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This Will Destroy You「New Others Part One」レビュー

 

 新譜レビューというにはずいぶんと日が経ってしまった。(リリースは9月の末だった)

 轟音系ポストロックバンド、This Will Destroy You の新譜、「New Others Part One」について今回は記事を書いていこうと思う。

 

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 あらかじめに断っておくと、僕はこのバンドのことは全然知らない。1stアルバム「Young Mountain」が今年で10周年を迎えたということ、そして新譜がでるということで聴いてみたバンドだ。Explosions in the sky が好きなら、という謳い文句に期待して聞いてみたとおり、1stアルバムを聞いて魅了されてしまった。それがこのアルバムのリリースの前日だった。

 そういうわけで、この新譜は僕にとって2枚目の彼らのアルバムだ。浅いけれど、聞いてみた感想を率直に書いていきたい。

 

 

#1「Melted Jubilee」

 シンセサイザーの音と無機質で打ち込みのようなドラムにつつまれた落ち着いたインスト。キラキラした音もあり、優しい感じがする。SEなどいろいろな音が詰まっているなかで、高揚させるギターのアルペジオが淡々と紡がれていく。美しい。

 

 

#2「To Win, Somebody's Got To Lose」


This Will Destroy You - To Win, Somebody's Got to Lose

 これも鍵盤の音と無機質なドラムをバックにギターが紡がれる曲。ほとんど同じテンポで続いていくが、中盤の静けさがまるでシガーロスの「Voka」のように美しい。眠くなる。そこからまた単音を紡ぐ音楽にもどっていく。#1と似たような曲といえばそうかもしれないが、これは夕暮れ時に聞きたくなるような感傷的な音が全体的に聞こえている。

 

 

#3「Syncage」


This Will Destroy You — Syncage

 これも鍵盤で始まるが、最初からかなり不穏な空気を醸し出してくる。そしてドラムのブレイクと共にスピード感のある轟音に包まれる。ドラムがかなりスピーディで、ハードコアとかのパンクロックのようだ。だが、轟音自体は暴力的なものよりは、やはりExplosions in the skyのような優しい感じがする。「すごくいい」と思っていたらあっという間に終わってしまう。4分半の曲で、それほど短いわけではないけれど、体感は3分ないくらいだ。さわやかな轟音に飲み込まれる気持ちがいい曲。

 

 

#4「Allegiance」

 ダンスミュージックやエレクトロニカのような曲。Radioheadの「treefingers」のように、ギターはほとんど飾り。今作中で一番落ち着いた雰囲気をもつメロウナンバー。

 

 

#5「Weeping Window」


This Will Destroy You - Weeping Window

 前の曲のアウトロから流れるように始まる。実質、前の曲と合わせて一つの曲。ゆっくりと音を引き継いで紡がれていく。打ち込み(ドラム?)の音が入ってくる。ベースが入ってくる。ギターの音がどんどん大きくなる。だが、轟音はこない。静けさに戻っていく。ギターがまるでストリングのような音を奏でる。

 ここで轟音。重い。モグワイやほかの轟音系バンドには感じたことがなかった感想だ。音が重いのだ。ドラムがダイナミックだからだろうか。テンポ自体がスローだからだろうか。ゆっくりと頭をゆらして聞ける。ストリングのようなギターの音もずっと響いている。残響が吸い込まれながら終わるラストも美しい。

 

 

#6「Like This」

 クラウトロックみたいな不穏なビートをぼんやりとした音で包んだ曲。これもかなりエレクトロニカみたい。

 

 

#7「Go Away Closer」

 あっという間にきてしまったラストナンバー。今作で唯一、バンドサウンドを主軸とした曲。冒頭から聞きやすいギターポップみたいなメロとテンポ。インストだけど。高音をかき鳴らすということもない。さわやかなラスト。

 と思ってたらドラムのブレイクから一気にメロウになって轟音が炸裂する。ピアノの音をバックにひたすら美しくかき鳴らされるギターの高音。恍惚としてくる。ドラムのビートだけが最後に残って、フェードアウトして終わる。これぞ轟音系ポストロックバンドだ、という曲を最後にやる粋な演出がニクい。

 

 

 

 以上が全曲のレビューだ。たった7曲。たった38分のアルバム。轟音系のポストロックアルバムの中では今までの中でもトップクラスの聴きやすさだった。アルバム・曲のメリハリも◎。

 調べてみると、彼らは他のアルバムでもクラウトロックに接近したりだとかの作品を作っているらしい。10周年を迎えた1stアルバム、そしてこの新譜から、彼らをもっと知っていきたいと思う。

 

 

 最後にアルバムの採点

 

 3.5/5.0

 

 いいアルバムではあるが、まだまだ聞き込みや彼らを知っていくことで後から評価が上がっていくと思うので、伸びしろを込めてこの点数で。

 

 

(文:ジュン)

 

 

真っ赤なジャガーと静かな熱狂 - Snail Mail @ 渋谷WWW X 10/6

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2018年10月6日。

Snail Mailことリンジー・ジョーダンがついに東京にやって来た。

4日の大阪公演に続いて2度目となるワンマン。

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△ リンジー・ジョーダン

 

今年の6月にデビュー・アルバムLushをリリースしたばかりの彼女。にも関わらず、チケットはソールドアウト。会場はほぼ満員の状態であまり隙間がない。期待値の高さが伺える。

 

開演の19時をだいぶ過ぎた頃、会場が暗転し歓声が上がる。バンドメンバーと共にリンジーが登場した。

 

"Instrumental Intro"からの"Heat Wave"でいきなりぶち上がる。とにかく歌声が素晴らしい。微かな儚さを忍ばせながらも、どこまでも届いて行きそうな伸びやかなボーカル。あっという間に彼女の世界に引き込まれた。そして若干19歳で堂々とした佇まい。すぐに彼女が天才だと悟った。

△ Heat Wave (MV)

 

そして、リンジーの歌声には不思議な作用があって、じっと聴いていると、自分でも忘れていた幼少期の原風景のようなものを記憶の奥底から呼び覚まされるような感覚に陥る。もちろん彼女はそれを意識してやっている訳はないし、持てるポテンシャルの高さをまざまざと見せつけられた気がした。

 

セットリストは『Lush』からほぼ全曲と2016年リリースの『Habit』から数曲。ここから始まっていくという強い意志を感じた。

https://itunes.apple.com/jp/album/habit-ep/1132854902?at=10l8JW&ct=hatenablog

 

ステージング自体はとてもシンプル。必要最低限の機材で必要最低限の照明。ドラムセットもエフェクターも飾り気はないし、VJも一切ない。演奏も特別に派手なことはやらない。ある意味ものすごく潔い。

 

サウンドはどこまでもローファイでありつつも、常に静かに熱狂を孕んでいるようで、それが時折爆発する時のリンジーの表情や歌声やギタープレイが愛おしくて仕方がなかった。音源だけではこの感覚は伝わらない。仄暗い中に光が差して浮かび上がる彼女の姿に神々しささえ覚えた。

 

途中、リンジーが「Lost my guitar pick…」と言って会場を和ませる場面も。年相応だと感じる部分は拙いMCだけで、演奏中はあまりにも貫禄があって隙がない。

 

