出前寿司Records

よりどりみどりの音楽カルチャーサイト

2018年の名盤(表・裏)※ジュン選出

 どこかしこも年間ベストを発表する時期になってきたので、自分も選んでみようと思う。年間ベストというよりは、今年の良かったアルバムを表バージョン、裏バージョンで3枚ずつ選んでみた。

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 まずは表バージョンの3枚。(ランキング形式ではなく、順番は適当である)

 

1. The 1975 「A Brief Inquiry Into Online Relationships」

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2. Pale Waves 「My Mind Makes Noises」

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3. Snail Mail 「Lush

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 表バージョンということでベタベタなチョイスをしてみた。それでもやはりこの3枚は誰も外せないんじゃないだろうか。

 

 

1. The 1975 「A Brief Inquiry Into Online Relationships」

 配信された直後に聞いた。聴きやすさと少しの憂いが絶妙な塩梅である。多くの人が「OKコンピューター」を感じたようだが、自分もそうだ。それは収録曲の「The Man Who Married A Robot」が「Fitter Happier」を思わせるからではない。なんとなく全体的な構成が近いものがあると思ったということ。そして「次はOKコンピューターとかクイーンイズデッドのようでないといけない」というマシューのビッグマウスからそういう耳で聞いてしまっていたことが大きい。実際にここまですごいアルバムを作ってくるとは予想していなかった。

 このアルバムについては、我々、出前寿司Recordsとも多少の縁がある音楽サイト(勝手に自分はよきライバルだと思っている)、アポロでも配信リリース早々に素晴らしいレビューが書かれているので、そちらも読んでみてほしい。以下にリンクを貼る。

 

The 1975 の『A Brief Inquiry into Online Relationships』を徹底調査 - Apollo96

 

 

2. Pale Waves 「My Mind Makes Noises」

 これについては新譜レビューも書いたし、全歌詞も翻訳してみたしで、自分の中では今年一番思い入れがある作品。詳しくはリンクを下に貼るのでそこから。

 来年の単独来日のチケットはとりあえず押さえてあるので、なんとか行けることを切に願う。

 

(アルバム内容のレビュー)

My Mind Makes Noises レビュー(Pale Waves デビューアルバム) - 出前寿司Records

(全和訳)

Pale Waves 「My Mind Makes Noises」全和訳(前編) - 出前寿司Records

Pale Waves「My Mind Makes Noises」全和訳(後編) - 出前寿司Records

 

 

3. Snail Mail 「Lush

 渋谷まで行ってライブを見た(このサイトのリーダー、おすしたべいこと氏と一緒に見た)。最近いい音を鳴らすオルタナ女子がどんどん出てきているが、デビュー作のこのアルバムだけで確固たる地位を得たと思う。

 オルタナ女子といえば、ジュリアンベイカは来年に単独来日するし、ルーシーダカスも今年アルバムを出して、フィービーブリジャーズアメリカンフットボールのツアーを一緒に回った。そしてそのジュリアンベイカー・フィービーブリジャーズ・ルーシーダカスから構成されるスーパーユニット、ボーイジーニアスが今年初EPを発表した。この勢いは来年も続いてほしい。

 

 

 というわけで、表バージョンの3枚はここまで。続いて裏バージョンを発表しよう。名盤というより、こんなのも良かった、というのがすこしでも紹介できればというチョイスになっている。

 裏バージョンはこれだ。(数字はランキングではなく適当)

 

1. Hater 「Siesta」

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2. Exploded View 「Obey」

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3. Peel Dream Magazine 「Modern Meta Physic」

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 そこそこ話題になったアルバムで構成されているので今更感はあると思うが、こちらも紹介していきたい。

 

 

1.Hater 「Siesta」

 スウェーデンインディバンド、ヘイターの2ndアルバム。ギターの音と女性ボーカルの相性がこれも良い。ドリーミー系ともローファイともキラキラしてるとも言い難い、しかし絶妙なギターの音。歌うというよりは独りぼっちで外で自由に弾き語っているような、のびやかだけど陰も感じるような控えめな歌い方。トランペットもピアノもささやかに花を添えているような。北欧の自然が豊かな風景が見えてくるような作品。UKやUSのバンドとかばかり聞いていたが、北欧は今作が僕の初作品だった。押しつけがましい音が一つもなく、ゆったりと一体になって聞くことができる。リラックスしたいときにうってつけのアルバムになってると思う。

 

 

2.Exploded View 「Obey」

 ポーティスヘッド、ビークのジェフのプロデュースによるアーティスト。ポーティスヘッドが好きなアーティストの一つなので手に取ってみたが、これが素晴らしい。ポーティスヘッドのテイストのまま、もう少しバンドサウンドが増えたような感じというのか、なんというか。ポストパンク?インダストリアル?よくわからない。ただ、どうしようもなく音は暗い。美しい。絶望してるわけじゃないし、悲しいことがあったわけでもない、でも暗闇に身を置いていたい、そういう気分の時ってないだろうか。自分にはある。これはそんな自分にピッタリなアルバム。ノイジーな音も入っていたりして聴くほど深みに入っていけるようになってる。

 

 

