ロックバンド(くるりin名古屋)
3/24(土)、僕はゼップ名古屋にいた。くるりライブツアー「線」、その名古屋公演を観るためだった。
もともとこのツアーの期待値は相当高かった。というのはこのツアーを象徴する新曲「その線は水平線」の内容がよかったからだ。
どうだろう。この「くるりらしさ」全開のロックンロールを久しぶりに楽しめる曲は。かつての彼らのアルバム「アンテナ」のような純ロックな名盤に入っていてもおかしくない曲だ。新作はかなりオーソドックスなロックアルバムになるかもしれないという期待があった。それに、キーマン岸田繁のインスタグラムからも「新作の方向性」としてかなりロックなライブ演奏の映像を見ることができていた。
蓋をあけてみれば、ロックバンドくるりを存分に楽しめるライブだった。昨年初めて参加した京都音博ではオーケストラをバックに荘厳といってもいいほどの演出をみせてくれた。だが、今回はその真反対。完全にバンドサウンドでパワフルだった。
1曲目は「東京レレレのレ」。これが最初なんて攻めてるなあ・・・と思ったが、アウトロがストーンローゼズの「I am the resurrection」くらいうねりまくり。そうだ、くるりはロックバンドなんだといきなり気づかされた。
直後の2曲目でいきなり大名曲「東京」。若々しい演奏というよりは、今のくるりに合うようアップグレードされた演奏だった。
3曲目に「飴色の部屋」を挟み、4曲目はなんと「愛なき世界」。僕が「TEAM ROCK」の中でも大好きな曲で、割とマイナーだと思っていたがやってくれた。この時点でテンションはMAX。
ここでいったんMCを挟んでトリプルギター編成に。ここからがすごかった。「ハイウェイ」、「ワンダーフォーゲル」、「Liberty & Gravity」を立て続けに演奏。どれもライブでやってほしかった曲ばかり。
その後に新曲「東京オリンピック」を披露。岸田繁曰く、「新作には入れないようにして、オリンピック公式ソングを目指してつくったインスト曲」。これがほんとにすごい。「くるりってプログレバンドだっけ?」な超絶演奏。「僕らがオリンピックや(MCより)。」
続けて「スラヴ」をやって(さらりといくけど、バンドサウンドだけで再現できてたことがすごかった)、新曲ラッシュ。「春を待つ」、「忘れないように」、「ハイネケン」。どれも「その線は水平線」と同じく「くるりらしいロックンロールソング」で、特に「ハイネケン」は名古屋公演のベストナンバーだったんじゃないかと思う。超長いギターソロのアウトロがもう、語彙が無くなるレベルで圧倒的だった。これらは新作に入るようなので、新作への期待がさらに高まった。
この後で名曲ラッシュ。「ばらの花」(!)、「LOVELESS」、「虹」、「ロックンロール」(!!!)。ロックンロールを生で聴けるなんて。という感動と共に最初のステージ終了。
で、当然アンコールもあって。最初はくるりの三人だけで「ブレーメン」。アコースティックなブレーメンは京都音博でトミ・レブレロがやってくれたけど、これもよかった。それからまたトリプルギター編成になって、「次のアルバムに入れるとっておきの新曲」と言って「ニュース」。ロックンロールな曲ではなかったけど、王道なフォークロックだった。
最後は「琥珀色の街、上海蟹の空」と「その線は水平線」。「琥珀色の街」が始まるまでバック演奏してる間ずっと、岸田繁がラップ調で変な声をだしながら松坂大輔のこととか名古屋めしの話とかやって、じゃんけんしたりとか(蟹なのでチョキしか出せない)、かなりはしゃいでて楽しかった。新しい王道ソング「その線は水平線」もPVで聴くことができるクオリティそのままにしっとり丁寧に聞かせてくれた。
新作が待ち遠しくなるロックな夜だった。「アンテナ」が好きな人はかなり期待して待ってていいと思う。
(追記)
社長(ベースの佐藤征史)が物品紹介のコーナーでの発言が一番笑えた。
「この(ツアーの物品の)タオル、すごく汗を吸うし、スポーツやる人にはいいと思う。あ、でも、くるりが好きな人にスポーツやるひといないだろうね」
正解やろね。
(文:ジュン)