名曲"Pristine"ではこの日いちばん力強いリンジーを観ることができた。寝かしつけていた熱狂を一気に噴出させるような力のこもったギターとボーカルが本当に素晴らしかった。

 

終盤、バンドメンバーがステージを去り、リンジーがたったひとりで真っ赤なジャガーを弾きながら"Anytime"を力強く歌う姿を観ていたら、よく分からないけど、なぜかすべてのことは大丈夫なんだなと思った。彼女の歌にはそれだけの力があるし、その度合いは誰も計れない。

https://twitter.com/osushitabeiko/status/1048546200864022528?s=21

 

Thank you for coming,

初めての東京でのライブに立ち会えて幸せでした。また日本で素敵なライブをしてください。

 

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(文:おすしたべいこ)

 

ポストロックは終らない。(And So I Watch You From Afar ライブ感想)

 

 アイルランドの轟音&マスロック系のポストロックバンド、And So I Watch You From Afar(そして、だから俺は遠くから君を見るんだ)の日本ツアーがあった。その名古屋公演に自分は行ってきた。

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 ツアーは日本のポストロックバンド、Mouse On The Keysと回っていて、名古屋ではStiffslackの店長がやっているバンドの一つであるKmkmsがもう一つのライブアクトとして、彼らとともにライブをしてくれた。もちろん彼らも良かったのであるが、なんといっても主役であり、圧倒的なライブをしてくれた彼らについてのレポートをしたいと思う。(ちなみに、Mouse On The Keys はサポートギタリストに元Envyの富田を加えての4人体制で素晴らしい演奏をしてくれた

 

 そして何より、このバンドをこれを機に聞いてみようと思う人が少しでも増えることを願う。

 

 

 そもそも、今回のツアーは彼らが去年にリリースしたアルバム「The Endless Shimmering」のリリースツアーである。

 

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 このかわいいほのぼのとしたジャケットに対して、サウンドは凶悪で優美だ。

 

 まるで、轟音ポストロックバンドのモグワイのもつダイナミクス、マスロックバンドのドンキャバレロのもつ変則さと単音の美しさ、二つが融合したような音楽になっている。

 

 では彼らが名古屋でのライブでやってくれた曲を振り返っていこうと思う。

 

 

#1 「Dying Giants」


And So I Watch You From Afar "Dying Giants" (Official Audio)

 今回のツアーアルバムから。今作で自分が特に好きな曲からスタートしてくれて、テンションが最初から最高になった。静かなギターリフの掛け合いから始まってバーストした瞬間から全身を揺らした。高音でギターをかき鳴らすところではとてつもない爆音で耳が壊れるかと思った。でも不思議だ。脳が拒否してはいけないと告げるのを感じた。最前列だった。音のすべてが暴風として耳に、体にかかってくるのを感じた。そうやって彼らのライブが始まった。

 

 

#2「Gang」

#3「Like A Mouse」

 続けて2曲は彼らの過去のアルバムから。とにかく速い。激しい。一言も話さずにただ爆音で変則ロックをぶつけてくる。だが、曲の合間にある泣きの聞いた轟音がこれまた堪らなかった。この時点でどう考えても自分だけが他の人より2段階くらい高いテンションだった。ずっと体をゆらして、「Like A Mouse」では終始飛び跳ねていた。


ASIWYFA - Gang (starting never stopping)


Like A Mouse - And So I Watch You From Afar

 

 

#4「Terrors Of Pleasure」


And So I Watch You From Afar "Terrors of Pleasure" (Official Audio)

 ここでまたツアーアルバムの曲。これもすごく作品中で好きな曲。イントロが始まった瞬間に叫んでしまった。自分だけ。ブレイクが何度もある曲で、ライブで観ると彼らの音と演奏する姿の一体感の迫力が半端じゃなかった。音も激しいけど、演奏中の彼らもかなりテンションが高く、ハードコア出身のポストロックバンド、って感じがしてよかった。

 

 

#5「Mullaly」


And So I Watch You From Afar - Mullally - The Live Room

 簡単なMCを挟んでから。これもツアーアルバムからの曲。これもお気に入りで、やってほしかった曲(やたらと「好きな曲」って表現ばかりだけど、実際にそうなので申し訳ない)。切なくて高速のツインギターがしっかり聞けた後のバースト連発からのまた切ないツインリードに戻っていく展開がたまらない。

 

 

#6「The Endless Shimmering」

 ツアーアルバムのタイトルになった曲。ここまでハイテンションでぶっ飛ばしてきたところでのこれは染みた(これの時点で既に頭を振りすぎて首が痛くなってた)。ものすごく狂暴なアルバムを作っておいて、これをタイトル曲にするっていうところが面白い。きれいで聞きやすいメロが最後はやっぱり激しい演奏になるんだけど。疲れすぎててついていけなかった・・・。

 

 

#7「WASPS」


And So I Watch You From Afar - "Wasps" (Official)

 過去のアルバムから。いきなりの轟音と美しいコーラス。「もう勘弁して・・・」って体が悲鳴をあげていたにも関わらず、自分も一緒に思い切りハモったし、なにより音に自分の全部がもっていかれる感じがこの曲で一番感じられた。自分は全然シューゲイザーが好きじゃない(そのくせ轟音ポストロックは好き)が、「ああ。シューゲイザーが好きな人ってこういう感じがたまらなくて好きで、ライブに行くんだな」と、ジャンルは全然違うんだけど思った。とにかく素晴らしかった。

 

 

#8「A Slow Unfolding Of Wings」


And So I Watch You From Afar "A Slow Unfolding Of Wings" (Official Video)

 ここでツアーアルバムから僕がベストだと思う曲がきた。もうイントロの電子音の時点で叫んでしまった(またしても僕一人だけテンションが高すぎる)。激しさと超絶テクと、中盤の轟音。なにもかもが完璧すぎる。なんどもブレイクして爆音が爆音を呼ぶ。たぶん聞いてるときの自分の顔は「ザ・ベンズ」のジャケットみたいになってたと思う。エロ同人みたいに「んぎもぢいいいい」って、耳が。

 

 

#9「Search Party  Animal」

#10「Set Guitars To Kill」


ASIWYFA - Search:Party:Animal


And So I Watch You From Afar - Set Guitars To Kill

 過去のアルバムから2曲やっておしまい。最後はギターの轟音がずっとループするように放置して去っていった。爆音のリフレインがこんなにも気持ちいいとは思わなかった。

 

 

 

 で、アンコールはもちろんありました。2曲。いずれも過去のアルバムから。

en#1「Run Home」

en#2「Big Thanks Do Remarkable」


And So I Watch You From Afar - "Run Home" (Official)


Big Thinks do Remarkable - And So I Watch You From Afar

 

 en#1の美しいコーラスワークからの2本のギターの激しい絡みで、また一気にテンションが最高まで上げられた。途中のゆったりとしたディレイの効いた美メロパートがとにかくよかった。轟音がかき鳴らされるなかで最初のメロディとコーラスに戻っていく展開に鳥肌が止まらなかった。演奏も一層にかっこよかった。

 en#2はどうやら定番曲らしく(自分はファン歴が浅いのでよく知らない)、イントロで多くの人が歓声をあげた。演奏の途中で何度もメンバーが胸に手をあてて感謝の言葉を言ってくれた。ほんとにきて良かったと心から思える、大団円って感じのラストナンバーだった。

 

 

 

 