3.Peel Dream Magazine 「Modern Meta Physic」

 NYのアーティスト。ファズの効いたギターに色々音が乗っかる感じでポップ。ここまでに紹介した5枚に比べると一番ごった煮になってる。しかし、どの曲もメロが甘い。あと、なんだか少し前の世代のポップスを聞いているようななつかしさもある。このアルバムを置いている店ではステレオラブを引き合いにだされている。確かにそういう感じもする。薄っぺらい紹介になってしまっているけど、裏名盤に自分が選んだ3枚のうちでは、このアルバムが一番たくさんの人に聞かれてほしい。

 アルバムの1曲目はPVが存在するので、とりあえず聞いてみてほしい。


Peel Dream Magazine - Qi Velocity

 

 

 

 とりあえず自分が紹介したいアルバムの表・裏はこれでおしまい。表は言わずもがなだろうけど、裏のほうはなるべく「聞いてなかった」って人に刺さってくれればと思う。

 

 あと、2018年はエモとかそっち系の作品が充実してたから、ジャンルを絞ってよかったアルバムをまとめてみたいと思う。

 

 

(文:ジュン)

 

夢と現実の境界を見失う60分間 - Maison book girl『yume』レビュー

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2018年11月21日、Maison book girlのメジャー2ndアルバム『yume』がリリースされた。

 

アルバムリリースの発表はekoms主催の定期ライブイベント「bmg vol.1」(2018年9月18日開催)でアナウンスされ、その衝撃的なビジュアルに湧いたのも記憶に新しい。

※ekoms:ブクガの作詞作曲編曲全てを手がけるサクライケンタが代表を務める事務所。Maison book girlやクマリデパートが所属している。

その後、アーティストビジュアルも一新。真っ赤な景色に佇む井上唯和田輪矢川葵コショージメグミの4人の姿は遠く、もはや表情すらよく見えない。Twitter上ではその色合いから「Syrup16gを彷彿とさせる」という声も多数上がっていた。

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Maison book girl アーティストビジュアル

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Syrup16g『HELL-SEE』ジャケット

 

アルバムの内容もこれまでとは一線を画しており、サクライケンタがタイトル通り「夢」を表現した21曲を収録。今回はその全曲レビューをお届けしたい。

※なお、レビューではアルバムのネタバレも含んでいるため、事前情報無しで聴きたいという方は聴いた上で読んでみてほしい。

 

 

✱  ✱  ✱

 

 

1. fMRI_TEST#2

fMRIとは下記の通り。

fMRI (functional magnetic resonance imaging) はMRIを利用して、ヒトおよび動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法の一つである。※Wikipediaより引用

この説明を読んでも分かる通り、「夢」というテーマに沿ったアルバムとしての印象を決定づけているようなインスト曲。

この曲はワンマンライブ「Solitude HOTEL 6F hiru / yoru」(2018年11月25日開催)でも、曲と曲を繋ぐインターリュードとしてVJと共に効果的な役目を果たしていた。

 

2. 言選り_

先行シングル『cotoeri』収録のリード曲。本作ではイントロが少しアレンジされた(曲名のアンダーバーはそれゆえ。以降も同じようにアンダーバーが付けられた曲が登場する)。

作詞はサクライケンタが過去に手がけてきた歌詞を人工知能(AI)に学習させ、そこから提示された言葉を使って行われた。それにより意味が通っているようなそうではないような、独特な浮遊感を放っており、リスナーを浮世離れした何処かへと誘っていく。

 

3. SIX

階段を登った(降りた?)先で扉を開くような音が挿入されたピアノインスト曲。坂本龍一を彷彿とさせるような、どこか物悲しい音像が印象的。

タイトルの意味する所は「Solitude HOTEL」の6階のことだろうか(実際「Solitude HOTEL 6F」のhiru公演の最後とyoru公演の最初で使われていた)。

 

4. 狭い物語

アルバム発売に先駆けMVが公開され、先行配信もされたリード曲。赤い風景の中をメンバーが歩く様はアルバムのビジュアルイメージを決定づけたように思う。

曲終盤では矢川がソロでこれまでになくエモーショナルにサビを歌い上げている。ライブではそれが特に顕著で観る者を引き付けていた。

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↑ MVではただひたすら真っ赤だった世界に色をつけるようなシーンがとても印象的。

 

5. MOVE

インスト曲。心電図が止まったような音がしばらく続いた後アコースティックギターが鳴らされ、最後にバタバタと走るような音が入る。曲名通り何処かへ忙しなく移動している?

 

6. ボーイミーツガール

和田がこれまでとは違う歌唱で魅せる本作のキラーチューン。数あるブクガのレパートリーの中でもかなりポップな曲であり、今作のベストに上げる人も多い印象。エレキギターが効果的に使われ、「MOVE」の足音から想起されるような性急な曲調がリスナーを急かす。

ちなみに定期イベントの「bmg」という名称は「ボーイミーツガール」の略なのだろうか?

