出前寿司Records

よりどりみどりの音楽カルチャーサイト

MASS OF THE FERMENTING DREGSの新たな季節

f:id:delivery-sushi-records:20180627024027j:image

 

2018年6月24日、私は下北沢SHELTERMASS OF THE FERMENTING DREGS (通称マスドレ)のライブを観ました。

 

結論から言って、最高のライブでした。

 

今年上京して、それなりに色々なライブを観てきましたが、個人的には間違いなく2018年上半期のベストライブだったと思います。

 

今回は、そのライブレポに加え、8年ぶり(!)の新作アルバムの最速(?)レビューをお届けしようと思います。

 

✱  ✱  ✱

 

▷そもそもマスドレとは?

 

2008年の1stMASS OF THE FERMENTING DREGSでデビューした日本のオルタナティヴロックバンド。

メンバーチェンジや脱退を経ながら2009年『ワールドイズユアーズ』、2010年『ゼロコンマ、色とりどりの世界』とアルバムをリリースし活動するも2012年に活動停止。一度はボーカルの宮本さんのソロ活動のみになりましたが、2015年に再始動。

そして2018年、ギターに小倉直也、ドラムに吉野功を迎えた新体制で満を持して8年ぶりの4th『No New World』を7月4日にリリース、といった具合です。

 

f:id:delivery-sushi-records:20180627032806j:image

△ 現メンバー (左から g.vo.小倉直也、vo.g.宮本菜津子、dr.吉野功)

 

f:id:delivery-sushi-records:20180627031633j:image

△『No New World』ジャケット

 

サウンドはオルタナど真ん中のギターと躍動感のあるリズム隊、そして宮本さんの伸びやかなボーカルが特徴。ものすごくかっこいいんですけど、音源の少なさや活動休止期間もあってかイマイチ知名度が低く、過小評価されているような気がしてなりません。

 

✱  ✱  ✱

 

そんなマスドレを私が知ったのは、高校生当時(2010年頃)に中古の『ワールドイズユアーズ』をジャケ買いしたのがきっかけでした。

f:id:delivery-sushi-records:20180627024451j:image

このジャケットに惹かれて「おそらくバンドだろうな」ぐらいに思って買って聴いてみると、これがめちゃくちゃかっこいい。破壊衝動を秘めたサウンドがたまらず、好きにならない訳がなかった。それからはひたすら『ワールドイズユアーズ』を聴き狂う毎日でした。

 

そんなマスドレのライブを、生で観るということ。彼らのアルバムが8年ぶりであるように、私もおよそ8年越しに夢が叶うような気持ちで、観る前から期待値はMAXでした。そして、それは全く裏切られることはなかったのです。

 

…さて、前置きと自分語りはこれくらいにして、まずはライブレポと行きましょう。かなり個人的な主観も入ってますが、自分の感情を除くことはもはや不可能なので許してください。

 

✱  ✱  ✱

 

ライブはほぼ時間通りにスタート。激しいセッションのようなSEの中、3人が登場。私はやや下手側の最前列にいました。ついに本物が目の前に現れた…。会場が拍手に包まれる。

 

まず披露されたのは「まで。」。目と鼻の先にマスドレがいて、ライブをしている…。現実なのかよく分からない、あまりにも実感がなかった。

 

続いて「かくいうもの」。かっこよすぎる。3人の演奏はとてもパワフルで、ものすごくタフで、こちらに迫ってくる。

 

次がやばかった。「She is inside, He is Outside」のイントロが鳴った瞬間に歓声が上がり、フロアが暴れだす。

私はステージ前の柵に圧迫されながら汗でずり落ちる眼鏡をかけ直しながらステージにひたすら釘付けになっていました。半端じゃない…。

 

それから新作アルバムに収録されている新曲「だったらいいのにな」「YAH YAH YAH」「Sugar」を立て続けに披露。どの曲もこれまでのマスドレとはまた違った良さがあった。

それから「青い、濃い、橙色の日」「さんざめく」「エンドロール」と畳み掛け、会場は熱気に包まれるばかりでした。

 

ここからはドラマーの吉野さんの"サービスタイム"に突入(=連続で演奏すると体力的にキツいセットリスト)。「渾身のエイトビートをお聴きください(宮本さん)」という言葉から始まった「delusionalism」を皮切りに「ひきずるビート」「ゼロコンマ、色とりどりの世界」と鉄板曲が並び、私は最前列でもみくちゃにされながら目頭が熱くなるのを感じていました。

 

それから「ONEDAY」「skabetty」と続き、その後は新曲New Order」「Hu Hu Hu」を披露。今までの曲も新曲も、本当にかっこいい。アルバムが出なかった8年間を埋めるように熱のこもったパフォーマンスが続く。

 

そして去年発表された「スローモーションリプレイ」、続いてこちらも新曲であるあさひなぐを披露。最後は「ワールド イズ ユアーズ」からの「ベアーズ」でフロアが熱狂の渦と化した。

 

「ベアーズ」序盤ではライブ前に観客経由で用意したカスタネットを放り投げるパフォーマンスもあったりしました。

f:id:delivery-sushi-records:20180628024501j:image

f:id:delivery-sushi-records:20180628024525j:image

f:id:delivery-sushi-records:20180628024603j:image

△ 3コマ漫画

 