 以上がライブの感想である。ポストロックは終らない。このライブがあった日というのは、これまた轟音ポストロックバンド、This Will Destroy You の新譜が発表された日でもあった。愛知のポストロック好きにはとてつもない日だったのではないだろうか。(そちらの新譜の感想も後日記事にしたいと思う)

 

 

 ポストロックは終らない。むしろ今のバンドこそ過去のサウンドをうまく踏んだうえで次のレベルに引き上げているところじゃないかと思わせる。それは彼らやTangled HairやThis Town Needs GunsやThe World Is A Beautiful Placeでも思うことだ。

 

 ポストロックは終らない。

 

 ポストロックは終らない。

 

 ポスt

 

 

(文:ジュン)

 

 

【ディスクレビュー】6thアルバム きのこ帝国-タイム・ラプス

 

きのこ帝国タイムラプスジャケット写真

2018.09.12 6thアルバム タイムラプス

 

01.WHY

 グランジ/ギターロック感のある曲でのスタート。曲としても短く、シンプルないいメロディー。既にこれまでのきのこ帝国とは違う匂いが漂う。

 歌詞を見ればわかるが、表現方法を変えただけで、根底にあるバンドの魅力は何一つ変わっていないのだろう。あーちゃんかっけえ。

 

 

02.&

 かわいい曲。普通のポップスだ。正直これ単体だと「ほう」という気持ちだが、『畦道で』のサビで繰り返さていた"I hate you" を思い出さずにはいられない。

 そこから "I Love You" が足された。足されたというよりは、過去から思っていたことなのかもしれない。言いたいことが言えるようになること・表現できるようになったこの強さがきのこ帝国の進化の1つなのかもしれない。

 ”嘘つきだって罵ったって~抱きしめたいのにそれができない” のところ真理すぎて呼吸ができん。

 

 

03.ラプス

 ド名曲。音楽は実態がないので飲んだり食べたり触れたりすることができない。ということを心から悔やみたくなる曲。いろいろ言いたいことは多々あるが1つだけ言うとしたらコンちゃん腕4本生えてる?

結婚して。

大好きな曲だ。葬式で流す。

"愛せないなら消してしまえと 強がってみたけど 眩しくて"

は人間にも思うし、今作の先行でピンと来なかった自分に刺さりまくりの曲でしたね。

 

 

04.Thanatos

 タナトスギリシア神話に登場する死そのものを神格化した神)を表現したいらしくできた曲。(対になるエロスは性本能・自己保存本能を含む生の本能をさすらしいです)

 この曲も1曲目のようなギターロック系の曲。サビの疾走感と ”ドアを蹴飛ばしてみたいけど" がうまく重なっている。

 

    主観ですが自分はタナトス側だという佐藤千亜妃だが、タナトスを表現というよりは、エロス側になれなかったことを表現するような曲に感じた。

 

 

05.傘

    あーちゃんの装飾がとても光る曲。この人はデザイナーなのかよ。

    音的には前作の『愛のゆくへ』なんかに入っていても違和感のない曲。これまでの曲とライブでの絡み方によって更に化けるような曲ではないのでしょうか。

 

 

06.ヒーローにはなれないけど

 ダントツで過去にない曲。あーちゃんのカッティングもそうだし、佐藤千亜妃の少し子供っぽい歌い方、陽気な感じを出すリズム隊。底抜けに明るい。明るいけど、なんでか寂しさが纏うな。

なるべくなんにも考えなくてすむものを観て、「ははは」って笑って寝たい。音楽もそういうのがいいよな、って思うようになってきて。昔はもう一撃必殺みたいな曲を作ることしか考えてなかったんですけど、一瞬、間にはさまるみたいな、ポケットみたいな曲があってもいいなと思って。

 いい意味で肩の力を抜いてできた曲という感じ。

 

 

07.金木犀の夜 


きのこ帝国-金木犀の夜

 

  先行で聴いた時には「うーん」となりましたが、今ではわりと好きになってきた。

 イントロが美しいしメロもなんやかんや脳内で再生される。そういう曲「作るか~」って作れるマルチさよ。佐藤千亜妃のソロで現れたアダルト感がバンドの音として形を変えたような曲である。

 

 

08.中央線

 超かっこいいじゃん。イントロ一瞬クリーンになるとこのアレンジとか昔っぽい。

    ちっこいライブハウスで聴きたい曲ナンバーワンだ。そしてしげさんのベースがとても好きな曲。楽しさが伝わってくる。『国道スロープ』に生活感を加えたような曲でこのアルバムにはすごく合っている。謎に圧倒的な自信が伝わってくる曲だ。

 

 

09.humming

 なんかしげさんのちょっと間抜けな可愛いボイスが入っている曲。笑

『フェイクワールドワンダーランド』の匂いがする。

 

 

10.LIKE OUR LIFE

 アンビエント感のある曲。超好きだ。僕はあーちゃんファンなのであーちゃん分析をしがちなのですが、過去の作品のなかで美しさランキングは1、2を争うギターだ。あの人はおそらくギターをギターと思っていないところがある。大好きだ。多分ライブだともっと聴こえ方が違う気がするので、是非ライブで聴きたい。あとしげさんのベースがうねうねでいい。

 傘→LIKE OUR LIFE→MOON WALK→畦道で→ミュージシャン→足首 でお願いします。

 

 

11.タイトロープ

 ダウナーな感じの歌い方がかっこいい。本当に歪んだ音に映える声だなと思った。

    言葉の選び方なんかも若干投げやりな感じが垣間見えていて空気の作り方も作品の中で変えられるのは過去の経験がなければ無理なことなんだろうと感じた。

 

 

12.カノン

 無罪モラトリアムか?と思った。

   10年音楽活動をやってきた中での現在の解答が詰まっているような歌詞。でも別にこれが全ての答えではなくて、ここからまた音楽の良さや魅力をどんどんこのバンドは見つけていくような気がする。歌詞は大人びたけど、姿勢はどんどん若返っていくのかなーと。佐藤千亜妃の猫っぽい無邪気な歌い方からなんとなく思った。

 

 

13.夢見る頃をすぎても


きのこ帝国 – 夢みる頃を過ぎても

 最初の「ガガッ」がRadioheadのCreepかと思った。

    ストリングスも入って、王道J-POPといえばそうなんだけど、何故かきのこ帝国にしか鳴らせない音がなっている。生霊というか、ワンフレーズの背景に多くの人間が存在しているような感覚になる。供養というか。このアレンジとメロディーじゃなければ多分重すぎる曲になるんだろうな・・・。評判とかではなく、きのこ帝国というバンドにとって必ず必要な曲なんだろう。東京2.0という感じだな。

 

 

-まとめ-

賛否両論ある作品でしょう。

個人的にはピンと来ない曲もいくつかあり、なんとなく寂しく感じたりもした。でも、変わったのか変わっていないのかよく分からない。

 

表面的に聴けば、よりポップで悪く言えば「ありそう」な曲が多い。

でも、細部に目を凝らすと全員がこれまでの作品に宿してきた音を変わらずに鳴らしているだけだった。

 

新しい取り組みが感じられるかと言えば微妙だ。

しかし、これまで取り組んで来たチャレンジはすべて自分たちのものにしている。

 