 

7. PAST

「過去」と名付けられたインスト曲。しかしメロディをよく聴くと1stアルバム『image』に収録された「blue light」であることが分かる。最後にドアをこじ開けようとする音とそのドアがけたたましく軋む音が鳴る。

 

8. rooms_

先行シングル『412』のリード曲。こちらはイントロとアウトロがアレンジされて収録。「ボーイミーツガール」では一度外に出ていたように思うが、ここではまた部屋に閉じこもっている。

ライブでは通常、サビの無音部分で照明が全て消え一瞬静寂に包まれるパフォーマンスでお馴染みだが、「Solitude HOTEL 6F」のyoru公演では無音部分以外ほとんどずっと真っ暗という逆の演出をし会場を湧かせた。

 

9. MORE PAST

こちらも「PAST」に続いてインスト曲…と思いきや、『bath room』に収録された「my cut」のピアノバージョンであることが分かる。4人のボーカルも新たに収録され、シンガーとしての表現力が豊かになっていることがより際立って分かる(特に井上。『bath room』時のものを改めて聴くと拙い部分も多い)。

なお「PAST」(=「blue light」)は2016年、「MORE PAST」(=「my cut」)は2015年リリースということで、実際のリリース年と連動した時系列になっている。

 

10. 十六歳_

『cotoeri』のカップリング曲。イントロがアレンジされて収録。曲調はかなり明るく、MVではこれまでになくガーリーなメンバーを見ることができるが(全てがガーリーだと思うと衝撃を受ける)、ステージを縦横無尽に走りながら歌うライブパフォーマンスを観るといつも胸が締め付けられる。

 

11. NIGHTMARE

残念ながらいい夢ばかりではない(そもそも今作で表現される「夢」はあまりいい夢とは言えない気もするが)。電車が走る音が聞こえ、終盤で急に鳴り止む。

 

12. 影の電車

「NIGHTMARE」の電車のイメージをそのまま具体化したような曲。とは言え曲調はポップ寄りでブクガの中でもかなり歌謡サイド。とにかくメロディがいい。

 

13. fMRI_TEST#3

「影の電車」のアウトロを断ち切るようにfMRIの音が鳴る。

 

14. 夢

fMRI_TEST#3」からシームレスで始まる今作の表題曲。サクライ氏はこの曲について、インタビューで下記のように語っている。

今回、14曲目が“夢”というタイトルなんですけど、京都大学で夢のことを研究している神谷之康さんという方がいて、その方に話を聞きに行って作ってるんです。

14曲目の“夢”に関しては、夢を見ているときの脳波を左右で鳴ってるハンドクラップの強弱、ベロシティにして、変な感じで音が強くなったり弱くなったりしてるんですけど、まさにあれは夢を見ているときの脳の動きで。だから、聴いていると本当に夢を見てる感じになるんじゃないか、と思って。ちょっと迷い込んだ感じになる、というか。

Maison book girlメジャー2ndアルバム『yume』インタビュー③――「ブクガの創作を押し広げた、自由と苛立ち」 | ダ・ヴィンチニュース

リスナーがアルバムを通して聴いてこの曲にたどり着いた時、おそらく夢と現実の境目が無くなるような感覚さえも覚えるのではないだろうか。壮大なサビも感涙もの。間違いなくブクガ史上最高傑作。

 

15. ELUDE

雨が降る音と鳥の鳴き声とカメラのシャッター音。どこかの温室の中で鳥の写真を撮っているかのような印象を覚える。

このインスト曲はアルバム発表前からライブのSEとしても使用されていた。

 

16. レインコートと首の無い鳥

先行シングル『elude』のリード曲。「ELUDE」はこの曲の伏線だった。これまでに見ない不穏なMVであり、この時点でもうアルバムの世界観は完全に固まっていたのだろう。ワンマンライブ「Solitude HOTEL 5F」(2018年6月23日開催)では最初と最後の2回披露され、ブクガワールドの構築に重要な役目を果たした。今後もキーとなる曲であるように思う。

ちなみに「Solitude HOTEL 5F」の最後ではメンバーがペストマスクを被って披露され、4人が居なくなった後ステージに靴だけが残されていたが、「Solitude HOTEL 6F」のyoru公演に出てきたペストマスク姿の人物たちは裸足だった。

 

17. YUME

「レインコートと首の無い鳥」のアウトロであり、次の「おかえりさよなら」のイントロをも担うインスト曲。雨の音とfMRIの音、そして曲の逆再生が流れる。巻き戻して聴くと「おかえりさよなら」であることが分かる。

 

18. おかえりさよなら

「bmg vol.1」でMVが発表され上映もされた『elude』のカップリング曲。曲調に関してはブクガのレパートリーの中でも特にバラードとでも呼べるようなストレートさがあるが、MVを観ると明確に「死」をテーマにしているような印象を受ける(どうでもいい余談だが筆者はMVの上映で泣いた)。

 

19. GOOD NIGHT

「Solitude HOTEL 5F」の最後に流れ、それから地続きのように「Solitude HOTEL 6F」のhiru公演の最初にも流れたインスト曲。錠剤を出すような音が「おかえりさよなら」からの繋がりを感じる。タイトルが示すのはただの「おやすみ」ではなく、オーバードーズによる「死」なのかもしれない。

 

20. 不思議な風船

お馴染みになったコショージが手がけるポエトリーリーディング。バックで流れる音がうるさく語りがあまり聞こえないという演出が、アルバムの最後を不穏に飾る。

「Solitude HOTEL 6F」では最後に披露され、ペストマスクを被った謎の人物たちとの共演が強烈な印象を与えていたように思う(個人的には序盤コショージが本=カンペ?を持たずに台詞を言っている所が妙に感動した)。