あっという間にライブは終了。私は去り際に吉野さんが放り投げたドラムスティックをまさかの運よくゲット。しばらく腑抜け状態になってました。 

 

アンコールを求める熱い拍手の中再び現れた3人。「じゃあ1曲だけ(宮本さん)」と披露されたのは「ハイライト」。もう本当に最高でした。

 

✱  ✱  ✱

 

終演後、ステージ上でメンバーの手渡しによる新作アルバムの先行発売が行なわれました。

その準備をする際、吉野さんがステージに置かれたセットリストのメモを拾い上げ、偶然目が合った私に「あげる~」と言って渡してくれました。あの瞬間、あまりにも突然で全く言葉が出ず、めちゃくちゃ強張った笑顔で会釈することしか出来ませんでした。ドラムスティックに加えてセットリストまで手に入れてしまい、本当に自分でいいのかと思いつつも、圧倒的な多幸感が自分を包んでいくのが分かりました。

 

高校生の自分を夢中にさせたバンドが目の前でライブをしていた。その時やっとその実感が追いついて、最高の気分になりました。

 

ありがとうマスドレ。その一言に尽きます。

 

✱  ✱  ✱

 

さてさて。そんな訳で、私は先行発売の最新アルバム『No New World』を手に入れてしまいました。既に何周も聴いてますが、文句なしにかっこいいです。最速かどうかはさておき、1曲ずつレビューをしたためていきます。


1. New Order

グッドメロディと今まで以上にさわやかなサウンドでいきなりマスドレの新次元を感じさせるような曲。今までの音源と比べると宮本さんの歌声が明らかに進化してます。「New Order」というタイトルもいいですね。

 

2. あさひなぐ

実はアルバムジャケットは漫画家のこざき亜衣の書き下ろしだったりする訳で。疾走感があって夏にぴったりなロックナンバー。イントロがクソかっこいい。ギターのオルタナ感はまさにマスドレ

 

3. だったらいいのにな

へヴィーなイントロからワウの効いたギターへとなだれ込む、これまた新機軸な1曲。ギターの小倉さんとのツインボーカルも新鮮。

 

4. YAH YAH YAH

50秒で終了。衝動を詰め込んだ感じが爽快。

 

5. No New World

ドリーミーなギターサウンドが印象的。宮本さんのボーカルワークにより重心が置かれたような1曲。マスドレのレパートリーの中でもかなり内省的な気がする。

 

6. Hu Hu Hu

ギターの小倉さんがリードボーカルを務めるのがこれまた新鮮。サウンドはバリバリのオルタナです。個人的にかなり好き。

 

7. Sugar

こちらもより歌にフォーカスが当てられている印象。スリーピースの確かなアンサンブルに宮本さんの伸びやかなボーカルが合わさる素敵な曲です。

 

8. スローモーションリプレイ

昨年7インチでリリースされたいわば復活作。ポップさが前面に出つつもオルタナバンドとしてのかっこよさが同居した名曲。アウトロのギターが最高です。

 

△ MV

 

f:id:delivery-sushi-records:20180627032428j:image

△ ジャケット

 

アルバム全体の印象として、これまでの雄々しさを残しつつもかなりポップな方向に振り切って、かつ今まで以上に宮本さんの歌に重心がある曲が多いような気がしました。それはやはり活動休止中の宮本さんのソロ活動が影響しているように思います。しっかりと歌に音を乗せているという感じがしますね。あと単純に歌が上手くなってる気も。

 

マスドレの曲はギターのリフとかフレーズが天才的だなって思うんですけど、今作もそれは健在でした。特別派手という訳ではないんですけど、シンプルでかっこいい音やコードをちゃんと選んでくるんですよね。

 

MCで宮本さんは「8年で8曲かよ!」と自虐的な発言をしていましたが、何も文句はありません。そもそも音源を出してくれるだけでもこちらとしては嬉しいですからね。もちろん内容的にも濃い8曲です。

 

マスドレが帰ってきた。おかえりなさい!という気持ち。

 

✱  ✱  ✱

 

いかがでしたでしょうか。ライブの熱気と私のマスドレへの気持ちが少しでも伝わっていれば幸いです。アルバムの一般販売は7月4日ですので、みなさん期待していいと思います。

 

最後に改めてライブのセットリストを置いておきます。それでは!

 

MASS OF THE FERMENTING DREGS

"No New World" Release Tour 2018 @下北沢SHELTER

1. まで。
2. かくいうもの
3. She is inside, He is outside
4. だったらいいのにな(新曲)
5. YAH YAH YAH(新曲)
6. Sugar(新曲)
7. 青い、濃い、橙色の日
8. さんざめく
9. エンドロール
10. delusionalism
11. ひきずるビート
12. ゼロコンマ、色とりどりの世界
13. ONEDAY
14. skabetty
15. New Order(新曲)
16. Hu Hu Hu(新曲)
17. スローモーションリプレイ
18. あさひなぐ(新曲)
19. ワールド イズ ユアーズ
20. ベアーズ
21. ハイライト(en)

 

f:id:delivery-sushi-records:20180627031846j:image

△ 吉野さんからいただいたセットリストのメモ

 

 

ストリーミング配信もよろしければ ▽

 

 

(文:おすしたべいこ)