私たちがみてきたそれぞれのきのこ帝国の遺伝子はすべて生きている。

決して時の中に閉じ込めずに、その遺伝子を組み換え、新しい生命体を生み出している。遺伝子を受け継いだ生命体(曲)たちは更に数を増やし、それぞれの生命体との関わりの中で表情を変え、1つの国を内側から変化させていくだろう。

 

良いも悪いも振り回し、我々を楽しませてくれる。

そんな表情豊かで、人間臭くて、眩しすぎるバンド。

 

10周年おめでとうございます。一緒に生きていけたらいいな~。

 

 

(文:さこれた)

 

 

タイム・ラプス(初回限定盤)

タイム・ラプス(初回限定盤)

 

 

 

どこにも行けない(くるり新譜「ソングライン」の感想とレビュー)

 

    待ちに待ったくるりの新譜が発表された。「ソングライン」だ。

 

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 自分は今年の3月にツアーを見に行った。その時にはこの新譜に収録された曲を多く披露してくれた。どれも素晴らしく、期待値はとても高かった。

 

 そしてそれはどんなアルバムだったのか。

 

 アルバムの感想をまたしても僕の友人、あつみ君と振り返る。

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ジュン(以降、ジ):さて、出たね新譜

あつみ(以降、あ):出ましたね

ジ:線のツアーからずっと待ってたよ

あ:僕は最終日の東京公演が収録されたBD付のものを買ったので、雰囲気は味わいましたが、羨ましい。

ジ:ハイネケン(ソングラインはツアー中はこのタイトルだった)、ニュース、忘れないように、春を待つ  が新譜に入ることはその時から分かってたしね。楽しみにしてたよ。とりあえず、ざっくりとした感想はどう?

あ:フォーキー、って表現したいところ。「その線は水平線」のような重いロックアルバムになるかなと思ってましたが、アコースティックな音像が耳に残りましたね。

ジ:ライブで岸田が「とっておきの曲」って言って「ニュース」をやってたから、俺はある程度この路線は読めてたかな。このアルバムはレコードで聴きたくなるね。Tokyo OPまでがA面。A面はソングラインとか、リスナーが楽しみにしてた曲をやって、B面は岸田が好きな曲を詰めた、って感じじゃないかな。

あ:レコードいいですね

ジ:それじゃ、また1曲ずつ感想を言っていこう

 

 

#1「その線は水平線」


くるり - その線は水平線

 

あ:シングルは2月でしたねリリースは。何度も聞いてすっかり耳になじんでました。

ジ:まさかの1曲目だね。

あ:そうですね。「How To Go」みたいに最後になるんじゃないかと思ってました。

ジ:「How To Go」。そうか。これはきっと「How To Go」の答えなんだな。歌詞にもあるし。『どこにも行けないさ。どこにも行けないの』って。

あ:だとしたらいいですね。

ジ:「アンテナ」の最後に「How To Go」を歌ってから14年経って、アップグレードされたけど、くるりのロックはくるりのロックでしかなかった。どこにも行けなかった。なんて象徴かもね。歌詞とか印象のことは置いておいて、今までのくるりの中でも、かなり重い曲だよね。メロディは彼らの王道って感じだけど。

あ:今までと同じようでいて新しさがある、ってとこはこのアルバムを通して言えるかな。

ジ:重いギターが注目されがちだけど、裏で鳴ってる鍵盤がいいね。

あ:『流星群』って歌詞のところでキラキラした音があるのもいいですね。聴くごとに発見があります。

 

 

#2「landslide」

ジ:いきなりだけど、俺はこれが今作のベストだと思う。

あ:おお。それはなぜ?

ジ:なんでって言われると困るけどね。全部の音がアコースティックで綺麗だからかな。俺、「アンテナ」でも好きな曲が「グッドモーニング」だし。

あ:この曲のウッドベースが印象的でいいですね。最後の歌詞のコーラスもこれからの季節に合っていていいですね。

ジ:そうだよね。本当は俺って季節を感じさせるような曲って嫌いなんだよ。押し付けられてるみたいで。でもこれは・・・なんだろう。冬を待つ曲なのに季節を押し付けるようなところが全然なくて、それでも秋に聞きたくなるような。そういう俺のめんどくさいところにスポっって入る曲なんだよね。

あ:自然そのものをイメージさせてませんか?ジャケットに一番合ってる曲じゃないかと思います。

 

 

#3「How Can I Do」

ジ:シングルのアルバムミックス。

あ:事前に発表されてた曲では一番でしたね。なんだか「ニッキ」を彷彿とさせませんか?

ジ:さよならリグレットに似たものを感じたかな俺は。シングル版のほうが重厚で俺はそっちのほうが好きだな。

あ:これに関してはそうですね。

ジ:どのあたりが好きなの、この曲。

あ:多部未華子とデュエットでこの曲が流れるCMが去年あったんですよ。それはアコギとピアノ主体のシンプルなものだったんですけど。正直シングルのほうを最初に聞いた時はそこまでだったんですけど、CMのバージョンを聞いた時にメロディの良さに改めて気づかされて、以来お気に入りです。

ジ:家にテレビないから知らなかった。メロディ自体は良さみが深いよねこれも。

あ:Aメロのフレーズが指折りのお気に入りフレーズです。

ジ:俺は途中の鍵盤のソロかな。

 

 

#4「ソングライン」


くるり - ソングライン

 

ジ:多分、たくさんの人が期待値をぶち上げて待つことになった最大の要因はこれ

あ:ライブには行けず、ニコ生で観ましたが、ギターソロすごかったですね。

ジ:生はヤバかった。トリプルギターが永遠に思えるくらいうねってたからね。

あ:そもそも曲の半分以上がソロですよねこれ。

ジ:アルバムに入って、缶をあける音とか野球の音とかSEがいっぱいついて、楽しい曲になってるね。

あ:『首位打者はカントリー』の応援歌カップリングはびっくりですね。

ジ:あそこの歌詞の語感は今作のベストだよね。『右手にサントリー泊まりはセンチュリー首位打者はカントリー』って。めちゃくちゃだけど。

あ:僕もここの語感が大好きです。たぶん新幹線に乗りながらサントリー片手に野球中継聞きながら、って旅の泊まりがセンチュリーなんでしょうね。この曲、ボレロとかLet it beみたいなところも面白いですね。あと、生活感あるかんじが「ハム食べたい」みたいだと思いました。

ジ:1アルバムに1つでおなじみのお気楽ソングにしておくには、迫力がありすぎるけどね。

 

 

#5「Tokyo OP」

ジ:岸田「僕らがオリンピックや」(ツアーで披露時の一言)

あ:ガンダムかよ、ってかんじですね。

ジ:草。

あ:「惑星づくり」の完成度にも匹敵する激やばなインストが爆誕しましたね。

ジ:これはツアー中も公式のインスタグラムに演奏の様子を見せてくれてたね。そのときからアツかったね。いやぁ。くるりって、プログレバンドだったんだなぁ()。「東京」でデビューしたバンドが今作で「東京オリンピック」をやってると思うとそこもすごみがある。

あ:中学時代からの長年のインナーワールドがようやく具体化できたとのことです。ドラクエとかFFの戦闘曲から着想があるようです。

ジ:ほんと岸田はドラクエ好きだな。

 

 