 

21. fMRI_TEST#1

ここに来て#1…それもそのはず、リピートして聴くと1曲目の「fMRI_TEST#2」にシームレスで繋がり、今作が終わらない無限ループの世界であり、リスナーを閉じ込めるような仕掛けになっている。

なお、「fMRI_TEST#1」「fMRI_TEST#2」についてサクライ氏は下記のように語っている。

1曲目と、最後の“fMRI(_TEST#1)”は、夢の実験をしているときの実際の音声をお借りして、使ったりしていて。

Maison book girlメジャー2ndアルバム『yume』インタビュー③――「ブクガの創作を押し広げた、自由と苛立ち」 | ダ・ヴィンチニュース

アルバムによりリアリティを持たせるための仕掛けがここにもあった(「夢」を表現するためにリアリティを持たせる、というのは何か倒錯している気がしなくもないが)。

 

 

✱  ✱  ✱

 

 

Maison book girlは今年4周年を迎えた。年々メンバーの歌唱力と表現力は高まっており、それに合わせサクライケンタが作り出す楽曲も変化/進化し、ライブでのVJやパフォーマンスも話題を呼ぶようになった。今では日本、いや世界でも類を見ないような唯一無二の世界観を構築することに成功した特異なグループと言える。

 

1stアルバム『image』はMaison book girlとしての自己紹介的な意味合いが強かったように思うが、今作『yume』は過去曲を伏線として使用したり(「PAST」や「MORE PAST」)、インスト曲で間を繋ぐなどし、綿密で曖昧な「夢」の世界を提示する組曲として完成させることに成功した。

リスナーはアルバムを通して聴くことで、夢と現実の境界を見失うような時間を過ごすことになるはずだ。移動中に片手間に聴くというよりも、1時間しっかり向き合って聴くに相応しいアルバム。間違いなく、2018年の音楽カルチャーの最先端に立つ凄まじい作品が誕生した。

 

 

(文:おすしたべいこ)

 

 

Solitude HOTEL 6F yoru

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あまり記憶がない。

 

もしかしたらずっと眠っていたかもしれないし、ちゃんと起きていたかもしれない。ひょっとしたら死んでいたかもしれないし、浅い呼吸で息をしていたかもしれない。

 

ステージにはアルバムのジャケットにも登場する赤いベッドが左右に2つ置かれていた。hiruの最後にスクリーンに映し出された映像がそのまま実体化されていた。

 

hiruの"SIX"でSolitude HOTELの6階から降り、yoruの"SIX"でまた6階に戻る。昼間見ていた夢は次第に遠くへと霞んで行き、やがて完全にかき消された。

 

視覚を覆い尽くすVJの数々。"狭い物語"の赤で塗られた風景、"townscape"の首の無い鳥の写真、"int"の心電図のような波形、"ボーイミーツガール"の画像処理のバグのような映像、"夢"の正体不明の物体の数々。全てがサクライケンタの脳内イメージを無理矢理アウトプットし可視化したような歪さが不安を煽った。

 

"rooms"では無音の部分だけ照明がつき、あとはほとんどずっと真っ暗という、通常とは逆の演出がなされた。曲と曲を繋ぐインターリュードでは、ステージに置かれたベッドにメンバーが潜り込むような演出もあった。

 

MCは一切なく、メンバーの4人はただひたすらSolitude HOTEL 6Fの世界観を構築することに徹していた。レーザーで過度に装飾された"karma"を披露した後、4人は長いお辞儀をして本編は終了。

 

アンコールの"MORE PAST"(実質"my cut")を観る頃には本編の記憶さえも遠のき、通常の思考が出来なくなっていた。他にも色々と書くべきことはあるはずなのに、この場に書いてあることくらいしか思い出せていない。そう言えばペストマスクを被った4人が出てきたがそれはメンバーではなかった。あれは誰だ。

 

"不思議な風船"が終わるとメンバーの4人はベッドに横たわり、ペストマスクの人たちがそのベッドをステージの外に運び出してライブは終了。自分が何を観たのか理解できないまま会場を後にした。

 

あなたはアイドルのライブを観て「死にたい」と思ったことがあるだろうか。

 

あれは何か人知を超えたものだったような気さえもする。そもそも「夢」というものはそういうものだ、と思えばそれなりに合点がいくかもしれないが、視覚情報と曲の持つ力によって明らかに触れてはいけない領域に足を踏み入れていた。

 

全て終わった後は本当に具合が悪く、なぜかすごく死にたくなったし、一人で帰っていたら駅のホームに飛び込んでいたかもしれない。

 

6Fはこれで終わりではない。この物語はyumeへと続いていく。

 

 

(文:おすしたべいこ)

 

 

Solitude HOTEL 6F hiru

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朝起きてすぐ、昨晩見た夢を思い出した。

 

僕は敵に向かって機関銃をぶっ放していたが、相手は全くダメージを受けておらずケロッとした顔をしている。どうやら特殊な防御能力を発揮していたらしく、そいつの代わりに自分の仲間が頭から血を流して倒れていた。

 

