いているかのような動きをずっとしていた
ドラムの音が相変わらずデカい
バスドラムで内臓をえぐられるようだ
情け容赦がなさすぎる
豪雨の中で殺されるような、あるいは爆撃機が落ちてくるような、全くもって穏やかじゃないライブなのに、不思議と自分を優しく包み込むような感覚に陥る
同居するはずのないものが絶妙なバランスで自分に襲いかかる
ケヴィンもビリンダも本当に下を見ながらギターを弾いている
本人たちはシューゲイザーという呼称が好きではないかもしれないが、これをシューゲイザーと呼ばずして何と呼ぶのだろう
デビーとコルムの激しいリズム隊の上を2人のギターがたゆたう
To Here Knows Whenの子守唄感は異常
曲の途中で目をつぶり音に身を任せてみる
多分子宮の中にいる赤ちゃんはずっとこんな音に包まれているんだろうなと思ったりした
ライブ会場で胎内回帰できてしまう
どんなバンドだよ
やはりSoonは最高だった
イントロでドーパミンが溢れ出す
良すぎて言葉が出ない
自分にとっての世界最高峰のダンスミュージックがそこには存在した
葬式で流して欲しい
Feed Me With Your Kissが始まることで次がラストであることを悟る
激しい爆撃のような曲なのにケヴィンもビリンダも涼し気な顔
デビーはいつも通りアグレッシブ
コルムはもう早く帰りたいと思ってそうだ
最後はYou Made Me Realise
イントロがバカみたいにかっこいい
ノイズパートは単独の時とだいたい同じ長さだったが相変わらず長すぎて不安すら覚える
とにかくうるさい
静かにするということを知らないのだろうか
ライブは大歓声の中終了
アルコールはとっくに分解されていた
どっと疲れが押し寄せる
俯きながら拍手を送った
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27:15
夏が終わったと思った
終わってしまった
ソニマニ自体はまだ続いているがもう何も聴く気が起きない
マイブラ以外何も聴けない状態が無期限に延長されてしまったような気がした
おそらく少なくともこの土日はバカの一つ覚えみたいにSoonを聴き狂うだろう
iPhoneのカメラロールに収まった写真や動画を見返す
こうして自分のものにしたってあのライブはその場にいないと全く意味がない
よく分からない虚無感に包まれた
My Bloody Valentineのライブを2回も観てしまう夏だった
結局あれは現実だったのだろうか
週一で観ても多分現実感はない
マイブラは宗教だし、ケヴィンは教祖だ
こんなことは本来気安く言うべきではないがこれは本当だから仕方ない
もうとっくに自分が手遅れな状態であることを悟るばかりだ
間違いなく自分の人生を変えたバンドだと思った
マイブラに出会ってなければTwitterもやってないし東京にもいなかったと思う
次はいつ日本に来てくれるのだろうか
その日を願って、今日も轟音に身を任せようと思う
My Bloody Valentineこそはすべてです
ありがとう、またいつか
(文:おすしたべいこ)