#6「風は野を越え」

ジ:レコードならここからB面かな。

あ:僕にとっての今作のベストですね。

ジ:たしかによくできた曲だよね。

あ:セルフライナーノーツが面白いです。この曲は去年から今年にかけて作られたそうですが、コンセプトは「デビュー当時のくるりに持たれていたパブリックイメージの再現」だそうです。岸田は「実際はミディアムスローなテンポ以外は今も昔もくるりに当てはまる要素はない」ってその後続けてますが、僕はまさに「僕の住んでいた街」の前半部を聞いてるような感覚があるんですよね、これ。くるり全体を通しても上位にくる曲です。

ジ:ジュビリーがバンドサウンドになったみたいだと俺は思った。あと、これも結構ギター重いよね。こんな音だしてくるの久しぶりじゃないかな。

あ:90年代シューゲイザーとかグランジの音がイメージにあるとか。

ジ:オルタナティブだなぁ。ここ数年は音の数で厚みをだしてたところを、数を減らして一つ一つを大きくするような。そういうクラシカルなくるりを感じるよ。

あ:引き算の渋さがありますよね。そこも好きです。ただ、いい曲なのにファンファンのトランペットがないんですよね。

ジ:それはライブに行ってのお楽しみということで。それにしても、CDを買うと岸田のセルフライナーノーツが読めるのは超お得だよね。

 

 

#7「春を待つ」

ジ:これはツアーでも聞いた。よかったなぁ。

あ:その線は水平線、のカップリングでもありましたね。

ジ:くるりらしさがものすごくあるよね

あ:これは本当にデビュー当時の曲みたいですよ。間奏を挿入した以外は当時のままで。コールドスリープさせていたものを覚醒させたようになってますよね。

ジ:ほんとに「どこにも行けない」って感じだね。すごいぞ、くるり

 

 

#8「だいじなこと」

あ:「春を待つ」のメランコリックな終わりから始まるオーボエがたまらないわけですよ。

ジ:これ1分半しかないんだな。流してると気づかなかった。内容濃いなぁ。

あ:面白いですよね。アニメ「3D彼女」のOPのためにって90秒で収める、ってできたそうで。岸田が原作の漫画も読んで主人公の気持ちで書いたみたいで、クリエイターな仕事ぶりが見えますね。

 

 

#9「忘れないように」


くるり - 忘れないように

 

ジ:ツアーでやったとき面白かったな、岸田。色々話してから「いやほんと忘れないように気をつけないと。というわけで、「忘れないように」という新曲やります」って。自分でフリすんなよ。(笑)

あ:97年頃に作って忘れてたものを、その線は水平線た春を待つを作ってるときに思い出してできたんだそうです。

ジ:うっすら鳴ってるけど、レゲエみたいなギターが気持ちいいよね

あ:古い曲なのに、ほかにあまりないファンキーさがありますよね。

ジ:古い曲と今の曲のハイブリッドで、フィジカルグラフィティみたいだね。・・・違うか。

あ:ところで、これいろんな曲を彷彿とさせますよね。いやむしろオマージュというか。

ジ:・・・そこはなるべくノータッチで話してたけどね。うん。思ったよ。イントロがめっちゃスピッツ涙がキラリ☆」だし

あ:コーラス完全にオアシスですね。「Go Let it Out」なんて。確信犯。

ジ:サビの入り方「How To Go」に似てるし。

あ:メロディほぼ同じですね。サビは竹内まりあの「元気を出して」みたい。

ジ:この辺にしとこう。いろんな要素が自分たち風に表現できるっていうくるりの持ち味が古い曲に乗っかった名曲ということにしよう。

あ:そういうとこがハマってるとこですね。

 

 

#10「特別な日」


【公式】くるり×ジェイアール京都伊勢丹 創業20周年メモリアルソング&ムービー「特別な日」

 

ジ:アルバム収録曲が分かった時に一番意外だと思った曲だな。だいたいくるりはこういう曲はアルバムから外してきてたし。

あ:京都伊勢丹のメモリアルソングですね。

ジ:PV楽しい。

あ:企画で生まれた曲ですが、アルバムにはなじんでますね。

ジ:湿っぽくなりすぎないように、ってことではいいね。岸田はほんとにこういう曲をつくるのがうまいな。

あ:伊勢丹の従業員に取材して歌詞ができてるみたいですしね。日常を感じさせる良い曲です。

ジ:俺はこれこそ「1アルバムに1つでおなじみのお気楽ソング」だね。あとは歌詞ね。『思い切り泣いたり笑ったり』ってとこに反応してしまうよね。これが聞けるから京都は羨ましいよ。

 

 

#11「どれくらいの」

ジ:これいいよなぁ

あ:「風は野を越え」に次ぐお気に入りです。「魂のゆくえ」にありそうですよね。

ジ:だよな。サビもアウトロの渋さも。

あ:あのころのジャジーなピアノがここで生きてるのがうれしい。ライナーノーツではデヴィッドボウイやピンクフロイド的って言ってますね。

ジ:「マネー」とか「アス&ゼム」かな。

あ:ブラスの雰囲気は似てなくはないですね。

ジ:歌詞いいわぁ。韻をふんでいくかんじ。

あ:言葉数は少ないんですけど、説得力ありますね。でもなんといっても、アウトロのドライブしていって、最後にディレイの残響を残して突然終わる展開が素晴らしいですよ。

ジ:ここまでドラマチックなソロの入りをしてる曲は今までなかったかな。

 

 

#12「ニュース」

ジ:ツアーでとっておきの曲としてアンコールでやってくれた。アルバムの〆。

あ:松山千春とか中島みゆきみたいな染み入る歌い方ですね。

ジ:「坩堝の電圧」の「グローリーデイズ」みたいな、その時の世情をよく表したいい〆をしてるフォークロックだよね。

あ:ニュースってタイトルの時点で時事的ですよね。遠まわしに歌詞でにおわせてきてますね。

ジ:おれはこの曲の感じはlet it beみたいだなと思ったよ

あ:コード感似てますね。あと、この曲も「どれくらいの」みたいにアウトロで厚みが増えていくのがいいですね。

ジ:ライブでよかったんだなそれが。

あ:今作はライブ映えする曲が多いんですかね。

ジ:ツアーでやってくれた曲をたくさん入れてるってことが大きいかな。

あ:事前にいろいろやって、ネットとかの評価を参考にしながら作品を提示していくってやりかたが今っぽさありますね。

ジ:ライナーノーツはどんなこと書いてあるっけ。

あ:去年の初春ごろに書かれた目下最新曲らしいです。(アルバム制作は昨年の初め頃からで、曲作りは2015年にいくつかやってたそう)過去のものや長い時間をかけてできたものが多いアルバムのなかで、こういう曲で〆られるのは面白いですね。

 

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最後に改めての自分とあつみ君の全体の感想、そして採点を載せて終わろうと思う。

 

あつみ

坩堝の電圧で長くてコンセプチュアルなことをやって、Pierで音楽の旅をイメージさせてましたが、そういうものよりは、今作ソングラインは繰り返される日常に寄り添うものになってるんじゃないでしょうか。その中でもソングラインのサウンド・コラージュだったりTokyo OPの刺激的要素もあって、くるりのいろんな面が一つにまとまってる。これから聞くひとにはこれを勧めるのもアリでしょう。」

 

ジュン

くるりのスタンダードとして永遠に残ると思う。俺の中でずっと「アンテナ」が最強だったんだけど、今作がついにそれを越えたと思う。くるりの王道ロックがここまで突き詰められた作品が今まであったか?と思えるくらいには素晴らしい」

 

 

 

 

採点

 

あつみ 89/100

ジュン 4.0/5.0

 

 

(文:ジュン)

 

 

Pale Waves「My Mind Makes Noises」全和訳(後編)

 

早速続きから。

 

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#8「She」(注1)

あたしの愛しいあなたは昔そうだったみたいにあたしに触ってくれない

思い切って髪を変えるべきなのかな

それとも(変えるべきは)あたしの着てる服かな

あたしはただ貴方にキスする日々を楽しく生きてたわ

もしかしたら、こんな(日々)よりはいいものだったかしら。あたしたち

 

(※)

貴方は変わりの他の誰かでイッてるの?(注2)

嘘は言わないでね。あたしは言えるから。

彼女はあたしと同じくらい貴方を気持ちよくできてるかしら?

