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熱くブチまけろ!冷たく切り裂け!覚悟をキメろ!! THE STAR CLUB「HOT & COOL」

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THE STAR CLUB / 「HOT & COOL」


日本のパンクの生ける伝説・THE STAR CLUBがメジャーデビュー直前の83年にインディーズへの置き土産に投下したライヴアルバム。本作を聴かずして日本のパンクロックを語ることは絶対的に許されないと断言する。


パンクロックを知りたいのならばSEX PISTOLSを聴けばいい、それでもお前のその渇きが癒えずにいるのならこのアルバムを手にすればいい、いや、どのみち背中に刻まれたパンクロックの業の烙印が焼け付くように痛み、それを慰めるために街をさ迷うお前は吹き抜ける風の中に漂う錆びたナイフで切り裂いたようなJapanese 80's Punk特有の血の臭いに引き寄せられてこのアルバムを手にするだろう。


ただし「聴く」という感覚を放棄するべきだ。「体感」する姿勢と覚悟を以てして臨むべきパンクロックがここには渦巻いている。その臨場感から噴き出すようにして眼前に広がるバイオレンスな幻影に引きずり込まれて切り刻まれても尚もその魂をパンクロックに捧げる覚悟があるのかを問う程の生々しい迫力と戦慄に支配されたライヴアルバムである。


ヒリついた客の声は混沌をより深め、その中でバンドのサウンドはひたすら破滅的に暴れのたうち回る、HIKAGEのボーカルはあのダミ声ではなくジョニー・ロットンのような歌唱とトリックスターの如し振る舞いで鋭く妖しい磁場を放ちながらこのアルバムがLIVE(生)であること足らしめている。


日本のパンクにおける体制と反体制は所詮は架空の「ごっこ遊び」にしか過ぎない。しかし、ここに真空パックされたパンクロックの衝撃塊はそれらの理論や定説を粉砕突破する根源的な音楽としてのロックンロールの破壊力を持っている。


収録曲の解説?当時の音楽シーンについて?メンバーの演奏について?俺は言った筈だ、「聴く」な「体感」しろと、これ以上の言葉も解説も無い。ここで書かれた文章のほとんどはお前の覚悟を試す注意書にしか過ぎない。


さぁ、覚悟をキメたか?


ならば常に時代の「Now」の首筋にその刃を当て問う強襲者であるためのリアリティーを時代の腐敗に合わせて研ぎ澄ますロックンロールを気管がズタズタに切り裂けるまで吸い込むといい……お前の欲して止まないこの純トロのパンクロックがお前を解放し、より深く切り裂くだろう……


このアルバムを「体感」した衝撃中毒者(ショック・ジャンキーズ)と化した連中が圧倒的加害を持って街の退屈を切り裂くことを願って寄稿する……



(文 : Dammit)