電車に乗り、街に出た。嗅ぎ慣れない香りと見慣れない景色。道路を走る高級車。やけに格式の高い落ち着いた街並みだった。

 

長い階段を登り切った先にようやく入口が見えた。大勢の人々が所狭しと立ち並んでいて心無しか空気が薄い。自分に与えられた番号を呼ばれ、ぞろぞろと中に入っていく。みんなが何を考えているのかよく分からない。

 

通路を抜けると暗く広い空間にたどり着いた。スクリーンに映し出された文字を見てようやく気づく。

 

僕は今Solitude HOTELの6階にいる。

 

しばらくすると、おやすみの合図と共に4人の女の子が登場した。確かまだ外は昼間だったはずで、このまま白昼夢でも見せられるのだろうか。

 

しかし眠りの時間は一瞬であり、すぐに新しい朝が来た。その罪をなぞるように、4人の女の子たちは歌っている。気づけば季節は一周し、僕はいつの間にかまた眠りにつき、夏の終わりを告げる夢をそっと見せられた。

 

再び目覚めると僕は狭い部屋の中にいた。このまま全部無くなると思うとなぜかとても安心した。しかしそれも束の間、何かに急かされるように部屋を飛び出し、モノクロの中を走っていた。それらが全て皮肉で終わると分かっていながらも。

 

たどり着いた先で、僕は映画を観ていた。これは今の出来事だと思っていたが、どうやら気づかないうちに過去へと移動していたらしい。もはや自分のいる場所も時間軸も分からなくなっていた。

 

ここで、この一連の出来事に「狭い物語」という題名が付けられていることに気づいた。何か言おうと言葉を選んでいるうちに夜が明け、僕は地下鉄に乗って別の場所に移動していた。頭が痺れている。しばらくして地下鉄は地上へと出た。青くブレる車窓をぼんやり眺めながら、全てを許していこうと思った。

 

地下鉄から降り、疲れ切った様子の僕を気にかけ「おかえり」と呼びかける女の子。しかしすぐに「さよなら」と別れを告げられてしまい、餞別に枯れた青い花を渡された。

 

どこからが夢でどこまでが現実なのか全く分からなくなっていたが、どうやら全部夢ということだったらしい。自分の身体はただただ空洞であった。

 

ふと目覚めると、僕は無意識のうちにSolitude HOTELの6階から階段を降りながら出口に向かっていた。4人の女の子たちはもういないが、これまでの出来事は確実にはっきりと思い出すことができた。

 

幾つもの夜を過ごしてきたはずなのに、時計は街に出てからまだ3時間程しか経過していなかった。

 

 

(文:おすしたべいこ)

 

 

最近また出てきた、あの一家の残した音の件

 

 「あの一家」という風にちょっと詩的というかキザなタイトルをつけてみた。

 

 ロックの歴史にその名を永遠に残すだろう一家といえば

 The Smiths(スミス一家)

 しかないだろう。

 

 あの一家(一家じゃなくてバンドだけど)は無限ともいえるほどたくさんのフォロワーを残してきた。

 そんなフォロワーの中から、まさに現在活動をしている、注目の若手バンドを二つ、今回は紹介しようと思う。下の二つだ。

 

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 (※本人たちはフォロワーと思われるのは心外というか気にしてないのかもしれないけど、今回初めて彼らを知る人たちに音のイメージを伝えるために、フォロワーという言い方をこの記事ではさせてもらう。)

 

 

 まず一つ目。

 

Roan(ローン)

 

 フィンランドヘルシンキから。男子4人組で構成されているバンド。ザ・スミスのようなキラキラしたギターの音色と、北欧のポップみたいなテイストが合わさったインディロック。ザ・スミスっぽいというには割と明るめのすごく聞きやすいギターポップを鳴らしている。

 

 今年リリースした新曲、「tell me」をまずは聞いてみてほしい。

 


Roan – Tell Me

 

 この新曲は割と彼らの曲の中でも疾走感がある。ちょっとギターの音は重厚な気がするが、それにしても若者らしい爽やかな音楽である。

 よりスミスのような音だと感じやすい曲だと、以前リリースした3曲入りのEP、「just for tonight」なんかがそれにあたると思う。リードトラックをどうぞ。

 


Roan – Just For Tonight

 

 同じく同EPに収録の曲「Around the World」を。

 


Roan – Around The World

 

 このEPは2016年のリリース。「なんだ今更じゃないか」と思うかもしれない。

 

 しかし。

 

 今年、大阪のRimeoutから、このEPと最新シングルの「tell me」、そして彼らの以前のシングル曲も収録した7曲入りの日本独自盤がリリースされた。(9月ごろに出ていたのであるが)

 

 購入はディスクユニオンなどインディロックを扱っているレコ屋、CDショップに行けば可能。(自分は名古屋の大須のとあるお店でゲット)日本独自盤はCDでしかない。サブスクリプションは今のところない。贅沢なCDである。

 

 現地フィンランドではインディロックの期待の星としてかなりの人気がある模様。間違いなく日本でも今回の日本独自盤で人気をつかむはず。要チェックしてほしい。

 

 日本独自盤のタイトルは「ローン」。ジャケットは上で紹介したEP「just for tonight」と同じ。ぜひ。(下がそのジャケット。なんかエモい・・・)