 

服を脱いで、あたしは自分の体をじっくりと見てみるの

あなたは十分には満足してないみたいね

だからあなたは他の誰かで満たすのね

あたしはいろんなやった上で情けないなって感じてるのよ

どうしたらあなたはあたしを愛するってことをやめてくれるのよ。こんな問題だらけの日々の中で

あなたはあたしの心をどうしようもなく傷つけてるのよ、あなた

 

(※)リピート

(※)リピート

 

貴方は代わりの他の誰かでイッてるの?

嘘は言わないでね。あたしは言えるから

 

(注1)

一部の「you」は主人公の女の子の「今の恋人」あるいは「結婚した相手」を表していると思うので、表記を「あなた」とひらがなにしてある。「貴方」がかつての恋人。いわずもがな、このアルバムのもう一人の主役の男の子である。

(注2)

「get off」には『異性と性的に親しくする』、『オルガスムスに達する』という口語の使い方があるようなので、そういう風に訳した

 

 

#9「One More Time」

貴方、昔は貴方の車でよくドライブしたわね

どんなことがあったっけ

それはそんなに遠い(昔の)ことじゃないわよね

こんな風に終わっちゃうなんて思ってなかったわ、あたし。貴方が最後にキスをくれるまではね

あたしたち一晩中床で寝ちゃったりなんてしたわね

あたしは貴方と恋に落ちたわ。ほんの2秒しか過ぎてないのに(注1)

ただあなたの心はどう変わったか、教えてくれないかしら

だって貴方はあたしが頭から離れてないみたいだったわよね。あたしたちが17の頃みたいに

それにあなたは苦労してあたしの手に触れないようにしてたわね

でも今、あたしたちを見てよ、今

どんな風にあたしたちは描かれるかな

 

(※)

ただ貴方がもう一度ほしいの。もう一度欲しいの。

貴方との、貴方との、あの最後の夜をもう一度くれない?

 

あれから今で3か月ね。話し合えるかなあたしたち(注2)

貴方はどんな風にあたしを外に、貴方の家の前に放っておいたっけ(注3)

貴方を窓の外から見たら貴方は階段のところで泣いていたわね

きっと貴方は気にしてなかった

ただ貴方を近くに引き寄せたかった

でも間には壁があった

ただ、17のころにあたしたちは戻れないのかしら

 

(※)リピート

 

あたしは目を覚ましたまま横になって、あたしたちがかつては、かつてはどんなだったかを思うの

貴方はあたしを弱らせるような細かなこと全部をやってきたわね

 

(※)リピート

 

(注1)「I fell in love with you as the seconds went by」を訳してみたが、自分はたぶんこうじゃないかと思う

(注2)3か月というのは、#5「Loveless Girl」の久しぶりに会った時からの3か月だと思われる

(注3)外に放っておいた時は、#12「Black」で歌われる描写と同じ時だと思われる

 

 

#10「Television Romance」(注1)

みんなハイになってる

みんな心を失ってる

君を探してる

俺はいまだにここで自分が何をしてるのかわからない

ただ俺に教えてほしい

だってむしろ、俺は独りになるからさ

 

君はとても幸せ

君の心は変わってる

君は俺を愛したがっている

でもハニー、それはだめなんだ

君はそれほど素晴らしくはない

それほど心地よい音ではない

でも朝には、それが変わるかもしれない

 

(※)

ああベイベー、やめてくれ

君と俺は手に入れてないんだ

テレビジョンロマンスを

 

 さて、俺はまだ君になんていうべきなのかわからないよ

君が俺のところへ来てるんだと感じてる

そしてそれは君が俺(の心)に入ってくるってことなんだってことも

君は決して、決して満たされた表情ではない

それは俺を引き留めるために

 

(※)リピート

 

俺のことを今夜独り占めできると思ってるのかい?

俺の、俺の心はそれでもいいってさ

分かるよベイベー。俺はいつだって手に入れてきた

でもほんのちょっと経ったら、俺は心の殻を破るんだ(注2)

 

(※)リピート

 

(注1)この曲はこれまでの二人の曲かもしれないが、自分はこの曲は

Loveless Girl」で出てきたテレビで当時二人が見ていたロマンスものを表していて、このアルバムを聞く人にとっては、これからの曲で過去を見せるための導入の役割があるんじゃないかと思ってる(それは個人的な願望でもある)。なので、「俺」と「君」という訳し方をしている

(注2)「I'll be out of my mind」をかなり脚色をつけて訳している

 

 

#11「Red」

 あたしたちは隣り合って座ってる

貴方はどんなことを感じてるのか知りたいわ

教えてよ何を感じてるのか

貴方はまだあたしの心から離れてないわ

許して。そうしようとはしたのよ。したの・・・

お酒の為にって、あたしはホテルで貴方に逢ったわね

それで2、3時間経って、貴方はあたしにべったりになってたわね。べったりに・・・

そしてあたしは、赤は貴方の好きな色だってことを知ったわ

それで二人で同じところに座って、お互いの真似をしあったわね

 

(※)

ああ。愛しい貴方。「それ」をこの時にする?

いつだってあたしは受け取ってる。自分だけのものじゃないものにすべきじゃない、あたしたちの気持ちを

ゆっくりね。貴方。「生きてる」って感じにしましょ(注)

もういつだって覚えていられるって顔を貴方はしてるのよ

 

それで貴方はあたしの欠けた歯を笑っちゃってたわよね

でも言ったわね。「それも似合ってるよ」って

貴方は(あたしの)全部に気をかけてる

あたしは貴方のお友達達がなんて言ってるのか知ってるわ

ああ。そんなのどうでもいいの

その全部も、結局はあたしと「愛してる」ってことに入ってるの

 

(※)リピート

 

そしてあたしは赤が貴方の好きな色だって知ったのよ。

 

(注)元の歌詞は「Slow down, baby. Are we gonna make it alive?」

 

 

#12「Kiss」

ああ、貴方はどうやったらあたしのところに来れるか知ってるでしょ

あたし、とってもさみしいの

貴方があたしの頭の中にいるのよ

「泣きすぎだよ」って貴方はあたしに言ったわね

えっと、それがたった今の貴方のやり方なのね。たった今のやり方なのね

今夜貴方が欲しいって分かってるでしょ

どうしてほとんどの夜で貴方はあたしの頭の中なのよ

 

(※1)

貴方は夢の波

貴方の愛は穢れなきものなのね

貴方は夢の波

貴方の愛は穢れなきものなのね

 

ねぇ、言うべきことは分かってるんでしょ

貴方は違うやり方の愛をしてる

タバコのにおいがする

あたしたちは天国がどこかなんて知らない

寒気がしてるの

でもきっと、あたしたちは違うのね

 

(※1)リピート

 

(※2)

キスして。はじめてした時みたいに

キスをしてよ。あたしが貴方の心を壊していくみたいに

 

(※1)リピート

(※2)リピート

 

 

#13「Black」

貴方は嫌いになってきたのね。最近変わっていくあたしのことが

ねぇお願い。そんな風にあたしを見ないでよ

あたしの心がなんだか責められてるみたいじゃない

 

もうそこらであたしを求めたりなんかしない、なんて言わないでよ

あたしは変わっていってるんじゃないの。ただ待ってるの。あたし自身を理解し終えることを

 

(※)

もう貴方はあたしたち二人が愛せないのね。でもあたしは、あたしはそうするわ

あたしたちはそれが相応しい、とは貴方は思ってないのね。でもあたしは、あたしはそうじゃない

 

なんだかあたしの心が責められてるみたいじゃない

 

貴方があたしといた道が恋しいわ

貴方はあたしの顔にそっと優しくタバコを吹きかけて

それでおでこにキスするわね。あたしが眠れない時に

そして分かってるわよ。あたしが理屈っぽいって

なんであたしは貴方がすごく間違ってるように感じさせちゃったのかな

あたしは今まで、あなた対して「痛み」しか、してないように思える

愛してるわ。でもそれは期限切れなのね

 

(※)リピート

 

貴方の家の外で泣いてる

でも貴方は出てこない

電話で貴方は叫んだ

そしてその今、貴方はしでかしてしまったのよ。あたしと一緒にね

 

(※)リピート

 

 

#14「Karl」(注)

あたしは14歳で、兄は23歳だった。パパがあたしの横に座って、あなたが逝ってしまったと告げた時に

あたしは彼らがあなたのことをおかしいって言うのは聞いてなかった

あたしはあなたをあたしの中に最近よく見るのよ

あなたの為に曲を書いたの

それは「かくれんぼ」っていうの

あなたは決して聞いてないけど、あたしのタトゥーでもあるの

それで、あなたがあなたの椅子に座ってるのを見ることが、あたしは好きだったのよ

タバコをふかしてて。気づいてないけどそれは美しくてね

 

(※)

死んじゃうって、どういうことなのかな

時々、あなたがあたしの頭をよぎるわ

ひどい嘘。だって心にはずっとあなたがいるんだもの。いつだって

死んじゃうって、どういうことなのかな

 

ロンドンでのショーが終わって、タクシーに乗って、

あなたの好きだった曲が流れた

ちょっと泣いちゃったけど、すぐやめた

あなたにそれは隠せないわね

あなたがとても恋しいの

ママがあなたを見つけたのはクリスマスだったわね

ママは立派な顔を向けてた。あたしはまっすぐには見れなかった。

でもあなたのこころは美しくて、普通じゃなくて、とても愛らしかった

あなたの心は美しくて、普通じゃなくて、すごく愛らしいものだったのよ

 

(※)リピート

 

(注)この曲は、ヘザーが「亡くなった祖父を想って作った曲」と言っていた。だが自分は、これまでの物語のエピローグとして存在しているような気がするのだ。

 今までの男女の物語は、実はこの曲の主人公のミュージシャン(それはヘザー自身かもしれない)が音楽作品として作ったもの。死んでしまった男の子とかつての自分をモデルにしながら、これまでの男女の物語を作った。そして完成して、その死んだ男の子のことを思い出す。

 そういう終わり方なんじゃないかと。(激しい妄想だと自分でも思うが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 以上が、「My Mind Makes Noises」の全訳である。だいぶ自分の脚色というか誇張が入ってるような気がするけど。

 

※「ここの訳がおかしい」という意見があればぜひお願いします。その都度修正します。

 

 このアルバムが全体的に持ってる切なさは存分に和訳に出すことができたんじゃないかと思ってる。

 

  この和訳で、よりこのアルバム、そして彼らを好きになってくれたらうれしいし、この和訳から彼らを聞いてみようと思ってくれたのであれば、もっとうれしい。

 

 

(文・和訳:ジュン)

 

 

Pale Waves 「My Mind Makes Noises」全和訳(前編)

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 先日リリースされたPale Wavesの「My Mind Makes Noises」について、自分はすぐにレビュー記事を書かせてもらった。(以下がその記事である。)

 

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 記事では歌詞の考察も含めて多くのことを書いた。曲の良さはもちろん、非常にこのアルバムはすべてにおいて歌詞が素晴らしい。

 そこで、この音楽サイト、出前寿司Recordsの記事としては異色ながら、「My Mind Makes Noises」の全曲の和訳を書かせてもらおうと思う。改めてこの記事から彼らのデビューアルバムの良さがより分かったと言ってもらえれば幸いである。

 

(なお、自分はお世辞にも英語ができる人間ではないので、誤訳が多いところは多めに見てほしい。申し訳ない。また、元の英歌詞は以下のサイトと自分の耳を頼りにしている)

 

(↓歌詞参考サイト↓)

https://www.azlyrics.com/p/palewaves.html

 

 

 それでは、いってみよう。

 

 

#1「Eighteen」

この街はあたしを落ち込ませる

でも、貴方はあたしが望むすべてでいようとしてくれている

あたしたちは隅っこに座ってキスをしあう

やっと「色」というものを見たような、そんなことを感じるの

 

(※)

貴方に出逢った時、あたしは18だった

あたしの心を溢れさせて、あたしの全部の真実を切り裂いた

やっと「感じる」ってことが初めてできたように感じたの

貴方に出逢った時にね

 

皆、あたしたちを通り過ぎていく

(あたしたちは)何度も何度も同じ話をしてる

一晩中あなたの横にいれたらいいな

愛しい貴方。ただのあたしと貴方でいいのよ

 

(※)リピート

(※)リピート

 

 

#2「There's A Honey

君が望むなら、僕の心にいていいんだよ

僕が泥酔してるときが君は嫌いなんだって知ってる

でも、簡単じゃないんだ

感じたいんだよ。何かが一度目と違うってことを

 

僕の愛が君を壊して、壊していく

やめられないんだよ

だって君を、君を感じてるんだから

ああ、ハニー。お願いだから僕から離れるなんて言わないで

ハニー、お願いだから僕から離れるなんて言わないで

 

(※)

君に僕の体をあげるよ

でも自分でも君が僕を欲しいかってことは不確かなんだ

自分でも君が僕を欲しいかってことが分からないんだ

 

ああ、そして君は大丈夫じゃないんだね

だって僕がきみの夜を台無しにしちゃったんだもの

えっと、ハニー。これが僕の得意技さ

君は今、見当たらない

だって僕が君の心をぶち壊しちゃったんだもんな

えっと、ハニー。君は僕がそうしたって知ったんだよね

 

(※)リピート

 

そして僕が「悪いな」と思ってた誰かさんがいる

君は、僕が君のその心を僕だけのものにしたがってる、ってことがわかってるよね

悪いなと思ってた誰かさんがいるんだ

僕は目をそらせないよ

君は、僕が君のその顔に首ったけ、ってことを知ってるよね

 

(※)リピート

 

 

#3「Noises」

あたしの心がざわめきすぎてる

ゆっくりと自分自身が失われていくのを感じるわ

あいにく、あたしは助けを必要としてるみたい

 

どうしてあたしは自分の体をこんなにじっくり見つめてるのかしら

夜、落ちちゃって床にはいつくばってる

分かってるの。それはよくない、でも貴方はあたしを今度は治せないってこと

 

(※)

あたしが貴方を見つめてる時、貴方にはなにが見えてるの?