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一つ目のバンド、Roanの話はこれくらいで。二つめのバンドを紹介しよう。

 

Vacations(バケーションズ)

 

 オーストラリアからの4人組。出前寿司recordsは1年以上前に発足したわけだが、実は自分としてはその時からこのバンドについていつか紹介したいとずっと温めていた。今回ようやく叶った。

 

 なぜこのタイミングなのか。理由は簡単だ。

 

 ついにフルアルバムのCDがでたからだ。(というより、春に出ていたことをようやく知った。待ってたのに恥ずかしい。)

 

 彼らは以前からEPを2枚発表していて、どちらも公式でYoutubeサブスクリプションですべて聞くことができていた。(貼り付けたYoutube動画は彼らの2枚のEPが続けて聞ける、公式の動画だ。)

 


VACATIONS - Vibes & Days

 

 

 そして今回のアルバム、「Changes」がこれだ。

 

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 彼らの鳴らす音は、音自体は確かにザ・スミスのような美しいギターのアルペジオやコードの流れを聞くことができる。ただ、ちょっとレイドバックしたようなゆったりとした感じが全体的にある。

 オーストラリアという美しい海が臨める国から、海の夕日を見ながら聞きたいサウンドが出てきた、という感じだ。

 今回のアルバムからのシングルカットを2つ紹介しよう。

 

「Moving Out」


VACATIONS - Moving Out (Single)

 

「steady」


VACATIONS - Steady (Single)

 

 実はアルバムもyoutubeで公式がフルで発表している。10曲で34分というコンパクトさも大変な魅力だ。まだ聞いたことがないなら今年中に聞くべきだ。自分のように乗り遅れてしまう。


VACATIONS - Changes (Full Album)

 

 

 

 

 

 以上2つのバンドを紹介して、この記事は終わり。

 

 正直、「なんだよ今更じゃん」という感想しか、洋楽好きからしたら沸かないだろうと思う。

 

 「知らなかった。いいじゃんこれ」って言ってくれる思いやりのある人がいますように。

 

 

(文:ジュン)

 

Cagayake! Alternative Girls(Snail MailとRatboysと・・・)

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 ガチでスバラシ Never Ending Girl's Rock!

 

 ・・・めっちゃ前の曲のクソみたいな替え歌でお送りしています。プリ帳とか今の女子学生使うんかな。使わんやろな。

 

 オタク全開かつ老害めいた話はこれくらいにしておこう。今回はどういう記事を作りたいかというと、オタク全開なタイトルから察することができるだろうけど、ここ最近のオルタナをやっている女子についてだ。

 

 先週は我ら出前寿司Recordsのリーダー、おすしたべいこによってスネイルメイルの渋谷での公演の模様を記事にしてもらった。

 

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 

 実はこのライブ、自分もリーダーと横並びで一緒に見ていた。ローファイ感たっぷりに少し枯れたような声で、原曲よりもややスローで粘っこく歌い、ギターをかき鳴らすフロントマン、リンジーの圧巻のパフォーマンスは素晴らしかった。MCがそんなにうまくないところが初々しさがあって面白くもあった。(詳しくは上記の記事を読んでほしい。)

 

 

 さて、自分はさらにその翌週、10/14にまた名古屋でとあるライブを見ていた。Ratboysだ。

 

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 女性ギターボーカルのJuliaとリードギターのDaveからなるデュオだ。今回の日本ツアーは日本のバンド、The Firewood ProjectHusking Beeのメンバーからなる激エモいバンド。エモが好きで聞いてないなら要チェックだ。)のアナログレコード発売のレコ発として、一緒に回ってきた。

 

 ある程度、彼らの曲は予習していたとはいえ、自分の目当てはThe Firewood Projectと、名古屋での公演でOAとして出演のMy Young Animal(東海のエモバンド。こちらも素晴らしいバンドなので興味があればぜひ聞いてみてほしい)の2つのバンドだった。

 

 目当ての2バンドは最高のライブをしてくれた。そして、このRatboysも全く負けず劣らずの素晴らしいライブをしてくれた。

 

 そもそもどんな曲をやるバンドなのか。まずは聞いてみてほしい。

 


"Molly" by Rayboys

 


"Elvis is in the Freezer" by Ratboys

 


"Control" by Ratboys

 

 これらは彼らが去年、Topshelfからリリースした2ndフルアルバムの冒頭を飾る3曲だ。残りの曲もYouTubeでTopshelfの公式音源で聴けるし、Apple Musicでのサブスクリプションもある。

 

 どうだろう。けだるさと優しさのあるボーカルと、ガレージロックのような尖ったサウンドがたまらないと思う。これを自分は生で、それも目と鼻の先で観てきたのだ。

 

 ゼロ距離で観ると信じられないくらい幼く見え、キュートなJulia。何度も感謝の言葉を述べ、カウントをとり、ライブをリードする。ささやくような歌が心地いい。

 リードギターのDaveは長髪を振り回して激しく演奏する。

 

 エモーシャルというより、直球すぎるロックが楽しめた。

 

 彼らのアルバムは日本版でEPもあるなど、日本でも人気がある。もし知らなかったならこれを機に聞いてみてほしい。

 

 

 

 

 さて、ざっくりで名残惜しいが、Ratboysのことはこれくらいにまとめる。なぜならこの記事ではオルタナティブ女子を他にも簡単に紹介したいからだ。

 

 まず紹介するのはTigers Jaw

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 アメリカ、ペンシルバニアより。Ben WalshとBrianna Collinsの二人からなる男女ツインボーカルユニット(現在は2人体制になっている)。もうすぐツアーで日本にやってくる。

 これもまたエモい。先に上げたRatboysのようにがっつりと女性ボーカルではない。(ユニゾンとかのほうが多い。リードになることもあるけど)昨年5枚目のフルアルバム、「Spin」をリリースし、それを引っさげての日本ツアーだ。5枚もアルバムを出しているのでもう新人ではなくベテランの域に入ってきてるバンドだと思うけど。とりあえずアルバム「Spin」からいくつかの曲を聞いてみてほしい。

 (なお、ツアー大阪公演では先程自分が目当てにしていたThe Firewood Projectと、シューゲイザーバンド・揺らぎとの対バンになっている。絶対に行きたい。)

 


Tigers Jaw: Follows (Official Audio)

 


Tigers Jaw: Favorite (Official Audio)

 


Tigers Jaw: June (Official Video)

 

 これらはアルバム「Spin」から冒頭の三曲。他の曲も公式音源、並びにサブスクリプションがある。

 

 

 つづいて、Petalf:id:delivery-sushi-records:20181015184327j:plain

 

 女優としても活動しているシンガーソングライター、Kily Lotzを擁するバンド。彼女もTigers Jawと同郷で、アメリカのペンシルバニアから。そして画像は今年リリースされた2枚目のアルバム「Magic Gone」である。

 Snail Mailとかと比べると素直で透き通るようなボーカルだと思う。ギターのサウンドも王道的な歪んだギターロックな感じ。アコースティックな曲では、彼女の歌のうまさ、声の良さがわかる。

 こちらも先に出てきた作品「Magic Gone」から冒頭の三曲。"I'm Sorry"はアコースティックな序盤から途中で歪んだギターが聞ける、言ってしまえばべたべたな展開だが、その王道っぷりが気持ちいい。それはきっと彼女の声がいいからだ。

 


Petal - "Better Than You" (Official Music Video)

 


Petal - "Tightrope" (Official Audio)

 


Petal - "I'm Sorry" (Official Audio)

 

 

 もう一つ。Covet

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 完全なインストマスロックバンドだ。メインは真ん中の女性、Yvette Young。ギター担当。まずは今年リリースした2枚目のEP「Effloresce」からの曲を聞いてみてほしい。


Covet - "shibuya" (ft.San Holo) (official video)

 


Covet "glimmer" (official video)

 


Covet - Sea Dragon [Official Music Video]

 

 圧倒的すぎるギタースキル。すべての音が美しい。まだ彼女は27歳だという。末恐ろしい存在である。2枚EPを出したが、まだフルアルバムはリリースしていない。まさに始まったばかりのバンド。これからのマスロックを背負っていく存在になることは間違いないと思う。

 そんなバンド、Covetだが、なんともうすぐ来日する。しかもプログレメタルバンド(ジェントとしてもとらえられる)、ポリフィアのゲストアクトとして日本をツアーするのだ。

 このバンドはオルタナ好きだけでなく、メタル、プログレ好きもマークしておいて損はないと思う。実際、Covetのメンバーデスメタルバンドもやっていたりするのだ。

 

 

 

 

 とりあえず、ざっとこの3組の紹介をしておこうと思う。

 もっと言えば、今年、エモレジェンド、アメリカンフットボールとツアーをしたPhoebe Bridgers、昨年のアルバムが大きな話題になったJulien Bakerもいるが、二人はすでにかなり有名だと思うので省略する。

 日本では、そのJulien Bakerと共演したこともあるバンド、Homecomingsがもうすぐ新しいアルバム「Whale Living」をリリースする。Homecomingsについては以前、出前寿司Recordsのメンバーのさこれたが分かりやすい紹介記事を作ってくれているので、そっちを見てほしい。

 

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 

 今、オルタナ女子がアツい。

 

 

(文:ジュン)

 

 

spangle call shimokita line - 10/13 @ 下北沢近松

 

下北沢。

 

ライブを観るために何回も訪れてきたこの街で、こんな企画があった。

 

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"spangle" @下北沢近松

 

出演:

ayutthaya

yule

揺らぎ

羊文学

 

…は? 何このメンツ。これで前売り2,400円? は? しかも企画したのがクワタナオノリさん。は? いつもお世話になっております!

 

 

という訳でついに始まったクワタさんの"俺企画"。おめでとうございます! 無事大成功に終わりましたね。今回はそのライブレポをお送りします。

ちなみに、企画名に因んでか開演前と転換時はずっとSpangle Call Lilli Lineが流れてました。は? 最高か?