最近自分の気持ちが抑えきれないのよ

興奮してるの

悲しいの

貴方、あたしは「感情」というものを手に入れたの

 

ヘザー、あなたは馬鹿よ(注)

またあなたはやりすぎちゃったのよ

あなたの愛した顔がゆっくりとあきらめた感じになっていってる

あなたはなにがしたいのよ

 

(※)リピート

 

あたしはまだ同じまま?

でも貴方はそれを認めるのがイヤって・・・

「年が過ぎて、それでなんにも変わってないように思える」って、

それがあたしなの?

教えてよあたしがなれるようなあたしを

あたしは自分を見つめなおして、自分の何が嫌いなのかわかるわ

幻(の自分)を演じて、貴方の頭を溶かすの

 

(※)リピート

ねぇ教えてよ

(※)リピート

あたしを見てよ・・・

 

(注)おそらくこの主人公はヘザー自身であり、頭の中の冷めた部分がヘザー自身に語り掛けていると思われる

 

 

#4「Come In Close」

貴方に初めて出逢ったまさにその時から知ってるわ

貴方はすべきことの為に部屋で泣くことが好きだって

貴方の手があたしの体に触れて、あたしたちが始まったことを教えてくれるわ

分かるのは貴方に行ってほしくないってことだけ

なにかが頭のなかで引っかかる

それはいつもあたしに告げるの。今夜、貴方と恋に溺れてはいけないって

 

(※1)

ねぇ、もしもあたしが貴方にキスしたくて近づいたとしたら

貴方は「ノー」って言う?

本当に貴方が欲しいのはあたしなの?あたしなの?

本当に貴方が欲しいのはあたしなの?あたしなの?

 

誰も知らないわ。貴方とあたしのこと

どんな風にあたしたちがテレビをみてるのか

時々キスするってことも

貴方が部屋にいるときはいつだって、あたしは何にも、何にも見えてないの

貴方以外は

 

(※1)リピート

 

(※2)

ただの友達でいたくないわ。でもこれは(いつか)終わってしまうって分かってるのに

 

(※1)リピート

(※2)リピート

 

 

#5「Loveless Girl」

(※1)

Oh, Loveless

Oh, Loveless

Oh Loveless girl

 

少しの間見なかったけど、なんだかずいぶん年を取ったように見えるわね

貴方の髪が抜けちゃうときはあまりに完璧だったものけど、それが私には不思議だわ

会わない間のここ数年、貴方はどうしてた?

テレビは進歩したものに変えた?

あたしが時々気に取られるのが、貴方はずっと好きになれなかったわね

(これから)あたしは「貴方は大丈夫だな」ってふりをして、二人でぎこちなく笑いあって、お互いの家族の話をするのね

 

(※2)

Loveless Girl」。それは貴方はあたしをよくそう呼んだものよね

結局あたしはそのままでいるわ

もしも貴方が心変わりしてたなら、今のあたしは変わってたかしら

Loveless Girl」

 

(※1)リピート

 

貴方があたしを見るときの感じ、全然変わってないわね

でもあたしは貴方が望むようには決してならなかった

貴方はいつも、あたしは冷たいって言ったわね。でもあなたといるときだけだったわよ

 

(※2)

 

最近、貴方が戻ってくるんじゃないかって思ってたの

(なのに)あなたは全然「意外」って感じが無くって、あたしがそれが嫌だわ

あたしは本当に変わったのよ。あたしが同じようには感じてないってわかるでしょ

もうあたしたちはこれ以上無理って思ったわ

 

(※2)リピート

 

(※1)リピート

 

 

#6「Drive」

僕は23で、まだ同じ「もしも・・・」を感じてる

これは君についてじゃない。僕についてだ

僕は僕のやりかたをどうにもできない

誰も分かってないみたいだ

僕は大丈夫じゃない。でもそれはいいんだ。本当に

僕は大概の時間で一人でいたい

他の誰でもなく自分自身に話しかける

それが僕の好きなやり方

好きなやり方だよ

 

(※)

それが頭の中で奴らが言ってた事の全部か?

僕は良すぎるなんてことは感じてない

なんだか誤解されたように感じる

それが頭の中で奴らが言ってた事の全部か?

良すぎるなんてことは感じてない

できるなら泣きたいよ

 

ぶっ飛ばしてドライブする。(そして、)僕は「何か」を感じるんだ

僕は自分の人生をぶち壊した。ただなんでもないものの為に

僕は何もかもすべてと共に、恋に溺れ、そして心が離れていった

本当に僕はいったいなにをやってるんだろう

 

(※)リピート

 

ぶっ飛ばしてドライブする。(そして、)僕は「何か」を感じるんだ

ぶっ飛ばしてドライブする。(そして、)僕は「何か」を感じるんだ

 

(※)リピート

  

ぶっ飛ばしてドライブする。(そして、)僕は「何か」を感じるんだ

ぶっ飛ばしてドライブする。(そして、)僕は「何か」を感じるんだ・・・

 

 

#7「When Did I Lose It All」

そのすべてを失ってしまったのはいつだっただろう

瞳の端に貴方がいたのが見えた

あたしたちが交わって堕ちていったのはいつだっただろう

それはいつだって貴方だった。貴方だった

一緒に愛し合って年老いていくんだって思ってた

あたしたちはお互いを最高まで高めていったわね

貴方はあたしを信じさせてくれたわ。あたしたちなら、なんだって、なんだってできるんだって

 

(※)

これから、これから、貴方を放してあげるわ

貴方と結ばれたいの。でも今じゃないの。今じゃないの・・・

 

首の下にキスして、あたしたちの瞬間

直前であたしは、貴方がどんな風に味わって、どんな風に感じるのか忘れちゃったわ

あたしたちが死んじゃってるみたいに触って

はじめての時みたいに触って

あたしは決して横にならずに、あたしたちの為にって必死になって試したわ

あたしたちの為にって必死になって・・・

 

(※)リピート

 

あらゆるものの中で一番悲しいことをあたしは知ってる

貴方があたしの肌の下でしなびて、そしてあたしがイかないこと

貴方があたしにサヨナラを告げたときに、あたしの中の一部が死んでしまって、あなたをあの夜に置き去りにしてしまったのよ

貴方があたしにサヨナラを告げたときに、あたしの中の一部が死んでしまって、あなたをあの夜に置き去りにしてしまったのよ

あたしたちはそれがまさに最初の時だったって認めたわよね(注)

 

(※)リピート

(※)リピート

 

 

(注)ここでの「最初の時」というのは、2人の関係が冷めていく、終わっていくことの「最初」ということではないかと思う。

 

 

 

 

後半へ続く。

 

 

(文・和訳:ジュン)