 

 

✱  ✱  ✱

 

 

ayutthaya

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トップバッターはayutthaya!今年の6月に下北沢で観て以来の2回目。やっぱかっけ〜〜〜! しかもこの日のサポートドラムはやおたくや氏(ex. パスピエ)! うおおおおおありがとうございます…。

サウンドオルタナティヴな感触ながら、絶妙な温度感というか、日常に寄り添い、そして彩るような優しさがayutthayaの音楽にはあると思います。テンションがちょうどいいんですよね。それでいてアンサンブルは鉄壁。めちゃくちゃノリノリではないけど確実に酔いしれる。これが中毒性ってやつか。あとボーカルのおみたおさん、普通に顔が好きです。何言ってるんですか?

ラストの"mottainai"がかっこよすぎて「このままライブが終わるのもったいない」と思いました。ガハハ。

mottainai (MV) - これ超好き。何回も観てる。

 

 

✱  ✱  ✱

 

 

yule

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こちらは9月に法政大学の企画で観て以来の2回目。ここから最前列のどセンターで観てました。

6人編成で織り成す綿密なアンサンブルが素敵なバンドです。非常にオーガニックなサウンドが心地良い。ギターのmagさんなんか、ボウイング奏法やっちゃってましたからね。他にもアコースティックギターシンセサイザー、グロッケンなど、幅広い楽器も特徴。目をつぶると、のどかな田園風景が浮かんでくるようです。かと思えば、力の込めた演奏もしてくるあたり、ロックバンドなんだなと思わされますね。

そしてボーカルのAnnaさん、非常に見目麗しいお方だ…。タンバリンをシャンシャンしてる姿がとても良かったです。

10/28には初のワンマンライブも開催するとのことで、これからのさらなる活躍に期待大です!

ゴーストタウン (MV) - どことなく北国の空気感を感じられて良い。

 

 

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揺らぎ

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ここであることに気づく。あれ? 今日出てるバンド、全部ボーカルが女性なのでは…? 偶然なのか、狙ってなのか。ということでお次はこの日一番のウィスパーボイスバンド、揺らぎ。

相変わらず最高でした。リハから音デカいしチューニングすらシューゲイズしてくる鬼っぷり。

鋭いドラムがやばすぎました。特に"Unreachable"の冒頭。からの、何もかもすべて出し切って果てるようなドラミング。そして悲鳴のようで怒号のようなギター。感情からサウンドへの繋がりがダイレクトだ…。

ベースの裕介さんも自ら「音がデカすぎる」って言ってました。じゃあ他のみなさんは大丈夫なんですか…? とにかくビリビリに痺れました。

Twitterで見かけた「自覚を持って明確に曖昧なことをやっている」という感想があまりにも適切でしたね。

Unreachable (MV) - もっともっと「追いつけない」場所まで行ってほしい。

 

 

✱  ✱  ✱

 

 

羊文学

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トリです。羊だけどトリ。羊だけど。

いよいよ会場も人で溢れ出し、最前列の柵に押しつけられるくらいの大盛況っぷり。もうこのサイズの箱には収まらないバンドなんだということを実感しました。

何気に久しぶりに観ましたが、まず思ったのが「ユリカちゃん髪切った?(CV:タモリ)」。ドラちゃん…。フクダくんは相変わらず脚が細いしデデデデの小比類巻。

そして1曲目の"ドラマ"から目をカッと開いてどこに視線が行ってるのか分からない塩塚モエカ。曲に込めた情念のようなものを見た気がしてゾワゾワしました。

"若者たち"の引き裂くようなギターから流れ込むイントロ、何回聴いても最高ですね。その瞬間だけ延々とリピートしたい。

終盤、MCでは塩塚氏から主催であるクワタさんに向けてこんな言葉が。

「クワタさんがライブハウスに通いつめた結果、今日の企画があって、それがソールドアウトしたということは、本当に素晴らしいです」

ずっと前から羊文学のライブに行っていたクワタさん。もちろん羊だけでなく、色々なライブに毎日のように通いつめ、様々なミュージシャンとの関わりの中で得られた信用が、クワタさんにはあります。そしてこの日、満を持して、素晴らしいブッキングでイベンターとしてのデビューを果たしました。いやはや。まさかこんな日が来るなんて。

アンコールの"天気予報"でこの日のアクトはすべて終了。約4時間、あっという間でした。

天気予報 (MV) - 良い曲だ。

 

(ちなみに塩塚氏、先日Yo La TengoのJamesからギターにサインをもらってまして、最前列だったのでそれがバッチリ見えました。カメの絵ですか? 見かけによらずかわいいサイン。人は見かけにヨラテンゴ。)

 

 

✱  ✱  ✱

 

 

本当に素晴らしい夜でした。私は最前列で大好きなバンドたちを観られる幸せを噛み締めました。どのバンドもこれからどんどん人気が出て、それも叶わなくなると思います。とても貴重な瞬間を目の当たりにできていることを誇りに思います。

 

そう言えば、終演後「近松はライブ後につけ麺屋になる」という怪情報を得たので、次回は是非とも食べてみたいですね。

 

クワタさんにとっては、イベンターとしての出発点であり、しかもソールドアウトということで、感無量だったかと思います。私自身、素敵なバンドのブッキングに感謝するとともに、少なからず込み上げるものがありました。

本当にお疲れ様でした! そして、"spangle"の2回目がもしあるのなら、とても期待しています。

 

 

Special Thanks:

さこれた、塩塚モエカ、みらこ

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(文:おすしたべいこ)